新しいテレビドラマへの模索
シナリオ・センター代表の小林です。10月最終土曜日、今年最後のシナリオ8週間講座が開講しました。
土曜日は、朝10時からの部があるのですが、最近は、朝の部がとても人気です。
ゼミナールでもそうですが、午前中に学ばれて午後から自由に時間を使うという形で、有効に一日を活動されていらっしゃるようです。
平日でも休日でもご自分の生活スタイルに合わせて、この日はと決めたら、必ず自分の時間として使うとのはとても大切なことかと思います。
人生は一度しかないのですから、充実した生き方をしていきたいものですね。
昨日は、東京ドラマアウォード10周年記念シンポジウム「ここから始まる“新しい”テレビドラマ」にお伺いしました。
ドラマが低迷していると言われている昨今、ドラマ界を牽引しているシナリオライターの井上由美子さん、古沢亮太さん、坂本裕二さん、野木亜紀子さんという錚々たるメンバーと各局・制作会社のプロデューサー、ディレクターのシンポジウムということで楽しみにしていました。
シナリオ・センターの受講生の方々も、たくさんの方が聴講されていました。
私は、“新しいテレビドラマ”を創りだすために暗中模索されている業界の方々の悩みは深いなあと思いながら、聞かせていただきました。
自分の役割を全うする
プロデューサーの脚本家への質問の中で、「自分の局と仕事していただけるか」とか「プロデューサーはどこまでシナリオに対して言っていいのか」というものがありました。
脚本家の方々は、「どこだからやらないというのではなく、一緒に仕事がしたいと思える人」とおっしゃっていましたが、これは「どこまで言えるのか」の質問とリンクしていると思いました。
仕事をされるときは、脚本家とプロデューサーは役割が違うということをきちんと理解していることが大前提だと思うのです。
同じ作品を作る人たちではあるのですが、それぞれの役割が違います。
当たり前のことですが、脚本家はシナリオを描く人、クリエイティブの部分を司る人です。 プロデューサーは企画構成進行等ロジカルな部分を司る人です。
ホン打ちの時、プロデューサーが「どこまで言っていいか」ということは、このロジックを司る人とクリエイティブを司る人のお互いの役割をきちんと理解していればおのずとわかることです。
プロデューサーは、例えば起、ファーストシーンだったら、起の役割を考え、登場人物のキャラクターが出ているか、天地人がわかるかを読めばいいのです。
その上で、このセリフや行動はこのキャラからは出ないとか、違うと思ったら、指摘する。
ロジカルにきちんと伝われば、脚本家はクリエーターの力を発揮し、魅力的なセリフ、天地人を考えます。 ロジカルなシナリオの読み方ができれば、脚本家への言い方も注文の仕方も変わってくるというものです。 プロデューサーはロジカルに的確に指摘して、クリエイティブなところは脚本家お任せすればいいのです。
これができる方と脚本家は仕事をしたいのではないでしょうか。(笑)
新井一は、撮影所の片隅で、プロデューサーはもちろんのこと、照明、美術、大道具小道具、記録、編集さんなど映画に関わるスタッフすべての人にシナリオを教えました。
少しでも良い作品を創るためには、全員がシナリオを分かっていなくてはいけないとの思いからでした。
いいドラマ作りのために、スタッフが一丸なって力を合わせるその大もとがシナリオです。
シナリオを通してお互いの役割をきちんと全うして、力を出せば、魅力ある作品になり、「”新しい“テレビドラマ」が生まれてくることでしょう。
10月30日から11月1日まで「表参道シナリオ日記」はお休みさせていただきます。よろしく御了承下さいませ。