散歩がてら
シナリオ・センター代表の小林です。今にも雨が落ちてきそうな梅雨空で寒気が上の方にあるとかで肌寒いような蒸しているような・・・何とも言えないお天気です。
こういう時は体調を壊しやすいのでお気をつけください。
フラフラ散歩していたら、赤坂の迎賓館前にたいそうな人だかり。
そういえば、迎賓館って、見学できると聞いたなあと思い出し、当日でも入れますかと、警備員の方にお訊きしたら、OKだと言われ、これ幸いと見学させていただくことにしました。
実は、私が小学生の時、区立小学校なのに、迎賓館のお庭で毎年運動会をしているのです。
懐かしさもあるのですが、ずーっと疑問に思っていたのは、国賓をお迎えする迎賓館で、どうして区立小学校の運動会などができたのだろうかということでした。
そこで入館して、説明員の方にお訊ねしたのですが、この建物の成り立ちとか形式を説明してくれるだけで、私の疑問は、結局解けませんでした。
すべてに歴史あり
迎賓館赤坂離宮は、明治42年に徳川紀州家の江戸屋敷だったところに東宮御所として建てられたそうです。
地下1階地上2階で幅125メートル、奥行き89メートル、高さ23・2メートルという広大なもので、日本における唯一のネオバロック様式の西洋風宮殿建築です。
ベルサイユ宮殿はこういうものかなと思いながら、長年迎賓館の前を通っていたものですが、中には行って見るとまあ、すごい!天井の高さ、彫刻の凄さ、絵画の素晴らしさ、圧倒されます。
部屋ごとに、ルイ16世様式と説明されると納得、ナポレオン1世の頃のアンピール様式と言われれば納得、明治時代に創れらた七宝焼と言われれば納得。(笑)
国賓・公賓用のサロンとして表敬訪問や首脳会議に使われる朝日の間は南側に朝日が昇る風景、北側に夕日が沈む風景の油絵が対で描かれ、中央には菊の御紋章が飾られています。
この建物に一時期昭和天皇、今上天皇もお住まいになっていらしたことがおありだとか。
こんな広い宮殿に住んで、住まい心地はいかがでいらっしゃったのでしょう。
トイレ行くにも不便そうだし、驚くような広さに天井の高さ、彫刻の施したお部屋でお化けもでそうで怖くなかったのかなあとか下世話なことしか想像できない私は、庶民の代表です。(笑)
もうご覧になられた方もいらっしゃるでしょう、どのように思われたでしょうか。
私は初めて見学させていただいたのですが、創作する者は、一度見学すべきものだと感じました。
日本に、明治時代に西洋建築をここまで作れる技術があったことも驚きですが、すべてが庶民の感覚では捉えられないことばかりです。
この感覚を持つことは創作する者にとっては、必ずプラスになる気がします。
自分の知らない世界を垣間見ることは、視野を広げるための大事なことだと思うのです。
帰ってからパンフレットを読んでいたら、近所の区立小学校が、ここで運動会ができたであろうことを私自身で発見しました。
戦後、建物敷地共に国に移管されて、天皇陛下はお住まいにならず、国会図書館、内閣法制局、東京オリンピック組織委員会などに使用されており、その後昭和49年(1974年)に迎賓館として改修されたのだそうです。
昭和30年代、私が小学生の頃は、たぶん国会図書館かオリンピック組織委員会のものだったのでしょう。 ちょうどどう使っていいのかわからない時代の狭間に、運動会をさせていただけたようです。
迎賓館のお庭で運動会をしたちょっと自慢の小学生の私でした。(笑)
なんでも見てみるものです。
小さい頃の疑問も解決しましたが、あの有名な迎賓館にも時代に翻弄された過去があり、歴史があるのだということを知りました。
創作者を目指す方は、なんでも見てやろうの精神を持って、あちらこちらを訪ねてください。散歩がてらでもいいのです。ちょっと面白いなあと思ったものがあったら、首を突っ込んでみましょう。
ミソ帳をぶ厚くしていきましょう。
それがきっと、創作の大きな大きな糧になりますから。