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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

小説もシナリオもキャラクターがしっかり描けていると話が面白くなる
荒井修子さん小説家デビュー

蒼玉の令嬢(河出書房新社刊行)

国難は?

シナリオ・センター代表の小林です。お休みをいただいて神戸に行ってきました。ほとんどホテルの中で過ごしていたのですが、南京町のすぐ近くのホテルだったので、ひたすら中華食べまくり。信じられないほどまずいものから、ほっぺたが落ちるほど美味しいものまで色々いただいてきました。中国は深いです。(笑)

神戸で、昨日11月1日11時11分に緊急地震速報訓練がありますとホテルの方に言われました。
その時間は、たまたま三宮の観光案内所にいたのですが、Jアラートが一斉に鳴り、案内所中大きく響いたにも関わらず、そこにいた係の方からも説明はなく、観光客はだーれも驚きもせず、まったく鳴っていないかのごとく無視・・・。
「怖い怖い」の私と友人二人で、ドキドキしながら狐につままれた面持ちであたりを見回してしまいました。
Jアラートって一体どこまで知られているのでしょうか。
私の携帯にはきましたが、外を歩いている人たちは、それすら見ている様子もなく、少なくとも周囲50メートル範囲では誰も見ている様子すらありませんでした。
これで大丈夫なのでしょうか。
行政のやることって、どこまで間が抜けているのだろうかと旅の空で思ってしまいました。
徹底していないのか、する必要がないのか・・・。
国難は、選挙が終わったらすっかりなくなったようで、ホント、良かったこと。(笑) 

小説家デビュー

出身ライターの荒井修子さんが小説家デビューされました。
「蒼玉の令嬢」(河出書房新社刊)

サンドイッチ回想法で描かれたこの小説は、昭和の初め満州事変あたりの時代設定です。
「この石を、この石の価値にふさわしいと思う人間に与えなさい。与える相手を見誤ってはいけない。与える人間によって、この石は世界を幸せにも不幸にもする」という大きな蒼玉(サファイア)を託された孤児のユキと華族令嬢比佐子との友情のお話です。
台湾に父親の秋島男爵とでかけた比佐子は、帰りの船の中で飛んできた帽子をとろうとして、海の中へ落ちてしまう。その比佐子を助けたのは比佐子と同年代の少女ユキでした。
ユキは台湾へ売られた日本人で、台湾で殺されそうになって密航して日本へ逃げようとしたのです。
船底に隠れていたのですが、比佐子の窮状を見て、自分の命も顧みず助けたのでした。
本来は、密航者として台湾に連れ戻されるはずでしたが、比佐子のたっての願いで命の恩人としてユキは日本へ帰ることができるようになります。
何者かに殺された雇い主林夫人に、大きなサファイアを託されて逃げたユキは、日本に着くと事件の真相を追求するために比佐子の協力を得て動き出します。
比佐子は華族という立場を離れて、台湾の留学生楊陽明、男爵と懇意の軍人の吉岡に助けられながら、真相を追求し、下層階級のユキとの友情を深めていきます。

ちょっとミステリアスに、華族という特権階級と下層階級の織りなす世相を映しながら、二人の死ぬまで続いた階級を超えた友情が描かれており、人の優しさを描いたオリジナル脚本が得意な荒井さんらしい切り口の小説です。
キャラクターがしっかりと描かれているので、このままドラマにしたらとても面白いものになると思います。
昭和10年前後のドラマは、なかなかないのですが、特権階級、軍人、政府要人、彼等が戦争へと導いていく姿は、昨今の世情にも通じるもののような気がします。

荒井修子さんは、「島の先生」「マザー・ゲーム彼女たちの階級」「水族館ガール」「ツバキ文具店」など人間の優しさを描かせたら天下一品の脚本家です。
これからも人間味あふれた素敵なドラマ、小説を描かれていくことでしょう。
次の作品も楽しみです。

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