『ハイキュー!!』(集英社)/古舘春一
注目ポイントはテーマ
バレーボール大好きな日向は、中学最初で最後の公式戦で天才セッター・影山に出会う。試合に惨敗、リベンジを誓い高校に進学した日向だが何とそこに宿敵・影山もいた!
シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。
マンガにはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えはマンガにある!シナリオ・センターにてマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回は取り上げるのは漫画『ハイキュー!!』。天才主人公がチームを引っ張るタイプが多いスポ根漫画の中で、この作品は冒頭からチームプレイに重点を置いていることが分かります。つまり、この作品の「テーマ」が冒頭に潜んでいるのです。仲村講師による解説をご覧ください↓
注目ポイントはテーマ
バレーボール大好きな日向は、中学最初で最後の公式戦で天才セッター・影山に出会う。試合に惨敗、リベンジを誓い高校に進学した日向だが何とそこに宿敵・影山もいた!
駅前の某スーパーでは、レジが混んでくると「レジ2人制をお願いします」という業務放送が入る。だが、なぜかこのスーパー、助っ人店員さんが来るまでにやたら時間がかかる。
結局、客のイライラが増すだけという、とんだ逆効果ぶり。人手が足りないんだろうな。そう思っていた。だがこの前、突如この業務放送が変わった。なんと「1番レジ田中さん、2番レジ近藤さん」という具合に助っ人店員を指名する方式。
すると、どうだろう、田中さん(多分)や近藤さん(多分)がどこからともなく走ってきて、あっという間にレジ2人制になるではないか。やればできるじゃん!人手足りてるじゃん!というツッコミはさておき、見事な連携プレーでレジがスムーズに進む進む。1+1=4くらいの勢いである。連携や協調はものすごいパワーを生み出すと思い知った秋の夕方であった。
というわけで、今月は、チームの連携と協調が最重要なバレーボールに燃える男子高校生たちの爽やか青春スポ根マンガである。
※You Tube
ハイキュー!! チャンネル
劇場版総集編 青葉城西高校戦『ハイキュー!! 才能とセンス』| 白鳥沢学園高校戦『ハイキュー!! コンセプトの戦い』 予告編
以前も書いたが、昔のスポ根マンガは、天才主人公がチームを引っ張るタイプが多かったが、最近は「チームプレイ」に重点を置くモノがとても多い。中でもこの作品はそれが顕著。例えば冒頭の文章からこうだ。
「頂の景色。おれ独りでは決して見ることのできない景色。でも独りではないのなら、見えるかもしれない景色」。
次に、2人の主人公、日向と影山が因縁の出会いをする中学時代の試合が描かれる。日向は実戦経験はほとんどないが、高い身体能力を持つ。
一方、影山は天才的な資質を持つが、独善的でチームから孤立している。偶然にも2人は進学した烏山高校で再会。中学時代の宿敵が、今度は味方として切磋琢磨し、成長・変化をとげていくことになる……のだが、入部1日目から喧嘩するわ、勝手にサーブ対決するわで、部から閉め出されてしまう。
「どんなに優秀な選手だろうが、一生懸命でヤル気のある新入生だろうが、仲間割れした挙げ句チームに迷惑かけるような奴はいらない。互いがチームメイトだって自覚できるまで部活には一切参加させない」
こうして2人は仕方なく歩み寄る。そして次第に気付いていく。自分の能力を最大限に引き出してくれるのはこいつだ、と。
どうでしょう、このわかりやすさ。もちろん他の部員達の心情も丁寧に描かれている。個人的には、勝利のために一歩引く決意する3年生の正セッターのエピソード(第4巻)がぐっと来た。『スラムダンク』の爽快感に『大きく振りかぶって』のデリカシ-が融合したような、そんな印象。ぜひご一読を。
出典:仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2013年11月号)より
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