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もっと口に出して!橋部さん脚本ドラマ『A LIFE』から沖田先生役の木村拓哉さんに学ぶ

先日最終回を迎えた『A LIFE~愛しき人~』は、ご覧になりましたか?
脚本が大好きな先輩ライターの橋部敦子さんということもあり、毎週楽しみにしていたシナリオ・センターの新井です。浅野忠信さん演じる壮大の怪演、木村拓哉さん演じる沖田先生の真っすぐさと内に秘める繊細さが光る作品でした。

私なんかが、言うのもあれですが、橋部敦子さんはシナリオの技術の一つであるシャレード(間接表現)の使い方がすごいうまいなっと思いました。

例えば、浅野忠信さん演じる壮大が、第一話で壁に空けてしまった穴。
あれが最後の最後で壮大の心の穴と繋がっていく…

これ、単にセリフで
「副院長の心には、大きな穴が開いてるんです」
って言うと、単なる説明セリフになってしまいます。
映像で見せることで、より印象に残る映像表現ならではのシーンになります。

人の気持ちを、視覚化するというのは、非常に効果があります。
是非、シナリオを書く際の参考にしてください。

なぜ、効果的かというと、人の気持ちって、目に見えないからです。

『A LIFE~愛しき人~』のなかでも、浅野忠信さん演じる壮大が
「お前に俺に気持ちがわかるか!?」と怒鳴るシーンがありました。
木村拓哉さん演じる沖田先生は、何も言えず…

私たちの日常でも、ありますよね。しょうがないんです。
だって、人の気持ちはわかりませんもの。

この「人のことはわからない」って、ものすごいことですよね。
だって、どんなに仲が良くても、親しくてもわからないわけです。
いや、当たり前なんですが、スタートラインからして、「人間って悲しいやん」と私なんて思ってしまいます。

だからこそ、木村拓哉さん演じる沖田先生のように、自分の気持ちを丁寧に伝えることが大切になるわけです。
それだって、どこまで理解し合えたのか…
それよりも大切なのは、理解し合えてなかったことに気づくことかもしれません。
「わからない」と「わかる」ことで、お互いに歩み寄ることができる…
「人間って、なんかステキやん」になる瞬間です。

歩み寄るそのツールに、言葉があるのではないかと思うんです。

だって、気持ちは映らないから。

特に日本人は、ローコンテキストの文化と言われます。あまり言語化せずに分かり合えてしまうらしいです。
「お母さん、あれとって」
「え!?自分でとりな。はいよ」
みたいな。

だからこそ、気持ちを言葉にしたり、目に見えるもの(例えば、感謝だったらお花とか)で表現したりすることが大切なのだと思います。日常はね。

もっと口に出して、いいんです。

もしも相手が、口に出してくれない。
お腹にばかりためている…というのなら慮ればいいんです。
そういう心の動きを、想像力とか、察する力とか、思いやりとか、言うのだと思います。

日常生活で、相手のセリフ、表情から、くみ取る力が日本中で豊かになれば、世界はもっとやさしくなりそうじゃないですか。
『シナリオ日記』もそのために役立てたいんです。
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と、書くには書くけど、現実なかなか口には出せない、シナリオ・センターの新井でした。

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