キッズシナリオを開催しながら『表現の自由』について考えた
シナリオ・センターの新井です。
1/14(火)、22(木)に横浜国立大学の附属小学校である鎌倉小学校に、キッズシナリオの出前授業をしてきました。いつもは私がしゃしゃり出て授業をしていますが、今回は田中くんにキッズシナリオの講師デビューをしてもらいました。
客観的に授業を見ながら、ふっと『表現の自由』について考えてみました。
キッズシナリオというのは、2010年のシナリオ・センター40周年を機にはじめた『一億人のシナリオ。』プロジェクトの一端で、小学校へ出前授業を行うというものです。これまで多くの小学校で授業をさせて頂き、のべ1200名以上の小学生に出前授業を体験してもらっています。
子どもにとっての表現と大人にとっての表現
ここ数日『表現の自由』という言葉が、ニュースでも取り上げられています。
聞くたびに、なんだか妙な気になったのは、そもそも表現って自由なのかなと。
キッズシナリオを実施しているとき、最初は書くのが苦手という子どもたちに、「こういうポイントを押えると、どんどんセリフが出てくるよ」とワイワイ話しながら進めていきます。
みんな楽しそうにシナリオを書きはじめます。
先日22日の鎌倉小学校の子どもたちは、たった20分くらいで、200字詰め原稿用紙6~7枚相当のシナリオを平気で書いてしまいます。
ホント、見ていてすごいなぁ~と田中くんと感心しちゃうわけです。
で、同じシナリオでも、高校生、大学生、社会人と年齢と経験を積んでいけばいくほど、20分で書けるシナリオの量が減るのです。
もちろん、たくさん書ければいいわけではありません。
ただ、表現に対する自由度は、子どもよりも、大人の方が狭い感じがします。
そう、大人にとっての表現はとっても不自由。
大人になるとは、表現が不自由になることだ!
大人は、「こう書いたら面白いかな」「オチはどうつけようかな」「他の人が思いつかないことかきたいな」など、ちょっと下心がでます。それは経験から生まれる作品への客観性なのかもしれません。
もしかしたら、大人になるって表現が不自由になることなんじゃないかと思うのです。
だって、何かを表現しようと思うと、すっごい不自由な感じがしませんか?
この不自由な感じを経て、大人は何かしらを表現するわけです。表現することへの責任なんかも背負っちゃったりして。
だからきっと、表現する側は「こんなに不自由なことを頑張ってしたんだから、表現したものを受け入れてよ!」という思いが根底にあるのではないかと思います。
シナリオの講座を通して、色々な世代の方を見てきて、改めて、表現の自由と不自由について考えちゃいました。
表現は不自由だから、楽しいのだ!
大の大人がシナリオを書く。うまくなるなるために学ぶ。いい歳して・・・
いやむしろ、大の大人がいろ~んな不自由を乗り越えて「シナリオを書くことが楽しい」「人を楽しませたくて、もっとシナリオがうまくなりたい」そんな姿はとっても魅力的です。
>>60歳なんてお昼過ぎ!?創作に適した年齢に遅いも早いもない
シナリオ・センターは、「シナリオを楽しみながら書ける」ベストな環境を築いていくことが大切なんだと思います。本科講師の山田さんがインタビューで言っていた「課題書いてくるだけでも、ホント偉いと思う」という言葉を思い出します。
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