昨日18日、第26回橋田賞の授賞式が行われ、平成29年度橋田賞新人脚本賞の贈賞も実施されました。
平成29年度橋田賞新人脚本賞の応募作品総数は104篇。第一次審査では8篇が通過。第二次・三次審査を経て、最終選考によって入選作1篇、佳作1篇が選出されました。
入選作は白石栄里子さんの『きび団子を買いに』。
そして佳作は、通信作家集団・菊地勝利さんの『あなたに贈る100のメッセージ』が選ばれました。おめでとうございます!
橋田賞新人脚本賞は、応募の年齢制限がありません。
菊地さんは応募当時49歳。これまで、いろいろな脚本コンクールに挑戦され、最終選考に残るものの、あと一歩及ばず、という悔しいご経験もされてきたのだとか。諦めかけていたとき、今回の受賞の報せを受けた、と仰っていました。
今回は、菊地さんの受賞コメントをご紹介。
いま、「何度も落ちてるから脚本コンクールに出すのやめようかな…」「もう年齢も年齢だから諦めようかな…」と悩んでいるかたは特に、菊地さんのコメントをご覧ください。
受賞の感想:答えは未来にしかない
〇菊地さん:20年以上も前から脚本を学ぶも継続的に活動できず、皮肉にも“大切なもの”を失うことで40歳を過ぎて自分の時間を得ました。
50歳まで書き続けようと決意するも毎年のように最終選考止まり。50歳まで残り2ヶ月となって今回の受賞のご連絡をいただきました。
受賞の感想を率直に言うと…、悔しい気持ちがあります。というのは、「この作品で賞をとる!」ということをあまり考えないで書いたので…。
脚本家としては本当はいけないことだと思うのですが、この作品を書くとき、自分の中に残っているものを吐き出すというか、「ダメならいいや!」という感じでぶつけたようなイメージがあるので、「これで本当にいいの?」という想いがあります…。まだ自分で“正解”というのが見えていないんですよね…。
今回の受賞は、新たな展開の前触れなのか、もうご苦労さんという最後のご褒美なのか、まだ努力が足りないという戒めなのか…。でも、答えは未来にしかないので、これからも書き続けたいと思います!
受賞作『あなたに贈る100のメッセージ』:10年前に見た夢がキッカケ
〇菊地さん:書くキッカケになったのは、寝ていたときにみた「夢」。
「奥さんを亡くしたお父さんが靴下を探していて、パッと引出しをあけると【靴下はどこどこにある】っていうメモがあって…」というシーンを夢でみて、これをずっと映画の宣伝広告用のシーンだと思い込んでいたんです(笑)。
タイトルの『あなたに贈る100のメッセージ』も、そういう映画があると思っていたんですが、ネットで調べても全然ないし、友だちに「こういう映画あったよね?」と聞いても「ないよ」と。
10年も前に見た夢なんですが、記憶に残っていて。いつも社会派の作品を書くことが多いので、ちょっと気分転換にもなるかなという気持ちもあって、コミカルな感じの家族ものとして書きました。
よくあるんですよ、こうやって夢に見ることが。ただ、起きたときに記憶が無かったらアウト。縁がないということで書きません。だから今回の作品は縁があったのかなとも感じています。
今後の展望:みんなの“見方”とは違うほうに
〇菊地さん:いっぱい書きたいものはありますけど、やっぱり社会的なものを書きたい。
日常で、おかしいことが多すぎると思っていて。1つの方向にみんなが偏り過ぎているように思うんです。
例えば、「ポジティブ」というとみんなポジティブの方に向くけど、今の人のポジティブって「今までを切り捨てて新しく!」というイメージが強いように感じるんですよね。
でも、本来のポジティブというのは、「今までのことをステップにして上がって行こう!」というカタチだから、切り捨てたり忘れちゃダメなんじゃないかなと。
“見方”っていろいろあると思うんです。だから、みんなの“見方”とは違うほうに行きたいと思っています。
菊地さんに続け!脚本コンクールいろいろあります
その前に…
もし今、「創作の第一歩が踏み出せない…」「スランプかも…」「書けない…」と感じていたら、まずはこちらのブログ「楽しく書くことが創作の第一歩」をご覧ください。前回の第25回橋田賞新人脚本賞の模様もお伝えしています!
そして、こちらのブログ「主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧」で、どんなコンクールがあるのかチェックしてみてください!