シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。明日は大阪校の入学式です。創立40周年を迎えた大阪校は11月6日「上方わが町ショートシネマフェスティバル」を開催します。
「あんさんの上方ドラマで、新しい日本つくろっ!」どこまで大阪なんや!
明日は所長の後藤と大阪校へ行くのですが、きっとラストスパートかけて、みんな燃えているんだろうなあ。燃えている大阪人って半端ない。
こっちだって「大阪のおばちゃんとちゃうよ、こちとら江戸っ子だからね」オーラを出して乗り込んでいきます。(笑)
もう明後日は10月、衣替えの季節です。9月にこんなに晴れ間がないのは観測史上初めてらしいですね。
ということは、9月26日の説明会の時の秋晴れは、すごいことだったかも。「私、究極の晴れ女」なのでって、言いたくなっちゃう。(笑)
うちの近くの小学校では運動会をやっていましたけれど、運動会ってやっぱり青空の下がいいですよね。
天候は、ドラマには重要です。天候ひとつでドラマが全然違ってしまいますから。
つらいことがあったり、泣きたいとか、別れの状況だったりしたら、雨にぬれながらというのもあるし、反対にだからこそピーカンの真っ青の空の下が主人国の孤独感が出て効果を発揮する場合もあるし、天候ひとつで、見せ方も、盛り上げ方も全く違うものになる・・・「ドラマを描く」というのはそこのところなのですね。
残念ながら、多くの方はストーリー展開ばかりに気をとられて、案外忘れています。
A子とB男が喧嘩して別れるという一行に、どんな別れ方があるのか。それこそ無限大にあるわけです。だからドラマが無限にあるわけです。
そこを考えるのがシナリオライターのお仕事なのです。
昨日、企画書講座にいらしてくださった植田プロデューサーが「セリフが上手い人」が欲しいと言っていらっしゃいましたが、セリフがうまいということはどういうことでしょう。
セリフがうまいというのは、決め台詞のことだけではありません。
描写セリフがうまいかどうかということです。
セリフは要件を話すセリフと感情を表すセリフがあります。
本当は、セリフは人間が話す言葉ですから、感情が乗っていないセリフはないはずですよね。でも、よく言われますね、説明ゼリフだって。
新井一がよく例にあげるのは、駅前シリーズを新井と書いていた朋友故長瀬喜伴さんの描かれたシーンです。
デパートで、夫が若い女にネックレスを買って悦に入っている現場を見つけた奥さんが、後を追いかけるのですが見失います。
その時、店員さんをつかまえて言うセリフ「ちょっと、うちの人知らない?」うまいでしょ。
私たちだったらどうでしょう。
「ちょっと、ここにいた、ネックレスを買った中年男と若い女、どこにいったか知らない?」とすでに観客が知っていることに説明を重ねてしまいます。
「うちの人知らない?」のセリフには、奥さんがどれだけ動転しているかもわかります。
理屈や脈絡はありませんが、セリフでも感情を乗せなければつまらないのです。
岡田惠和さんの「最後から二番目の恋」、大きなドラマもないのにめちゃくちゃ面白い。何度見ても飽きない。あの登場人物のやりとり。
セリフは説明ではない、シーンは説明ではない、「描写」だということ。
天気を見ながらもう一度問い直してみませんか。