先輩後輩
シナリオ・センター代表の小林です。3月1日にミソ帳倶楽部で「林海象映画大学~日本映画史を語る~」で林海象監督に映画を観ながら、お話を伺いました。
その後、質問を受けつけたのですが、すべての質問にお答えすることができませんでした。
普通は「時間切れ」で終わるところなのですが、なんと林監督、当日応えられなかった質問を、一人一人の質問用紙にお返事を書いて送ってくださいました。 本当にありがたいことです。シナリオ・センターの先輩は、心底優しいですね。
4日月曜日は、ndjc(若手映画作家育成プロジェクト)の期間限定ロードショーで監督舞台挨拶があり、林監督がゲストでおいでになりました。
なんとなんと、シナリオ・センターの川上信也監督作品「最後の審判」を絶賛してくださいました。
若手映画作家育成プロジェクト2018の5作品のうち、長編映画にできるのは「最後の審判」だけだと。
わが先輩の柏原寛治さんも「サイコー!」と称賛してくださっており、林監督は「柏原寛司さんにサイコー!と言ってもらえるのはすごいことなんだよ。すぐにこの映画で長編を創りなさい」と激励。
私ももちろんですが、確かにほとんどの方が「この続きをみたい」とおっしゃってくださる、それはシーン、キャラクターに魅力があるからなのです。
林監督が質問に「いいシナリオとは、①キャラクターに感情移入できる②構成がしっかりしていて物語がよくわかる③チャレンジャーなもの」と答えていらっしゃいますが、まさに川上さんの作品はその通りなのですね。
この期間限定ロードショーは、東京は8日まで(連日舞台挨拶)連日18:15有楽町スバル座で。名古屋は8日から14日までミッドランドスクエアシネマ2で連日18:30(3/9のみ18:00舞台挨拶あり)。大阪16日から21日まで連日18:00(3/16舞台挨拶)シネ・リーブル梅田で。
5作品を見比べてみると、林海象監督がおっしゃっていることがよくわかります。
監督を目指されている方だけでなく、いいシナリオを書きたい方は何が良くて何がまずいのか、しっかり感じ取っていただけることでしょう。
20枚から長編へ
シナリオ・センターの真髄としていることは、ひたすら書いてもらうことです。
頭の中で考えていたり、妄想しているだけではだめで、それをきちんと書いてみるということが大事なのです。
形にしてみる、ENDマークまで書いてみること、これがうまくなる最低条件だと思っています。
なので、まずシーンを描いていただくために、20枚シナリオを書いていただいています。
この20枚シナリオ、結構クセモノで、ともすればショートストーリーになってしまうんです。
そうじゃないんです。
20枚で書いてもらいたいことは、シーンの魅力なのです。ディテールなんです。
このキャラクターのぶつかり合いだからこそのシーンを創ると魅力的になるという風に。川上さんの作品はまさにこれでした。
新井一は、20枚から240枚への書くためにこう言っています。
「単に枚数をふくらませると考えてはいけない。」水増しではなく、承(エピソード)を増やすということです。「長短はエピソードの数でできている。」わけですから。
「エピソードは団子の串刺しではいけない、必ず上昇すること。」盛り上げないとドラマは面白くありません。
説得力を出すには「シークエンスとエピソードの区切りははっきりとする。」
「人物、ストーリーは魅力をつけろ。」キャラクターはもちろんのこと、より人物関係に魅力を付けると効果的です。
「何を書くのかテーマをしっかりと」長編は、テーマが案外ぼけてしまいやすい、あれもこれも詰め込まないとドラマチックにならないと思い込んでしまうと、テーマがぼけてしまうのです。
さて、今年もコンクールがたくさんあります。
20枚シナリオしか書いたことがない方も、シーンの積み重ね、いわば20枚シナリオの積み重ねだとわかったら書きやすくありませんか?
4月開講「公募コンクール対策講座」で基本を確認するのも受賞への早道かもしれません。