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シナリオの書き方『カットバックとインサート』:このハラハラドキドキを伝えたい

カットバック法とインサート法をご紹介

映像ならではの表現、カットバック法とは…

映画やテレビドラマを観ていて、思わずハラハラドキドキしてしまうようなシーンがあります。
では、観客や視聴者をハラハラドキドキさせるシーンを、意図的に作るためにはどうしたらいいのでしょうか?

その一つとしてあるのが、カットバック法です。
カットバック法とは、異なるシーンを交互にみせる技術のことです。

例えばサスペンスもので殺人犯に追いかけられている花子。
そしてそんな花子を、太郎が助けに行くというシーンを描くとします。

○山中(夜)
  息を切らし走っている花子。
  裸足である。
  花子を追う黒づくめの男。
  手にはチェーンソー。
  逃げる花子。

○山中(夜) 
  花子の名前を叫ぶ太郎。

○山中(夜)
  走る花子。
  追う黒づくめの男。

○山中(夜)
  携帯電話を取りだす太郎。

○山中(夜)
  木に隠れ、息を殺している花子。
  携帯電話の着信音。慌てる花子。
  チェーンソーの音が近づいてくる。

と、花子が逃げるシーンを延々と映すのではなく、違うシーンを挟み込む(交互に見せる)ことにより、ハラハラドキドキさせることができます。
これがカットバックです。

また、実際に花子が逃げている「時間」が存在しますが、その実際に逃げている時間も省くことができます。新井一的に言うと、時間を「盗む」ことができてしまうのです。

カットバックは瞬間のドキドキやハラハラを感じさせてくれるだけでなく、時間経過も付け足してくれる、非常に優れた映像技術なのです。

時間を盗む技術「インサート法」とは…

「時間経過」ときましたので、ここでもう1つ時間の経過を描くのに便利な技術をご紹介します。「インサート法」による時間経過です。

先ほどと例を変えて…例えば埼玉県に住んでいる太郎が急に、生八つ橋が食べたくなって京都に行くことにしたとします。
2時間枠のドラマでここを描くとなった場合、もし時間経過の技術を使わずに、そのまんまを映していたら、太郎が八つ橋を買いに行っただけで終わってしまいます。ある意味面白いですがドラマではありません。「太郎が京都に行ったんだ」ということがわかればいいわけですから。

○山田家・玄関・内
  太郎、靴を履き出る。

○走る新幹線

○京都の街並み

○京都駅・改札
  太郎がやって来る。

と、数秒で埼玉から京都に行かせてしまうことができてしまいます。
これがインサート法というものですが、ここでは「走る新幹線」がそれにあたります。

時間経過の技術をうまく使うと、無駄なシーンが無くなり、テンポが良くなります。
カットバック法とインサート法はうまく使うと、何倍もドラマ自体が締まり、グッと面白くなりますよ。何と言っても、ドラマはテンポが大事ですからね。

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