― | まずは先日発売された「いきなり効果があがるPR動画のつくり方」を、新井さん、川村さん、内藤さんの3人で出版することになった経緯について聞かせてください。 |
新井 | そもそもは言視舎の杉山さんから、SNS、自社サイト、YouTubeとかWEB上でのPR動画を作りたい人たちが、※シナリオ教室シリーズの本を参考にしているらしいと聞いて。 そういう人たち向けに、PR動画とかWEBムービーとかを作るための本を出せないかなって話から始まったんだよね? - シナリオ教室シリーズ…言視舎よりシナリオ教室(シナリオ・センターで毎月発行の雑誌)の連載をまとめた本を複数出版している。「小説・シナリオ二刀流」「シナリオパラダイス」「どんなストーリーでも書けてしまう本」等の書籍がある。
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川村 内藤 | ・・・・・・ |
新井 | あれ?(笑) 最初は「誰でもプロジェクトXみたいな番組を作れる!」みたいな内容にできない?って話だったんだけど。 言ってなかった? |
川村 | …聞いていないです(笑)。 |
内藤 | 多分、もう一段階あとくらいの企画内容から聞いていますかね(笑)。 |
新井 | そっか(笑)。 言視舎の杉山さんは、最初は浅田講師とか柏田講師に話を持って行ったらしいんだ。でも、ビジネス向けなら「新井さんじゃない?」ってことで、僕に話が来たんだよね。 |
― | シナリオ・センターでは企業研修とかしてますよね? |
新井 | そう。だから、学生の就活、企業の人材採用など、普段僕がやっている「シナリオの技術」を使った活動なんかも盛り込むようなイメージも杉山さんの中にはあったと思うよ。 - 一億人のシナリオ。…「どう表現すれば、どう伝わるか」というシナリオの技術と発想を、すぐに身につくカリキュラムにして会社研修や学校教育をなどを対象に講座を実施。
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川村 内藤 | へぇ~ |
新井 | でも、いろんな内容を詰め込むと、読者は分かりづらい。それに、PR動画のハウツー本やネットでも参考に見てみたんだけど、難しいのが多くて。最終的には「簡単にPR動画が出来る本」にしようと。 |
内藤 | 気軽に作れないと挫折しますからね。 |
新井 | そうなの。PR動画とか、WEB動画とかWEBムービーとかって、なぜか撮影の仕方とか、マーケティングに関する書籍はあるんだけど、肝心の動画の内容を作るためのシナリオの作り方を解説している書籍はないの。 |
内藤 | 確かに。シナリオの部分って抜けてますよね。 |
新井 | そう。シナリオ・センターが何もしてないからね。 ってことで、一般の人でもわかる「PR動画の作り方」の本にしたかったんだよね。 それで広告関係の仕事もしている内藤さん、ライターの仕事もしている川村さんに声をかけたんだ。 |
川村 内藤 | そうだったんですか。 |
新井 | 何、その今知りましたって反応(笑)。 |
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― | 初めての打合せはどんな感じだったんですか? |
新井 | 覚えているのは、一回目の打ち合わせで川村さんに「PR動画の作り方を、シナリオの技術を使ってうまく説明できますかねぇ?」って言われて。平静を装っていたけど、内心びびったもんね。「え、できない?」って。 |
川村 | そんなこと言いましたっけ?(笑)。 確かに最初は「上手くいくかなぁ…」と思っていたかもしれない。 |
内藤 | 私も不安でしたよ。 |
新井 | そう。二人とも不安そうだった・・・ |
― | そんな不安な状態から始まったんですね? |
川村 | 最初は手探り状態でしたしね。そんな中まず参考にしたのが企業CM。ひたすら見ましたよね。 |
内藤 | そうでしたね。とにかく見る作業が…ちょっとツラかった(笑)。 でも、数見るうちに、だんだん、パターンが決まっているなって分かるようになって。 |
川村 | 軸が決まってきましたよね。まずは、PR動画って4つしかパターンないんじゃない?って。 |
内藤 | そうそう! それで、新井さんが「PR動画のパターンは、4つじゃん。パターンごとに作るポイントをシナリオの技術で整理すればいいじゃん」って提案してからは「この企画、イケる」って。 |
新井 | それ、最初から言ってたつもりだったんだけどなぁ~ 打合せの2,3回目くらいまでは、二人とも半信半疑なんだもん。まぁ僕に説得力がなかっただけかもだけど。 |
川村 | 不安だったんですね。 |
新井 | そうよ。 だってさ、シナリオは映像にするための設計図なわけじゃない。で、PR動画は、目的が広告だったり広報だったりするけど、動画なんだから当然シナリオの技術が使えると思ってたわけ。というか、シナリオの技術を使わないと面白くならないでしょ。 |
内藤 | 確かに、SNS上のPR動画とかって、面白くしようとして変なことやっているとか、インパクトはあるけど心に残らないもの多いですからね。 |
新井 | でしょ? 特にSNSでは「シェア」や「いいね!」がベースになってきているから、PR動画は広告の文脈だけで考えてもダメなのよ。ドラマの文脈でも考えないと。 |
川村 | 確かに、印象に残るCMとかって、ドラマチックですもんね。 |
新井 | そう。だけど二人に理解されなかったら、本にしても誰にも理解できないじゃん、と。 で、実際パチってはまったよね。「こんなにバッチリいく?」って自分でも驚いたくらい(笑)。 |
内藤 | ホント、「新井さんスゴい」みたいな感じでした。 |
新井 | ん?よく聞こえなかった。 |
内藤 | だから! |
川村 | だめですよ、甘えさせちゃ…(笑)。 でも、4タイプの分類について、実際のまわりの反応はどうだったんですか? |
新井 | まずね、元々コピーライターだった新井講師に聞いたんだ。そしたら、4つの分類について「それは違う」って反応は全くなかった。で、安心して他の広告関係の人にも聞いたんだけど、みんな納得してたよ。 |
内藤 | おぉ~すごい! |
新井 | で、4タイプごとのシナリオを作るためのポイントについては、浅田講師に結構聞いたんだよね。 「4つのタイプはこうで、それぞれのポイントはこうじゃない?違いますかね」って。 |
川村 | 結構、確認してたんですね。いろんな先生方に。 |
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― | あの、4つのタイプというのは…? |
新井 | あ、そうそう。簡単に説明すると、縦軸をPRしたいものが、商品なのか、会社の理念なのかで分けたの。 で、横軸でそれらを直接的に紹介するのか、間接的に紹介するのかっていう表現方法で分けたの。 |
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| 実際にCMを上げながら、説明すると分かりやすいね。まずABから説明すると、これは商品サービスの広告に使われる手法。 例えば、ファブリーズがAの商品直接型。これは商品を使う事で「匂い、異臭」を「解決」できるってことを直接説明しているCM。 |
川村 | わかりやすく言うと、テレビショッピングなんかもそうですよね。 ドラマの根本である「変化」をくっきりと打ち出していくタイプ。 |
新井 | うん。で、「カルピス」のCMだと分類としてはBの商品間接型。 この商品を飲むとこんな風になりますよ、っていう体験からイメージを伝えている。 |
川村 | セリフで、商品の説明をするんじゃなくて、女の子がカルピスもって、ニコッとした笑顔とか走っている姿を通して、商品イメージを伝えているCMですね。 |
内藤 | 商品間接型は、シナリオの技術のポイントでいうと小道具ですよね。 商品は出てくるんだけど、説明セリフを使わず、小道具として使って伝えている。 |
川村 | 同じスポーツドリンクの「アクエリアス」と「ポカリスウェット」で見比べてもわかりやすいですよね。 「アクエリアス」はスポーツする人に必要な飲料で、成分とか商品を直接説明しているから商品直接型。 それに対して、ポカリスウェットは商品間接型。直接商品の説明をしないで、高校生の部活動とダンスの映像で「若さ」や「青春」に必要じゃない?ってイメージを伝えている。
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新井 | 今回の『いきなり効果があがるPR動画の作り方』だと、商品直接型と商品間接型に関しては、内藤さんの担当パート。ここは割とスムーズだった。 伝えたいテーマに対してのアンチから始めたり、小道具、シャレードとシナリオの技術を使えるのが、分かりやすいしね。そういう意味では、PR動画も作りやすいですね。 問題は理念直接型と理念間接型のパート。ここを担当したのは川村さんで。最初は大変だったよね。 |
川村 | 「理念」というイメージ、抽象的なものを、「どう伝えるか?」。抽象的な表現をするのに、シナリオの技術をどうはめられるかな、説明できるのかなって四苦八苦でしたね。 |