シナリオS1グランプリ
シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、シナリオS1グランプリの授賞式でした。
おめでとうございます。
準グランプリ「浅草インフレーターズについて語るときに私がどうしても語っておきたいこと」 竹田行人さん(元研修科)
準グランプリ「ガールズ・リベンジ」友塚結仁さん(元本科)
佳作「アブレオスのささやき」高津直子さん(作家集団)
奨励賞「トリセツ」村田健一郎さん(一の会)
奨励賞「白いマットの武闘会」田畑忍さん(元研修科)
奨励賞「イン トランスポート」田村壮史さん(作家集団)
シナリオ・センター主催のシナリオS1グランプリは、すべての応募作をしっかりと読みこみ、作者の作家性を大事にみながらも感性だけでなくプロとして長く通用できるだけの力(基礎力)を持っているかどうかで選ばせていただいています。
なので、S1で選ばれた作品は、技術的にもしっかりとできている作品であり、作者は今後書き続けて行ける力を持った方々です。
自信を持ってこの先へと進んでいただきたいと願っています。
ドラマの魅力づけ
2018年度のシナリオコンクール発表は、これで終わりでしょうか。
様々なコンクール作品を拝見するたびに、皆さんのシナリオ力が上がってきているように思われ、頼もしく思っています。
ただ、多くの作品に感じることは、確かにうまいのですが、奇抜な設定、面白い設定を作ることに力を注ぎ過ぎていて、それを視聴者に、観客にどう伝えるか、いや、どう伝わるかということをおろそかにしているような気がします。
それは、物語を作り込もうとするあまりに登場人物を駒としてしか動かしていないからだと思うのです。
昔のお話しは勧善懲悪が多く、いい人はすべていい人、悪玉は絶対的に悪い人で懲らしめられると決まっていました。
水戸黄門のように、黄門様はどんなときでも正義であり、「越後屋、お前も悪よのぉ」という代官様と商人は、あくまで悪者です。(今の世の中と似ている気もしないではありませんが。)
それはそれで、常に善玉は悪玉を懲らしめる・・・ふだん虐げられている者にとっては胸のすくスカッとするお話でとても大事なものだと思います。(笑)
ですが、人間はだれでも、全くの善人ということも全くの悪人ということもありません。
だから、もっと人間を掘り下げてとかよく見つめてとか指摘されることがあるかと思います。
魅力ある人物とは、シナリオ・センターでは二面性と言っています。
もちろん人間は、現実社会では多面性で二面性だけではないのですが、ドラマにするときは多面性にすると支離滅裂になってしまうので、すっきりと憧れ性と共通性の二つにしています。
憧れ性とは「ああいう人になりたい」とドキドキワクワクする魅力です。
でも、それだけだとつまらないので、もう一面共通性をいれます。
共通性とは、弱点、ウイークポイント、私も同じだわと思える親近感です。
二面性があると人物の魅力がグーンと増します。 登場人物がどう動くかは、このキャラクターで決まるのです。
キャラクターがしっかりとできていれば、ドラマは、なにか(事件・事情)を投げ入れたとき、面白く動いていくのです。
奇抜な設定ばかりにとらわれずに、魅力的なキャラクターをいかに創ろうかということに主眼を置いて下さい。
今回のシナリオS1グランプリの受賞作を読んでいただけるとおわかりになるかと思います。キャラクターがとても魅力的です。
来年コンクールに挑戦するために、プロの道に進むために、人は皆誰も違うのですから、色々な人と接して、奨励作の「トリセツ」ではないですが、人間観察をされることをお勧めします。
とはいえ、やり過ぎると友達に嫌われるかも。(笑)