シナリオ・センターの開講情報をお知らせします。ドラマや映画だけでなく小説、戯曲、漫画やアニメの講座の開講、コンクール対策講座もあります。
先日実施したTheミソ帳倶楽部。
ゲストは、『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ロボジー』『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』などの映画作品を手掛けた矢口史靖監督。
現在、絶賛公開中の映画『サバイバルファミリー』を記念してお越しいただきました!
いいお話、いっぱい聞けちゃった♪
とルンルンしているだけでは勿体ないので、「特にコレは!」と感じたことを、わたくし齋藤がお裾分けします。
矢口監督は『サバイバルファミリー』の脚本を書く中で、こんなことがあったそうです。
【ラストシーンに向けて、どうしても踏ん切りをつけるための何かが必要でした。何か小道具を使おう。メガネかな、んー、ハンカチかな……。考えているうちに、劇中で使った“あるもの”に決まったわけですが、この小道具の使い方としてこんなことを考えました。この小道具を前半では「笑いのアイテム」として使い、クライマックスで「悲しみのアイテム」に変わったら、果たして観客はどうするだろう? 前半の勢いのまま笑うのか、それとも泣くのか、もしくはどういうリアクションをとるべきか迷ってしまうのか。これは大きな挑戦でした】
小道具にこんな使い方があったのか!!
と、会場で叫びたい気持ちでした。
皆さん、小道具をこんなふうに考えて使ったことありますか?
こういうシーンにするためにはどんな小道具がいいかとか、どうやってこの小道具を使おうかとか、そういうことは考えます、私。
小道具を考えつくだけで、結構いっぱいいっぱいです、私…。
でも、矢口監督は違う。
1つの小道具に2つの意味を持たせる。
しかも、「観客はどうするかな」と自分自身もワクワクしながら考えている。
「小道具をこういう風に使いたい!」という明確な意思や遊び心があってこそ、その小道具が生きてくるんだなぁ、としみじみ感じました。
講座では、このシーンで泣いたか笑ったか、受講生の皆さんに急遽アンケート。
その結果を見て「そうなんですねー。お客さんが実際にどう観るか、分かんないですねー」と矢口監督。
そして、また別のシーンのこんなエピソードもお話してくださいました。
【僕がもしこんなことを言われたら生きていけない、っていうくらいの悲劇のつもりで書いたセリフが、映画館ではドッとウケる…。勿論、反対のことも起きます。「え!ここで?」というシーンで感動してたりする。そうやってお客さんが泣いたり笑ったりしているのを見て初めて、「ここは笑うシーンだったのか!」「泣くシーンだったのか!」と気づく。この刺激が欲しくて映画を作っているようなものですね】
予想外の観客の反応。
これを聞いてすぐ思い浮かんだのは、ゼミの作品発表。
「これはウケるだろう!」と思っているセリフで無反応なのに、真剣に書いたセリフでドッとウケる。
こんなことありませんか?
私はこの間、とある場所で実際に経験しました…。
「これは絶対面白いセリフだ!」と自信満々で発表すると、頂けたのは「小学生か!」といったツッコミのみ…。
自分の頭の中では完璧と思っていても、他の人が聞いたら分からない。
だから、
自分の作品をゼミで発表して、人がどう思うか、どう反応するのかを見るのは凄く重要な作業!
だと思うのです。
たとえそこで思い通りの反応が得られなくても、その反応を足掛かりにまた直していけばいいんです。
この、「反応を知る作業」ってやっぱり大事ですね。
ゼミで発表する機会をどんどん利用してください!
皆さん、『サバイバルファミリー』、観ましたか?
観ていない方はぜひ劇場で、
観たかたはもう一度劇場で、
このブログで書いた“小道具”と“悲劇なのに笑っちゃうシーン”を確認してみてください!
★映画『サバイバルファミリー』公式サイト https://www.survivalfamily.jp/