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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

「しぐれ茶漬」は身にも心にも栄養

シナリオ・センター代表の小林です。そろそろ梅雨に入ってきたのでしょうか。怪しい空模様です。
 10日から山王様(日枝神社)の本祭りが始まります。江戸時代から続く江戸三大祭りの一つで、今年は「山王祭り」が「天下祭り」(江戸城に入ることが許されて、将軍が上覧するお祭りを天下祭と呼ぶ)と呼ばれて、400年の節目の年だそうです。ちなみに、「天下祭り」と呼べるのはこの日枝神社の「山王祭り」と神田神社の「神田祭り」だけです。
山車や王朝装束の500人にも及ぶ祭礼行列などが盛大に行われます。
例年6月半ば前後なので、雨の心配が多く、もっと安心な時にすればいいのに思うのですが・・・神事ですから仕方ないですけどね。(笑)
わが息子夫婦もその友達も、氏子ですのでお神輿を担ぎます。
土曜日11日夕方の日枝神社への宮入は、男坂女坂と坂を上り、日枝神社の急な石段を一気にお神輿を担いで登っていくという勇壮なものです。是非、ご覧になってみてください。

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江戸と言えば、講師であり出身ライターの柏田道夫が「武士の家計簿」「武士の献立」に続いて、小説「しぐれ茶漬~武士の料理帖~」(光文社時代小説文庫刊)を出しました。
この小説はちょっと変わった体裁で、小説とエッセイの両方が楽しめるようになっています。
21編の短編小説に、各編料理や時代背景を語るエッセイがついているという趣向です。お話は、料理帖というくらいですから、料理にちなんだもの。

解説を、出身ライターの山本むつみさんが書かれています。
山本さんは「小説と映像、両方の技を併せ持つ名シェフが腕を振るっただけあって、どの料理も、登場人物のキャラクターや置かれた境遇と密接に関わりながら、物語を展開させる道具として見事に生かされている」と書いてくださっています。
まったくその通りで、料理の描写は見えるように匂うように映像的で、そこに生きる人々の顔が、動きが、気持ちが見えてきて、脚本家ならではの小説だなあと感心して一気呵成に読んでしまいました。

物知りだし、分析通だということは長年付き合っていて、よく知っているのですが、それにしてもこの本は、よくまあ、資料をたくさん読み込んで調べています。
また、落語にも精通している柏田ならではの落語っぽい構成、キャラクターも面白く、引き出しがたくさんあるということは、こういうことなのだとつくづく感心しました。
脚本家、小説家を目指す方なら、お手本にしてほしいです。

たくさんの知識をもつ、引き出し(ミソ帳ですね)があるということが、オリジナリティを生み、アイデア、発想が浮かぶ礎なのです。 今はネットでなんでも簡単に調べられますが、そこで終わりにせず、本を読み、資料を探すことが大事で、広く浅くにより深くを入れることで、作者自身が深くなっていくのだと思います。

柏田の「しぐれ茶漬~武士の料理帖~」を読んで、小説の面白さはもとより資料をたくさん読み込むことの大切さを感じていただけると嬉しいです。
あなたの肥やしになります。

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