大学のPR動画が、全く面白くない原因
先日、大学広報部の担当者さまを対象にした、面白いほど効果があがる「学校PR動画講座」を実施しました。
前半は、(株)学夢堂 代表取締役の東方宏さんが学校PR動画の効果や活用法を、
後半は、新井が制作のポイントをご紹介しました。
この講座を準備するにあたって、具体例としてご紹介する学校PR動画を探していたのですが、「これだ!」という動画が見つかりませんでした。ただ、動画探しが難航する中で気づいたことがありました。
それは、大学のルーツやこれまでの歩みを通して、大学の理念を紹介するPR動画が特に面白くない…
なぜ面白くないのか。
その理由が講座で分かりました!
それは新井のこんなコメントから。
【学校PR動画の大半は、「理念を詳しく伝えたい!」という想いから、大学のパンフレットを映像化しただけのようなものになっています。動画の中に対立や葛藤がないので、最初から最後までドラマに変化がありません。伝えたいことをただ並べているだけになっているので、「いいことしか言っていない動画」になり、閲覧者は「面白くないなぁ」と感じてしまうのです】
起承転結の「起」は、「転=テーマ」のアンチテーゼにする
皆さんもシナリオを書いているとこんなことありませんか?
自分の中で「伝えたいこと=テーマ」はハッキリしているのに、完成したシナリオを読むとテーマが全然伝わらないものになっていること…。
なぜそうなるとかというと、伝えたいことをただ並べているだけだから、なんですよね。
では、こうならないためにはどうしたらいいのかというと…
起承転結の「起」は、「転=テーマ」のアンチテーゼじゃないと!
――ということ。
シナリオ・センター創設者の新井一は『シナリオの基礎技術』の中で、「起」についてこう述べています。
<まず第一に、アンチテーゼを考えます。ここではテーマの反対のことを考える必要があるのです。例えば「友情とは尊いものだ」ということをテーマのところで訴えたいなら「友情とは下らんものだ」ということを考えるのです。なぜかというとドラマとは対立(あるいは葛藤)だからです>
これは、学校PR動画においても同じ。
【「伝えたいことを並べただけ」の動画にならないためにはまず、少し畏まった言葉になりがちな「大学の理念」を、柔らかい表現に噛み砕いて、それを動画の「テーマ」にします。そして、そのテーマのアンチテーゼから始めていけば、対立や葛藤が生まれ、ドラマチックなものになります。そして、伝えたいテーマがより強く、効果的に伝わるようになるのです】
アンチテーゼから始めるから、テーマが伝わる
伝えたいことを、伝わるようにするには、テーマのアンチテーゼから始める!
これが大切なんですよね。
今回の講座では、参加者の方々に学校の理念を伝えるための動画構成を考えていただきました。
当初は「ザックリ考えて頂ければ」と思っていたのですが、細部までこだわった素敵な動画構成が短時間で出来上がりました!
参加者の皆さんは全員、初めて構成を考えてみた方々ですよ!すごいですよね!
参加者の皆さんを見ていて、「テーマのアンチテーゼから入る」といった考え方を抑えると、初めて作ったとは思えないほどドラマチックな構成ができるということが分かりました!
アンチテーゼって本当に大切ですね。
講座を終えて、参加者の方から、【ドラマがなぜ魅力的なのか、そのカラクリを知ることができました。広報に活かしていきたいです】という感想をいただきました。
この「広報」という言葉を聞いて、思ったことがあります!
映像だけじゃなく、
人に話を聞いてほしいときや、
文章を読んでほしいとき等々、
「人に何かを伝えたいとき」は、
伝えたいテーマのアンチテーゼから始めればいいのではないでしょうか?
皆さんも、シナリオ以外にも使ってみてください。
始まりは、テーマのアンチテーゼからですよ!