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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

アマとプロの差をしっかりと見極めることでプロへ一歩近づく

ミソ帳倶楽部での内館牧子さん

過去の体験を活かす

シナリオ・センター代表の小林です。東京は、ちょっと今日は寒さが緩んでいますが、北陸の大雪は、まだまだ大変のようです。
温泉で雪見酒なんて風情があっていいですけれど、今だと雪見酒というより雪に埋まって・・・になりそうですね。
国道沿いの「餃子の王将」が雪で動けなくなったドライバーの方々に、餃子やチャーハンなどを配られたというニュースを見て、寒い中にも温かい気持ちになりました。
阪神大震災を経験された店長が、その時の店長がやったことを思い出して、急遽、バイトまで使って配ったそうです。
過去の経験を他人のために生かすことができる・・・これこそが人の道だと思います。
見たくない過去に蓋ばかりしていては、より良い未来は生まれません。
ひとりひとりが、自分の想い、考えで他人のことを想って行動を起こすということの大切をこの店長さんに教えていただいた気がします。

内館さんの毒唇は蜜の味

内館牧子さんの「毒唇(どくしん)主義」(潮文庫刊)という本が文庫化されました。
単行本の時も、内館さんの毒唇に拍手喝采を送りながら読ませていただいたのですが、改めて読み直してみると、10年以上前のお話しが多いのに、今の時代にどんどん言って欲しいことばかりなのですね。
進歩していないのか、どんどん悪くなっているのか・・・。(笑)
本来の意味をはき違えた忖度ばかりの昨今には、内館さんのように衣着せぬ物言いはとても貴重だと思います。

その中でアマとプロの違いを描かれているお話しがあります。
【立ち合いでまさった力士は、瞬時にして相撲の流れを自分の有利に作れるのである。(略)
私は東北大相撲部員に申し渡した。(略)
「すべては立ち合いよ。(略)横綱柏戸は「立った、走った、勝った」といわれたの、突っ込んだらそのまま走れ。柏戸になれ」
相撲に限らず、あらゆるジャンルにおいて重要なことはアマとプロとでは、どこに一番差があるのを冷静に見極めることではないか。
見極めたなら臆面もなく取り入れることだ。
どんなジャンルでも恥ずかしげもなく『柏戸になろう』と誓うことで、長足の進歩を得る気がするのである。】

【プロなら恥ずかしくなくいえることって、確かにある。
脚本家や作家はよく、「登場人物が一人で動き出すんです」と言う。
私も脚本家の卵だった当時、言ってみたかったが、これだけは恥ずかしくてどうしても言えなかった。
卵の腕では恥ずかしすぎるセリフなのだ。
実際「ひとりでに動きだす」という体験は、プロとして相当量の脚本を書いた後で初めて知った。
そう考えると「場数を踏む」という答えは、かなり核心をついていることになる。】

【改めて思う。プロとアマの差とは、名作とか巨匠と呼ばれるものの力を理解できるか否かということだ。そのためには、アマチュア同士で褒め合い、励まし合うよりも、一点でも多くの本物に触れることが大切なのだと、これもまた改めて思わされるのである】

アマからプロになるのは並大抵なことではないですが、シナリオライターも目標を持って基本をしっかりと繰り返しつつ、場数を踏むことで、プロへの道を進むことができるのだと思います。
本物を見るということは、本当に大切で、「名画を見たこともない」「名作を読んだこともない」のでは、創造の翼の広がりは狭く、描けるものが違ってしまいます。

内館さんはあとがきで「むろん、人生は形にしなくてもいいという考え方もある。
また好きなように生きたくても体調や環境に制限される場合がある。
前者に関しては、私も同意見であるが、だがそれと同時に形になるとやはり嬉しく、生きる励みになることは確かだろう。
後者に関しては、できる範囲でやり、それでも小さくても形になったら力が湧いてくるではないか。
状況が許さない事態も確かにあるが、時間というものは『捻出』するものなのかもしれない。
捻り出して、後悔を再スタートに変えよう。そんなことを思っている。」とおっしゃっています。

 やらなかった後悔から、再スタートすることは可能なのだと改めて励まされました。
明日も一歩踏み出して、次へとつなげていきましょう。

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