友がみな・・・
シナリオ・センター代表の小林です。昨日、コンクールに御三方も入選との朗報をお伝えしたところ、それをご覧になって、同じように応募された受講生の方から、ちょっと気持ちが萎えちゃったとメールをいただきました。
過日は、フジテレビヤングシナリオ大賞に14才の中学生が受賞されてものすごく落ち込まれたと、色々な賞を受賞されている方なのに、がっくりされていらっしゃいました。
仕方ないのです。どんなものでもそうですが、圧倒的に落ちる方が多いのです。そこから、トップに出ていくというのは一握り、すごいことなのです。
しかも、年も経験もあまり関係がないのが創作の世界。
ある意味つらい世界ですが、どんな世代にもチャンスはあるということでは、また希望が広がる世界でもあります。
とはいえ、どうやってモチベーションを保ち続ければよいのでしょうか。
「人は皆違うのですからここで落ちても大丈夫、書き続けていればチャンスは来ます」と申し上げても、人間ですから落ち込まれるでしょうし、そんな先のわからない励ましをされてもと思われるかもしれません。勝負する限り、勝敗はあります。で、必ず誰かは負ける。
今日もテレビを見ていてつらかったですが、稀勢の里関の気持ちはどうでしょう。その時に、どうするかで人としての生き方が問われるのかもしれません。
「友がみなわれより偉く見ゆる日よ花を買い来て妻としたしむ」
石川啄木の歌ですが、同期の北原白秋、吉井勇、木下杢太郎などがどんどん世の中に認められていくなかで、落ち込んでいく啄木。
唯一の理解者である奥さんと花をみることで心の安らぎを得ようとしていたようです。
こういう気持ちって、どなたにも経験されたことがあるように思います。
でも、うらやましがったり妬んだりしても何にもならない。自分を傷つけるだけです。
それよりは、常に他人は皆違うことを心に刻んで、我が道行く、前を見ることかと思います。
もちろん、メンタルの問題は簡単ではないかもしれませんが、表現するということは凄い力を持っています。
書きましょう。ともかく書きましょう。自分の表現をしていきましょう。
他人とは違うのですから、他人をうらやましいと思う必要はないのです。ご自分の道を探っていくことは、他人へのアクションになるような気がします。
この道
映画「この道」、出身ライターの坂口理子さんの脚本です。
童謡誕生100年なのだそうです。
啄木に妬まれた北原白秋さんと山田耕筰さんのお話しです。この二人が出会わなければ、私たちが知っている童謡は生まれなかったのです。
山田耕筰さんは、童謡だけではなく管弦楽の父でもあり、欧米で初めて認められた日本を代表する音楽家です。
北原白秋さんは、詩、短歌から民謡、校歌など幅広く活躍された詩人です。
勤勉で真面目な男山田耕筰、遊び人のダメ男北原白秋、全く違う性格の二人が多くの童謡を創りあげていく姿を笑わせて、泣かせて描いています。
♪からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ♪
♪ゆりかごのうたをカナリアがうたうよ ねんねこ ねんねこ ねんねこよ♪
♪あかいとり ことり なぜなぜあかい♪
子供の頃からよく歌ったものです。
昨今、70歳過ぎの認知症になられた方たちが、この童謡を歌うとどなたも歌えるというくらい心に沁み込んでいる曲です。
時代を超えて心に残る童謡が、このふたりからぶつかり合いながら紡ぎだされていくさまは、表現をする、創作する者にとって大きな励みになります。
是非ご覧ください。
♪この道は いつか来た道 ああそうだよ あかしやの花が咲いている♪
あなたの「この道」はどこですか?