シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。ここのところ良いお天気が続いていたので、青い空を、きれいな月を眺めることが多い日が続きました。
そのたびに、心穏やかに空を見上げられる毎日を、みんなが送ることができればいいのにと思わずにいられません。 梅雨に入りますが、熊本、大分の被災地のみなさんは大丈夫なのでしょうか。
何度も起こっている災害なのに、行政が学んでいることの少なさにびっくりします。民間やボランティアはすごいのにね。
過去から学ぶのは、創作も同じです。
良い作品にたくさんふれることが、ご自分の創造の幅を大きくします。
こんな形で、文豪たちの名作を学ぶこともできます。今年は夏目漱石没後100年とかでイベントも多いですね。
6月3・4・5日の3日間、朗読劇が行われます。
題して朗読劇「文豪」。 神楽坂光鱗亭ギャラリー(東西線神楽坂駅2番出口徒歩3分)
文豪作品を女流脚本家たちが描いて、朗読と劇で見せるというもの。
なんとシナリオ・センターの講師も務めている横山恵美さんを中心に、内藤麻貴さん、川村千重さんに美崎理恵さんの4人の女性陣が脚本を描きました。
名作の「品格」を尊重しつつ、瑞々しい視点で「現代」を描く新感覚朗読劇なのだそうです。
難しいものを選んだなあと思いつつ、何しろ名作ばかりですから、楽しみでたまりません。
4作品をご紹介すると、
谷崎潤一郎「刺青」×横山恵美
「刺青」は、新藤兼人監督初め多くの方が映像化されました。刺青師の欲で無理やり刺青をされた女性が、刺青をされたことで本性が目覚めるというお話しだったと思うのですが、エロチックな谷崎文学らしい作品をどのような女性視点で切り込んでくるのでしょうか。
太宰治「恥」×内藤麻貴
よく覚えていないのですが、23歳のうら若き女性読者が、小説家が書いていることを実生活だと思い込んでしまった話だったと思いますが・・・。若い頃読んで、あまり太宰が好きでない私は、女性読者をバカにしているようで気に入らなかった思い出が・・・被害妄想かな?(笑)内藤さんはどちら側に立つのでしょう。
芥川龍之介「玄鶴山房」×美崎理恵
これまた難しいお話を選ばれましたね。病に伏した男とその妻、息子夫婦、元女中だった愛人とその息子・・・どの視点で書くかによってお話はガラッと変わるような気がしますが。
坂口安吾「櫻の森の満開の下」×川村千重
坂口安吾の坂口安吾たる幻想的なそれでいてこわーい怖ーいお話です。この小説を読んでから、満開の夜桜をみるたびに、その美しさゆえに不気味に思ってしまった私です。桜は、西行の話もありますしね。
山賊と山賊に襲われて妻となる女・・・このバランス感覚の妙が決め手でしょうか。
名作を、朗読劇としてどのような切り口で、どのように名作の素晴らしさを伝えるか・・・とっても興味のあるところです。
日本文学全集を読破することは大変ですが、このような形でふれていくと、また違った味わいと新たな興味が湧いてくるというものです。
お問い合わせは、ライターズパレットotonayomikikase@yahoo.co.jp
ご予約 カルテットオンライン・朗読劇「文豪」https://www.quartet-online.net/ticket/qyzkfqh