6月20日(火)、いよいよ最終回を迎えるテレビドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS・22:00)。
毎週放送後、その回についての感想が必ずと言っていいほどネットニュースで取り上げられる話題のドラマ。
この脚本を手掛けた脚本家・吉澤智子さんはシナリオ・センターの出身生です。
原作モノを脚色するテレビドラマが多い昨今。この作品も原作はマンガです。
オリジナルではないドラマを、どんな想いで “吉澤流”に仕上げていったのか。
興味ありますよね?
先日、月刊シナリオ教室の取材でご来社頂いた際、吉澤さんのコメントを頂けましたのでご紹介します!
見どころは“人間臭さ”と“理屈や理性だけでは語れぬ愛の行く末”
現実社会と同じように、いい人なだけでも、悪い人なだけでもない。
共感はできないけど「わかる。いる」といった登場人物達の人間臭い姿と、そんな男女、夫婦が織り成す何が正しくて正しくないのか、理屈や理性だけでは語れぬ愛の行く末を最後まで御覧いただければ嬉しいです。
描きたかったのは“人間の多面性”
有島光軌という登場人物が語る「あんたのいい人が、他の人にもいい人じゃあないだろ。いい人でもいやだろう。いやなやつでもいいだろう」という台詞が第8話にあるのですが、原作のこの場面を読んだ時に、このシーンに説得力が持たせられる世界を10話通して描きたいと執筆を始めました。
一人の人間が、見る側の立場によって優しい人にも怖い人にもいい人にも悪い人にも見える。
道を外れた恋に苦しむ夫婦を描いていますが、そんな人間の多面性を描けていたらと思います。
個人的エピソードとしては主人公の夫・涼太のアスパラの輪ゴムを再利用したり、旬の野菜を買ってきたと報告したりする細かな描写は、私の夫のキャラを引用しています。
いい事。ありがたい事なんだけど、稀にちょっと「……」となるというか、本当にごめんなさい、そしてありがとう。夫さま(笑)
後輩の皆さまへ:どんなことも、将来使えるネタとしてストック!
私は、“不良シナリオセンター生”でしたが、今、なんとか脚本家をやっています。
環境、モチベーション維持等、色々な困難があるかと思いますが、どんなことも将来使えるネタをストックしている、と前向きにとらえて、がんばってください!
セリフやシーンがアタマと心に残る吉澤さんの脚本
吉澤さん、ありがとうございました!
著名な方々の影響でしょうか、いまは以前よりも「不倫」という言葉により敏感になっている気がしますよね。
だから、このドラマも不倫ものという点でも凄く注目が集まりました。
でも単なる不倫ものとして描かないのが吉澤さん。
「道を外れた恋に苦しむ夫婦を描いていますが、そんな人間の多面性を描けていたらと思います」という吉澤さんのコメントがそれを物語っていますよね。
深く描くからこそ、これほど話題になり、セリフやシーンがアタマや心に残るんだなと改めて感じました。
脚色するとき、また、目立ちやすいテーマを扱うとき、吉澤さんのこういった分析力や想いを是非参考にしてみてくださいね。
そして、最終回! 楽しみにしていましょう!