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生徒さんにどう伝えるか悩む…【突撃講師インタビュー!飯野講師編】

シナリオ・センターの新井です。
シナリオ・センターにはたくさんの講師がおります。
どの講師も、「皆さんに魅力的なシナリオを書けるようになってもらいたい!」と思っているはず…。
ということで、突撃インタビューを敢行。
創設者の孫というただそれだけで、「じっちゃんの名に懸けて!」講師の方々が、
ちゃんと頑張っているのか、御節介にも目を光らせてきました。

突撃講師インタビューでは、シナリオ・センターの講師像に迫ります。
講師インタビュー第一回目の今回はシナリオ・センターの研修科ゼミを担当する飯野さんに突撃!
飯野さんは2011年4月から新田講師から研修科ゼミを引き継きました。
そんな飯野さんが講師としての試行錯誤の日々や印象的な生徒さんのお話をして頂きました。

飯野ー断定した方が生徒さんは迷わず書けるんじゃないかと思うんです。
新井ー僕は毎回講師がどう伝えようか試行錯誤するのは良いと思います。

新井
講師デビューが前任者のクラスを引き継ぎというのはプレッシャーだったのでは?

飯野
そうですね。今思えば。
後藤先生に言われましたね。
新クラスより、前任から引き継ぐ方がものすごく大変だと…。

新井
(笑)。

飯野
その講師のやり方そのまんま引き継いで下さいって言われていたので。

新井
「そのまんま」…(笑)。
受け持って、時間が経ちましたが今も当時の雰囲気は残っています?

飯野
どうだろう。あの時とはメンバーも変わりましたし。
ただ最初、生徒さんから違和感があったと聞きました。
1、2年くらいした時に実はそういう時期があったんだと。

新井
それは飲み会の席で言われるんですか、「実は…」みたいに。

飯野
そうそう。

新井
(笑)。
どこが気になったんだろう?

飯野
私の講評コメントが厳しかったみたいですね。
そんなだったかなぁと思うんですけどねぇ……。
前のクラスの方はもっとおおらかで、自由度が高かったと。

新井
ははは(笑)。
ちょっときまずい。 

飯野
そう(笑)。確かに引き継ぎ当初は提出してくる課題もいろいろな世界観、ジャンルが多かったです。
宇宙を舞台にした未来の話だったかと思えば、外国の架空の街へなんて、本当にあちこち世界観が飛ぶので。
最初は生徒さんの作品についていくのに必死でしたね。
日常まわりを描いたものは割とイメージしやすいんですけど。

新井
やはり慣れるものですか?

飯野
いや、そんな設定の作品がだんだんと減ったんですよね。

新井
それはどうして?

飯野
僕が言ったからでしょうね。

新井
あ、そうなんですか(笑)。

飯野
設定は良かったんですが、設定ありきになっていましたから。
アイデアはプロデューサーでも素人でも誰でも出せますが、
シナリオライターはそれを基にして面白いシナリオを描くことが仕事なんだ、と。
これは、新井さんから聞いた話です。

新井
それ、多分ジェームス三木さんか誰かが言ったやつの受け売りです(笑)。

飯野
そうなんですか(笑)。

新井
はい(笑)。
でも、設定倒れになってしまうとホントもったいないですよね。
厳しい講評については、ちょっとコメントを柔らかくしようとかしたんですか?

飯野
特別には。もちろんどうコメントすれば良いのかは考えます。
課題を出した人に対してはもちろん、聞いている人にもためになるコメントにしたいから。
提出した人はもっとコメントが欲しいかもしれません。
……悩みどころですね。
生徒さんと話しながら日々少しずつ修正されたり、変わったりしているとは思います。

新井
シナリオって、答えがあるものじゃないですからね。
講評に完全な正解はないですし。
もちろん作品が良くなるための講評していますが、
生徒さんによって受け止め方もまた違うでしょうし、
どうするかは結局本人次第ですからね。

飯野
そうなんですよ。
こんな講師の悩みを喋っていて大丈夫ですかね(笑)。

新井
良いはず(笑)。

飯野
時々「こうなんだ」って断定した方が生徒さんは迷わず書けるんじゃないかと思うんです。

新井
僕は講師の技術論がぶれなければいいんじゃないかと思います。
世界観は何が正解か分からないけど、こう書けばこう伝わる、それは分かるじゃないですか。
それを生徒さん一人一人に合わせて、どう伝えるか。
講師も毎回悩みながら、どう伝えるのがベストかを試行錯誤するって大事だと思います。
ゼミは作品のテイストを講師の好みに合わせることが目的じゃないですから。

飯野
だと良いのですが。
ゼミを受け持った当初、ベテランの講師から「何年やっても悩むよ」と聞いたことがあります。

新井
そうですよね。
シナリオの技術の部分で悩まれたら困りますけど(笑)

飯野ー最終的には生徒さんに自分で気づいてもらえるまで待つ、それしかないんでしょうね。

飯野
(笑)。
まだ話して良いですか?

新井
もちろん。せっかくなので、トコトン聞いちゃいましょう。
飯野さんのエピソード(笑)。

飯野
ありがとうございます。
面白くて印象に残るシーンが書けるけど、「対立」が少ないなと感じる人がいて…。
課題を10本ほど書かれたときに、対立を意識的にいれてみるようアドバイスしたんです。
次に書いてきた作品はがスゴイ面白くなっていたんです。
それは月刊シナリオ教室に掲載されましたね。

新井
スゴイ! 20枚シナリオ習作集として選ばれたんですね。

※シナリオ・センター発行ので月刊誌シナリオ教室にて、年2回掲載される習作集

飯野
ええ。その生徒さんは普段から人と対立しない、ケンカもしないと思ったらしいです。
そこで「わざと友達とケンカをして、書いた作品を持ってきました」と言われて。
実際のケンカとシナリオの内容は別だと思います。
でも、なんか……凄くうれしかったですね(笑)。

新井
それって生徒さんからするとすごいチャレンジですもんね。
実際にケンカしてみたっていうのもスゴいです。
時々、課題「イライラしている人」が書けないと言う方がいらっしゃるんです。
どうしてと聞くと、イライラしたことがないから、と。

飯野
のんびりした方なのかな?(笑)。

新井
(笑)。
もちろん、日常でイライラしないに越したことはないけど。
この登場人物だったらどんなイライラの仕方かな?
そう考えることがシナリオを描く上で大切な要素だと思うんですよ。

飯野
自分で経験してないこと以外書けないとなると、限定的なことしか書けないですからね。

新井
サスペンスなんて成立しなくなります(笑)。
やっぱり、自分のアドバイスに反応してくれるのは面白いものですか?

飯野
そうですね。
ケンカまでするとは思ってなかったですけど(笑)。

新井
シナリオを書くために自分の日常に揺さぶりをやってみるということですもんね。
納得するものがあったんでしょう。
だんだん面白く書けてきているけど、何かが足りない気がするみたいな。
でないと「そうは言うけどなぁ」って終わっちゃうかもしんないですもんね。

飯野
何を言われても変わらない人は変わらないですから。
最終的には生徒さんに自分で気づいてもらえるまで待つ、それしかないんでしょうね。

新井
気づくタイミングっていうのもありますからね。
どんなに講師がうまく伝えたとしても、受け取る側が準備できているかも大事ですよね。
シナリオとか創作の世界ってすぐに気づけるものじゃないですから。
自分はこう書きたいんだというのがまずあって。
ちょっと試しに、講師がコメントした葛藤とか対立とかを取り入れたら話がまわってきたりして。
そんなものですよね、きっと。

飯野
あの時、言ってたのはこういうことなんだってね。
あるとき、ふっとわかるものだと思うんです。

物静かな飯野講師が、ポツポツと講師としての試行錯誤や印象的な生徒さんについて語ってくれました。
シナリオ・センターの講師は、「どう書くか」というシナリオの基礎技術について、ぶれることはありません。
でも、生徒さんに分かるようにどう伝えるかについて、日夜、試行錯誤を繰り返しているのだと思います。
そうやって、44年間続いてきたからこそ、業界で一番多くの出身ライターとコンクール受賞者を輩出しているのだなぁと改めて思いました。
次回の突撃インタビューは、あなたの担当しているゼミの講師かもしれません!

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