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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

苦しいことも楽しいこと・・・【講師突撃インタビュー!森講師編・後編】

シナリオ・センターの新井です。
昨年から不定期にUPしている
突撃インタビュー。第5回目は、『映像シナリオの技術で書くオーディオドラマ講座』を担当して頂いている森講師のインタビュー後編です。前篇はこちらから
後篇は、
審査すること、技術の継承、教えるということについて、森講師の感じていることをお聞きしました。

 

「運」も才能のうちという言い方もありますが……やはり最終的には「運」に左右されるとしか言えない時、ことがありますよね。だから、一度や二度審査に落ちたくらいで「諦めるな」、「悲観するな」、「自信をなくすな」そんな言葉を投げかけたくなりますね。

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新井

森先生は審査員として多くのシナリオを評価してこられたと思いますが、どんな作品だと評価されるとか審査に傾向があったりするんでしょうか?

 

審査員によってそのとき時の関心も感性も違うから、どういう作品がいいとか傾向があるとかは一概には言えないですね。第一、満場一致の審査なんて、まずないと言えるんじゃないかしら。

 

 

新井

新井一賞の審査でも森先生やジェームス三木さん、岡田惠和さん、みなさん推すものが被らないから不思議ですよね。

 

本当そうなんですよね。
審査ってそれぞれが他に推したいものがあっても、みんなの意見を取り入れて総合的に、「それでいいかな」って決まったり。ある種、妥協の産物みたいなところもありますから。

 

新井

妥協の産物ですか……

 

審査員の誰か一人で良いので、その人の気持ちをしっかりつかむことが出来れば有利になるかもしれません。
他の審査員を論破してでも「良いんだ」って言ってもらえるほどの作品になっていればですがね。

 

新井

審査する人達、みなさんの心をつかむのは難しいですか?

 

それはまず不可能でしょうね。
勿論、多くの人に支持される作品もありますけど、それは結果に過ぎなくて、最初から狙っても上手くいかないんじゃないかしら。私は特にラジオドラマでは誰か一人のために書けっていう言い方をするんですが……ラジオドラマってみんなで聞くってことないじゃない?

 

新井

たしかに。部屋で一人で聞きますね。

 

だから例えば、私が新井さんに対して、どうしたら感動させられる作品になるか、どうしたら想いを伝えられるかを思い浮かべて書くと、結果よいものになりやすいっていうのかなぁ……

 

新井 

 

確かに「みんな」って漠然としてイメージが涌かないけど、「具体的に身近な人をイメージする」と筆が進みそうです。

 

森 

 

そうなんです。あと、ラジオドラマに限らず、作品を書く上で大事なことは「世の中の流れを掴めているか」「今現在にリンクしているか」ですね。去年良いなって思ったことや問題意識が今年も、とは限らないですから。

 

新井

その時ならではの題材や鮮度、切り口も審査に影響するでしょうしね。

 

好きな小説でも、読み返すと、「いいな」と思うところが変わってたりするでしょ。

 

新井

あぁ確かにありますね。その時の気持ちとか、自分の年齢や社会的立場によって、面白く感じるものって変化しますね。

 

「運」も才能のうちという言い方もありますが……やはり最終的には「運」に左右されるとしか言えない時、ことがありますよね。だから、一度や二度審査に落ちたくらいで「諦めるな」、「悲観するな」、「自信をなくすな」そんな言葉を投げかけたくなりますね。

あるラジオドラマの審査のことなんですが、3次で落ちていた作品があってね。だけど、2次を審査した人が「あの作品は?」って落ちた中から探し出して、他の審査員たちに読んでもらって。
結果「よし」となって最終審査も通ったことがあったんですね。稀なケースかも知れませんが、そういうこともありますからね。

 

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新井

 

そういう話を聞くと、1、2つ応募して諦めるのは早いのかなぁって思いますね。

話は変わりますが、最近はラジオ自体が再び注目されているように感じます。3.11をキッカケとして、また定着してきたのかなって。

 

 

昔のような勢いはないですけど、少し前より盛り返したとは思いますね。民放でもラジオドラマを作るようになっていますから。でも文化庁芸術祭賞を受賞するのは地方局のものが多いみたいですね。東京のラジオ各局も以前のように50分、1時間のドラマ作品を作って欲しいものです。

   

新井

やっぱり作り手が少ないことも影響しているんですかね?ラジオドラマって作り方も独特ですし。セリフの間や効果音の調整とか繊細ですよね。

 

作品を聴くと脚本の世界観を出し切れていないって感じることもありますね。
現場の技術が継承されてないじゃないかと思うこともあって……
制作者たちの脚本に対する思いが薄くなっているような気もします。
それに、ちょっと大袈裟な言い方ですけど、少しでも脚本、シナリオを愛してくれる人が増えて欲しいと思っているんです。そう、だから脚本について教えるようになったのかなぁ。

 

 

新井

シナリオを教えられるようになって長いですよね?
シナリオセンターはもちろん、日大芸術学部の放送学科でも教えられています。大学だと脚本家になりたい人ばかりじゃないですよね。演出や音響、ラジオやテレビ制作やアナウンサー志望などいろんな人いるでしょうから。

 

ええ。でもディレクターやプロデューサー志望は勿論ですが、音響や照明などの技術畑を志す人たちにも分かって欲しいんです。

ドラマなどを創るってことは、「脚本が土台」になっているんだってことを。脚本が読めないとどうしようもない。
「なんで脚本の勉強すんだと思っていても、いずれ現場についた時にふと分かる瞬間があるだろう」と思って教えていますね。

 

新井

なるほど。現場でシナリオが読めないのは、きついですものね。土台がグラつくわけですから。

ちなみに今の大学生はテレビドラマを見てる人、多いですか?シナリオ・センターの生徒さんでも見ない人、割といるんです。

 

大学生も同じですよ。
皆、忙し過ぎるんでしょうね。でなけれゃ、どうしても観たいというドラマがないってことかしら。
ただ、脚本家になりたいのに「シェイクスピアやチェーホフも知らない」という人もいて……これは困ります。最低限知っておいて欲しいですね。

 

新井

古典や名作など、自分が普段触れないものは最初、取っ付きづらかったりするけど、食わず嫌いのことも多いですからね。我慢して読んだり、観たりすると「意外と面白いじゃん」ってなったり。

 

そう。それから、世間で評判となっているものは、観てみることでしょうね。何故今これが……と考えられるし、もし、それが自分には「いいとは思えない」としたら、「それはなぜなのか」と自分に問うことで自分の軸が把握できると思うんです。そうすれば、自然と書きたいものも分かって来るんじゃないかしら。

 

新井

確かに「自分が何を書きたいのか」が見えてきそうですよね。
森先生が、御著書で「どう書くか」はシナリオ・センターで教えられるけど、「何を書くか」は教えられないと書かれてました。

森 

 

もともとは新井一先生の教えですが……シナリオセンターに通っていて納得もし、共感したことなんです。書きたいものは、自分で見つけるしかないですもの。

 

新井 

最後にこれから脚本家を目指す方にメッセージをお願いします。

 

脚本家の地位がどんどん下がっていると感じるんですよ……
世間の目がどうあろうと、これから脚本家を目指す人には、
「自分が土台になるものを書くんだ」という気概と自負をもって
欲しいですね。

 

 

シナリオをかけるようになりたい方、ドラマ制作にかかわる方への思いが、森先生の言葉の中に溢れているように感じました。2015年の「映像シナリオの技術で書くオーディオドラマ講座」は満員御礼となりそうです。受講できた方は、ラッキーですね!森先生から、たくさん吸収してくださいね!

 

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