お年寄りの話を聞こう
シナリオ・センター代表の小林です。今年の敬老の日は18日なのだそうです。日にちが変わるとすっかり何の祝日かわからなくなります。敬老されていない形だけの祝日だということがよくわかります。(笑)
老人まっしぐらの私は、敬老の日だけめでたいと言われるのは如何なるものかと、いつも腹立たしく思います。
医学の進歩のお蔭なのか、長生きできるようになりました。
100歳以上の方が、46年間増加し続け、今年も65692人いらっしゃるとか。
最高齢者は鹿児島の女性116歳、男性は東京大田区の112歳、お元気で長生きされることはとてもうれしいことです。こんな報告も敬老の日にしか出てきませんが。(笑)
先日、96歳と92歳の方が、画学生の時に、本を読みあっている絵を描いただけで、共産主義を共謀しているという理由で、治安維持法違反で特高につかまって、2年近くも収監されたお話をお聴きしました。
昨今できた共謀罪と一緒ですね。もうおひとりは学生は、みんなが集っている絵で捕まったのだそうです。
小林多喜二が「蟹工船」で拷問死させられた時代です。現実に、ただの市民、ただの絵を描くことが好きな学生に、本当に驚くような怖いこと起こったのです。そして、これから起こり得るのです。
戦争や原爆体験者の方たちが、お年を召されてだんだん体験を語れる方が減っていく中、最近の好戦的風潮を苦々しく思われて、今まで沈黙されていた方が語り始めていらっしゃいます。
これからの世代に自分たちの味わった苦しい、つらい思いを体験させたくないという思いからです。
戦争の本質を原爆の本質を御存じの方々の声を、素直に耳を傾け、平和な世の中を持続させていくよう努力することがこれからの世代に務めだと思います。
敬老の日は、お年寄りの経験を聴き取る日にしてみてはいかがでしょう。
センター創立以来初めての試み
それぞれのつらい想いや楽しい想い、経験からひとり一人の生き方、考え方が作られていきます。
「人は皆違う」ということを踏まえて、キャラクターを創りあげていくことがシナリオを描くときには大事です。
シナリオ・センター創立以来初の「劇場型ゼミナール」が行われます。
なんかすごいことが起こるように聞こえますが(笑)、簡単に言うと俳優さんにシナリオを読んでいただくということなのですが・・・でも、すごいことが起るのです。
お芝居やドラマには「本(ホン)読み」というのがあります。実際に俳優さんが台本を読みながら、脚本家や演出家からダメ出しを受けたり、俳優さんから脚本家や演出家に、こういうキャラで演じていいのかとか、この状況をどう捉えればいいのかとか色々と質問しながら役作りをしていきます。
初めて行う「劇場型超実践ゼミナール」は、「本読み」を応用しました。
受講生のシナリオを、プロの劇団青年座の俳優さんが4人で演じてくれます。
その上で、俳優さんが作者に質問していきます。
実は昨年一度、戯曲講座の中でお願いしたことがあったのですが、その時、俳優さんの質問にほとんどの作者の方が答えられませんでした。
俳優さんは、自分の役を演じるために役の人物像を掘り下げていきます。ドラマの全体像を把握しようとします。ではないと演じられませんからね。
ですが、案外、作者の方が、無自覚に描き飛ばしているようです。
俳優さんに「こういう人でいいんですか?」と訊かれても、キャラクターをしっかり作り込んでいないから答えられない。
「このセリフはこんな言い方でいいんですか?」と訊かれても、そのシーンをイメージしていないので答えられない。
これでは、残念ながらいい本(脚本)とは言えません。
俳優さんからの質問によって、あなたのシナリオから伝わってこない分を把握します。
作品の良いところ足りないところを俳優さんの指摘によってつかめるのです。こんな形で、シナリオをみていくことは初めてです。
また、自分だけでなく他の方のシナリオを聴くと、そのやりとりから、むしろ客観的に冷静に、作品のポイントを掴むことができます。
俳優さんが迷うことなく演じられるシナリオ、これは美味しいと思ってもらえるセリフ、あなたは作っているでしょうか。
いつものゼミナールのとは違う角度から、「目からうろこボロボロ」(笑)、ブラッシュアップできる新感覚の体験となるでしょう。是非ご体験ください。