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もっと自己主張と対立を!【突撃講師インタビュー!藤本講師・山田講師編】

左から順に藤本さん、山田さん、新井

シナリオ・センターの新井です。
シナリオ・センターにはたくさんの講師がおります。
どの講師も「皆さんに魅力的なシナリオを書けるようになってもらいたい!」と思っているはず……。
ということで、突撃講師インタビューを敢行。

創設者の孫というただそれだけで、「じっちゃんの名に懸けて!」講師の方々が、
ちゃんと頑張っているのか、御節介にも目を光らせてきました。
第二回目は研修科を担当する藤本講師と本科を担当する山田講師のお二人に
お話をお聞きしました。お二人とも、大ベテランの講師です。

山田ー道で自分がした添削を一所懸命に読んでいる人を見たことがあったんです。スゴい感動しました。それと同時に改めてちゃんとやらなきゃと思いました。

新井
お二人はシナリオ・センターに関わって何年くらい経ちますか?

藤本
私は30年くらいになります。
4週間講座(※シナリオ8週間講座の前身の講座)から受講して研修科まで進級しました。
後半は某映画会社の会議など仕事の方が忙しくなってきて。
生徒と講師の間には少し期間がありました。
講師になってからは20年くらいですかね。

山田
私も大体同じです。受講してから30年くらいなりますね。
8週間講座に入って作家集団まで進級しました。
生徒として10年、講師として20年くらいになります。

新井
お二人ともベテランですよね。
生徒から講師になるってどんな感じなんだろう?

山田
私はまず添削講師からはじめたんですが…。
どうしたらいいのか分からなかったですね。

新井
どうしたらいいのかわからない…。
まずいじゃないですか(笑)。

山田
でも真面目な生徒でしたから(笑)。
自分が添削を受けた時のことを参考にしながらやっていましたよ。

新井
安心しました(笑)。

山田
(笑)。
講座よりも通信講座の添削が大変でした。
通信講座は直接会うことがほとんどないから、人となりが掴みづらい。
直接あったらすぐこたえられる質問も書いて伝えるのは難しいです。
あとクレームきたら怖いなって。慎重になります(笑)。

新井
(笑)。
ただでさえ、文章は冷たく感じやすいから。
受講生をイメージできないとどう伝えるか悩みますね。

山田
慣れるまでは大変でしたねぇ…。でも充実感もありました。
道で自分がした添削を一所懸命に読んでいる人を見たことがあったんです。
スゴい感動しました。それと同時に改めてちゃんとやらなきゃと思いました。

新井
講座でもみなさんドキドキしながら赤字が入ったところを読んでますから。
添削ってシナリオ・センターならでは。
書いたものを読んでくれて、さらにしっかりとした添削がある、そんところってあんまりないですよね。
藤本さんの研修科はどうですか?

藤本
発表してもらうのが基本なので添削はほとんどないんです。
添削は大変ですからね。
最初は本科の講師だったんですが、研修科を担当することになって時は
添削が少なくなってちょっと楽だな…と思ってしまったり(笑)。

新井・山田
はははは(笑)。

新井
本科は添削はありますけど、研修科はないですもんね。

藤本
でも楽というのは冗談(笑)。
研修科でもキチンとできているか確認しています。

藤本ー最近の生徒さんは講師に意見を言えない人も多いです。より自分のコメントに対して責任を持たないとって思います。 

新井
飯野さんも言っていましたが、講評って悩みますよね。
同じことを伝えるにしても、人が違うとニュアンスも変えないといけない。
同じ人なんていないから当たり前なんですが、改めてそれって大変ですよね。

山田
そうですね。
できるだけ書くことを楽しんでもらえるよう意識しています。

藤本
本当ね。でもそれだけ気をつかったとしても、必ずしも生徒さんの正解になるとは限りません。
加えて最近の生徒さんは講師に意見を言えない人も多い。
そういう人たちのためにもより自分のコメントに対して慎重になりますね。

山田
私が生徒だった頃は自己主張をしていましたけどね…。
だからみんなも自己主張しても良いのよって言います。
でも言わないわねぇ。

藤本
研修科でも言ってくる人はあまりいませんね。

新井
言いづらいのかなぁ?

藤本
決して言いづらい雰囲気ではないと思うんですが…。
講師に対して多少の遠慮もあるかもしれません。

山田
遠慮なんてしなくて良いのに…。
私が生徒のときは講師と意見を言い合っていたら、ケンカしているみたいだったと
同じクラスの人に言われましたことありますけど(笑)。

藤本
(笑)。
あと講評に納得しているのもあるとは思います。
生徒さんも課題を発表すると自分の意図がどれくらい伝わったか、実感しますしね。
でも、それでもどんどん発表して、講評に関してもどんどん意見をしてほしい。

山田
ホントにそう思います。
…でも、私に言っても意見を曲げないし面倒くさいから、
黙っておこうって人もいるかもしれない(笑)。

新井・藤本
はははは(笑)。

藤本
まあ、最近の人たちは生徒さんに限らず摩擦をさけている印象がありますからね。

山田
そのせいなのか作品にも対立が少ないですよね。
「ケンカした後の仲直りの仕方も分からないし、面倒だからしない」なんて聞いたことありますね。
それを考えるのがシナリオを書くということなんですが…。

新井
もっと対立を入れてみたらって言っても「はあ、そうですねぇ」みたいな感じで、
割と薄いリアクションになってしまったり。

藤本・山田
そうそうそうそう。

新井
食いつきいいですねぇ(笑)。
でも、それは飯野さんもおっしゃっていました。

山田
反論が出るのが怖いのかもしれません。
「世の中に対して何か不満とかあるでしょう?」って生徒さんに聞くと
「そういうアツいヤツ友達にいるんです、ウザいですよ」って言われたこともありました。
私も藤本さんにもよくウザがられる(笑)。

藤本
そんなことないでしょう(笑)。

新井
思わぬ飛び火(笑)。
「シナリオの基礎技術」にも「新聞を逆さに読む」という内容が書いてあります。
もちろん、講評は大事ですが何でも鵜呑みにしないことってシナリオを書く上で大事ですよね。

※シナリオの基礎技術…誰もがシナリオを書けるようにとシナリオ・センター創立者新井一が執筆した指南書。

藤本
大事です。
自分の子供には「人をすぐ裏から見る」とか言われますけどね(笑)。

新井
(笑)。
でも、そういう視点を持つことはシナリオライターを目指しているだけじゃなく、
いろんな人に大事なことだと思います。
だけど、そこを深く追求すると発想力の話になってくるんですよね。
それって感覚とか感性が大きく関係してきます。

藤本
そうなんです。「伝える方法」は教えられます。
ただ、何を伝えるのか発想力や考え方に踏み込むのは正直難しい。

山田
ゼミの時間も限られていますからね。

新井
当たり前なんですけど、何を書くかは書き手が決めること。
「私は何を書いたら良いんでしょう?」と聞かれても教えることはできないですから。

山田ーこのごろはテレビドラマを見ないって言う人スゴく多いですよ。
藤本—職業ものドラマを見てキャラクターの描き方を学べますから。

山田
もちろん、その人が何を伝えたいのか、見つけられるようアドバイスはしますけどね。
そういう時こそテレビドラマを見てって言うんですけど。
このごろは見ないって言う人スゴく多いんです。
「あなた達がテレビドラマを背負っていくんだから、もっと見なさい」と言います。

新井
僕は面白い、つまらない問わず見るようにしています。

山田
やっぱりつまらないと思ってもドラマは観ないとね。

新井
そうなんですよ。
なんで自分にとってはつまらないのか…考えてみるだけでも、勉強になります。
もちろん面白いところもそうです。
プロの人たちの技術を見て、何も得られないなんてないはず。

藤本
それにゼミの中で「あのドラマ、観た?」って聞くと「いや…」なんてね。
シナリオが書きたい人のはずなのに見ていないのは張り合いがないです。
例えば、職業ものドラマを見てキャラクターの描き方を学べますから。
絶対に参考になりますから、見てほしいです。

新井
本当そうなんですよ。
そうやって週に2、3本見るだけで違うと思いますけどね。

藤本
色々アイデアが浮かんだりしますからね。
自然と自分の書きたいものが見つかってくるだろうと思います。

山田
それが、いわゆる「作家の目」が身に付くということですよね。

新井
そうですよね。
自分にしか書けないもの、伝えたいものを見つけたり、生み出すって大変かもしれません。
でも、だからこそ、楽しいんですよね。

私が講師だった頃は…。

新井
現在受け持っているゼミの雰囲気をうかがいましたが、
ご自身が生徒だった当時で印象に残っていることはありますか?

山田
自分でスゴいアイデアだ!と思った作品が、講師にメタメタに言われたことは覚えていますね。
分からない人が悪いのよ、って思っていました(笑)。

一同
はははは(笑)。

山田
でも、自分が気に入っていない作品を褒めてくれことがありまして。
その時は「ちっとも分かっていないな」って思ったんですけど(笑)。
今なら分かるんです。
ほめられた作品は、キャラクターが描けていたんだなって。
当時はその時その時のハードルを超えるのに必死で分かりませんでしたが。
今の生徒さんも、小難しいことを言っても理解できないと思うけれど、
そのうち分かるはずだとコメントしています。

藤本
私の場合は講師の言っていたことはほとんど覚えていなくて。
印象に残っているのは、同じクラスいた人たちのコメントや作品です。
講師はもちろんそうですが、いろんな人の意見を聞けるのがゼミのよいところですよね。
今でも、時々生徒さん同士の方がシビアなこと言い合っているなぁって時がありますから。

新井
研修科だと生徒さんもシナリオを分かっている人が多いから。
本科のステップアップ先ですからね。

藤本
そうですね。
私の場合だとシナリオが分かるようになってきたことで、
変に意識して書けなくなることもありました。
辛かったですね。

新井
スランプってありますよね。
浅田講師なんかは、評論家になっちゃダメだよっと伝えるらしいです。
ゼミはもちろん書かなくても学べることはたくさんあります。
でも、せっかくなら書いて欲しいですよね。

山田
あと自分が書いていると他の人も頑張って書いてきたんだなってわかるんです。
それって大事なことで、人に優しくなれるんです。
私は課題を書いたこと、それだけで努力賞をあげたいくらい。

藤本
本当にそうよね。書くことでしか学べないことがたくさんあります。
やっぱりどんどん書いて、たくさん学んで欲しいです。

お茶会や飲み会で生徒さん同士や講師の普段見れない一面に触れてみては?

ゼミによっては、忘年会やお茶会に参加して生徒さん同士や講師と交流していたりします。
そこでしか見れない意外な一面に出会えたりします。

ちなみに藤本さんは「生徒さんとお茶会や飲み会に結構行くわよ」とおっしゃるのに対し
山田さんは「私がいると講師の悪口言えないから行かないわ」と笑っていました。
僕が「ゼミ以外で話せるのは生徒さんうれしいはず」と言うと「行くようにしようかしら」と山田さん。

厳しさの中に生徒さんに少しでもシナリオがうまくなって欲しい…そんな優しさに溢れているお二人。
僕もゼミに参加したいな、なんて思っちゃいました。

次回突撃講師インタビューはあなたのクラスの講師かもしれません。
第3弾でお会いしましょう。

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