魅力的なクライマックスシーンを作るには、
キャラクターの作り方とキャラクターの動かし方が肝心!
映画やテレビドラマの話をしたとき、「あのクライマックスシーンがいいんだよね」と言ったり聞いたりしたことがあるかと思います。クライマックスは、起承転結でいう「転=テーマ」のところにあたります。
それほど重要な部分なのに、いざ脚本を自分で書いてみると、いまいち盛り上がりに欠けているように感じたことはありませんか?魅力的なクライマックスシーンを作るには、どんなことに気をつければいいか。
ポイントになるのは、キャラクターの作り方と、キャラクターの動かし方です。
魅力的なクライマックスを作る方法を出身ライター・清水有生さんの特別講義・清水ゼミからご紹介していきます。
魅力的なクライマックスシーンを作るためのポイント①
登場人物の履歴をつくる
魅力的なクライマックスシーンを作るのだから、そこで活躍する登場人物のキャラクターを魅力的にしないと始まりませんよね。清水さんは、主人公やメインとなる登場人物のキャラクターを構築する際、「履歴をつくること」がとても大切だと言います。
清水さん:その脚本を書き始める前、主人公やメインの登場人物たちはそれぞれ、どう思いながら、どう生きてきたのか、どんなことに喜びを感じたり、人生にどんなターニングポイントがあったのか、今現在の最大の悩みは何か等を文章にして下さい。履歴書のように箇条書きにするのではなくセリフを織り交ぜながら文章にしてください。1人A4で1枚ぐらい。
但し、ストーリーを作ろうとしないこと。この履歴は物語を作るためではなく、リアクションやセリフに活かすためのものです。例えば、「主人公の趣味は?」と聞かれたらパッと応えられるように。そして、その趣味はその主人公ならいかにもやりそうなことになっているように。そのぐらい細部まで各キャラクターを作り込むことに僕はこだわります。
このツメを甘くすると、進んでいくにつれて行動や言動がグダグダになる。「この人はこんなことやるかな」「こんなこと言うかな」と視聴者に疑問をもたれてしまいます。
また、履歴をきちんとつくることで似たようなキャラクターになることもありません。登場人物のキャラクターは鮮明に極端に書き分けてください。
魅力的なクライマックスシーンを作るためのポイント②
主人公とは対極的なキャラクターの登場人物をつくる
履歴をつくったからといって安心してはいけません。
メインの登場人物の中に、主人公とは対極的なキャラクターの登場人物はいますか?
いなければ必ず作ってください。
主人公と対極にあるキャラクターの登場人物をつくることが、魅力的なクライマックスシーンをつくる上では欠かせないポイントになります。それはなぜか、次の章で詳しく説明します。
魅力的なクライマックスシーンを作るためのポイント③
対極的な2人をぶつける
主人公と、主人公と対極にあるキャラクターの登場人物を“ぶつけて”ください。
どういうことかというと、例えば、
対極的な2人の気持ちや意見が“ぶつかる”ことで、主人公の感情が高まり、今まで言わなかった本音がむき出しになります。そこにまた、主人公とは対極にある登場人物が、主人公とは対極的な言動や行動を起こします。
そして、それを受けて主人公が…
——とこんなふうに、対極的な2人をぶつけることで、どんどんどんどん展開していってるのが分かりますよね。
なぜこのような“ぶつかり合い”が必要なのか。清水さんはこう説明します。
清水さん:僕は、クライマックスシーンとは具体的に言うと「主人公の価値観や生き方が変わる瞬間」だと思っています。脚本は、そこに向かって書いていけばいい。
そのためには、主人公とは対極にあるキャラクターの登場人物がいないといけない。対極にいる人が主人公を変えてくれるからです。この2人をどうぶつけて、主人公がどう変わっていくのか。そのビジョンとプランをもたないといけないと思っています。だからこそ、登場人物のキャラクターをしっかりと書き込まないとクライマックスは盛り上がらないと思います。
魅力的なクライマックスシーンを作るためには
「キャラクターを貫き通して、大事なところで変われ!」
清水ゼミの最後には、清水さんはこんな言葉を教えてくださいました。
それは、
「(主人公の)キャラクターを貫き通して、大事なところで変われ!」
キャラクターを貫き通すためには当然、キャラクターの履歴を作って細部まで作り込むこと。
大事なところで変わるためには、主人公を変える存在として、主人公の対極にあるキャラクターの登場人物が必要。そして、この対極的な2人をぶつける。
そうすれば、「主人公が変わる=魅力的なクライマックスシーン」を作ることができる。
皆さんも清水さん流に、キャラクターを作って、キャラクターを動かしてみて下さい。
今回ご紹介した魅力的なクライマックスシーンの作り方を参考にして、「あのクライマックス、いいね!」と言われる魅力的なクライマックスを作っていきましょう!
※脚本の見せ場の書き方についてはこちらのブログ「ドラマティックな展開を作る方法」をご覧ください。