勤労感謝
シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、新井一の命日でした。働き者だっただけに、律儀に勤労感謝の日に亡くなりました。(笑)
ちょっと風邪っぽいと言いながら、遅めに起きて、大好きなお汁粉を3人前くらい食べて、なおかつケーキも食べようとしながら(どれだけ甘いものが好きなんだ(笑))、「ちょっと胸が焼けるから胃薬を飲んでくる」と洗面所に立って、薬を飲んだとたん、ばったりと倒れてそれっきりでした。
本人にとっても青天の霹靂だったと思います。
前の日もいつものように元気に、得意のセリフ「また来いよ!」と大声でスタッフに声をかけてセンターを後にしたのですから。
それでも、公募ガイドの原稿を書き終えてわかるように置いてあったのは、虫の知らせだったのでしょうか。
20年も前のことです。
20年経ても命日になるときれいなお花、大好きな柿、大好物のあんこなどのお菓子を届けてくださる方がいらっしゃいます。
ありがたいことです。シナリオ・センターを創設したからこそだと思います。
「シナリオの基礎技術」が、ジェームス三木さんがおっしゃるようにシナリオのバイブルとして生きているからでしょう。
これからも色々な形で、新井一を活かしていきたいと思っています。
シーンの起承転結
大御所八住利雄先生が、菊島隆三先生のご葬儀の際、「この頃シナリオライターは楽に書くことばかり心がけ、ストーリーや心理を安易に“流す”ことはうまくなっても、全体を組み立てたり、一つシーンを書き切ったりすることを怠ける奴が多くなったと、いつも君と話し合ったものでした。
これからの若い人たちが君の遺したオーソドックスな技法によるシナリオを勉強して、本当のものを得てくれることを願っています」と弔辞を読まれたそうです。
菊島先生は、1989年にご逝去されていらっしゃるので、今から28年も前のお話です。
今でもシナリオ・センターでは「安易に書き流さない」「シーンを書き切る」ことを、口を酸っぱくして申し上げています。
なぜなら、そこにしかドラマを面白くする、魅力的にする技はないからです。
今年は「シーンを描く」をテーマに47都道府県シナリオコンクールなどを展開してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ストーリーの展開、登場人物の心理感情の表現、事実を告げる・・・シーンの機能です。
でも、機能だけでは、全体をとして感動させることはできないと新井は言っています。
「そのためにどうするか、1つのシーンにも起承転結をつけるのです。
監督さんは、演出する時のめどとして『正念場』と『流し』という言葉を使います。
『流し』というのは、シーンの中でも説明シーンで、『正念場』というのは、起承転結をもった見せ場をいい、そこを心を込めて演出します。
シーンの重さを考え直しましょう。」
経験と実績から生まれた重い大事な言葉です。