シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は、橋田寿賀子先生のお誕生日です。おめでとうございます。夕方から、橋田賞の授賞式が行われるので、おうかがいさせていただきます。
橋田賞は、昨年1年テレビで活躍された方々に贈られるのですが、「橋田賞新人脚本賞」にシナリオ・センターのおふたりが佳作をいただきました。(大賞は該当作なし)研修科YRの高橋美帆さん、通信研修科の土屋裕子さんです。
土屋さんは、通信生の方なので、初めてお会いするので、とても楽しみです。
4月に放映された「猫弁」の脚本家でもあり、原作者でもある、小説家の大山淳子さんの新刊がでました。
「あずかりやさん」(ポプラ社刊)です。
盲目の店主が、1日100円でどんなものでもあずかるお店をやっています。そこへくるお客さんたちの秘密と店主とのふれあいが、せつなく心あたたまるお話になっています。
一通の封筒から、本、高級自転車、遺書、アンティークのオルゴール、猫・・・何でもあずかります。
このお話のあずかりやさんの店主の桐島透は、盲目の青年。彼にも深い過去があるのですが、みえないということがキーポイントで、ものがみえないからこそ、人の心が見えてしまうんですね。このキャラがとてもいい。
自然とあずける人の心がほぐれていき、自分の生き方を見つけていく・・・訪れるひとり一人の物語が胸を打ちます。
店主が関わっているようで関わっていない、関わっていないようで関わっている・・・不思議なバランスに、あずけた人が自分で自分探しをしていきます。
語りが、あずけられたものだったり、お店ののれんだったり、お話しひとつひとつで変るのがまた魅力的です。
個人的に言うと、夜、寝る前に読んで欲しい本です。
心がちょっとギザギザ尖がってしまった夜は、この「あずかりやさん」の世界に入っていくと、ホッコリ気持ちよく明日を迎えられると思うのです。私は、穏やかに優しい気持ちになれました。
表現というのは、やはり自分が出るのですね。大山さんの作品って、どれもどこかやさしい、どこか暖かい・・・大山さんの人間を見つめる眼がでているのでしょう。
大山ワールドを楽しんでください。
さて、これから、橋田賞授賞式に行ってきます。
明日は、118期シナリオ作家養成講座の開講です。次の受賞者がここから誕生するかもしれません。
あなたの未来がここから始まります。