物語を書く ときは読む人のことを考えて書く/弓削さんのコメントを参考に
――物語を書いているとき、「書き終える」ということに夢中になって、「誰に向けて書いているのか」を忘れてしまったこと、ありませんか? こういった経験があるかたは特に、今回の記事はおすすめです――
先ごろ受賞作が発表された第2回WOWOW新人シナリオ大賞。今回は応募総数413編の中から大賞1編、優秀賞3編が選出。優秀賞受賞者の中のおひとりが、元本科の弓削勇さん。
受賞作は『息を籠める』。
<あらすじ>主人公の備後尚彦は子供の頃から憧れたアニメを作るため、アニメ会社で働いている。大御所監督・日向由志郎の新作が始動するが、鬼監督として有名な日向の暴走や衝突で現場は大混乱。ある日、講演会を頼まれた日向を車で送るハメになる備後だが、一緒にいる中で日向の人となりを知っていく。そんな時、交通事故を起こし入院する2人。同室という悪夢の空間で、日向によるアニメレッスンが始まる。
選考委員の脚本家・羽原大介氏は【アニメ業界を描いた所謂『業界もの』であるが、そのリアリティが素晴らしく、思わず主人公の新人スタッフを応援したい気分になった】と評価。
同作品のシナリオと受賞インタビューは『月刊シナリオ教室 2019.8月号』(7/26月発行)に掲載予定。
それに先立ち、ブログ用のコメントをいただきましたのでご紹介。
そのコメントで特に印象的だったのが「もしこの作品をアニメ関係者が見たとき、嫌な気持ちにさせず、応援している気持ちを伝えたいと思いました」という言葉。弓削さんは、ゼミの課題20枚シナリオでも、読む人のことを考えながら書いていたんだとか。
「こういう人たちに、こういうことを感じてもらえたら!」という書き手の熱量は、読み手に必ず伝わります。弓削さんのコメントと受賞作をぜひご覧いただき、作品を書くときの参考にしてみてください。
「応援している気持ちを届けたい」
――今回、優秀賞を受賞されて
〇弓削さん:「大賞を」というよりも映像化されることが脚本を書く上では希望していることでしたので、今回届かなかったのは残念でした。ですが、何かしらのチャンスがあればいいなとは思っていますのでまだ諦めてはいません(笑)
受賞後は、やはり自信が付いたという部分はあります。今まで勉強していても、意味があるのかと落ち込む時もありましたが、今回受賞したことは、努力をした結果だとも思いますし、もちろん審査員の方々のおかげだと思っています。まだまだ不安はたくさんありますし、勉強不足な部分を補うためにも努力を続けていかなければと思っています。
――受賞作『息を籠める』について
〇弓削さん:アニメ制作者が好きで、名前を憶えたりして尊敬していたので、彼らが活躍している現場モノを書きたいと思いました。舞台がアニメの制作現場ということで、アニメを知らない人にも伝わりやすいように心がけたつもりです。 また、もしこの作品をアニメ関係者が見たとき、嫌な気持ちにさせず、応援している気持ちを伝えたいとも思いました。
自分がゼミの20枚シナリオを書いた頃が、ちょうど2011年3月でした。震災の直後の作品では、避難所で凍える母子が、一年後、桜の下で家族で笑顔で写真を撮るという作品を作りましたが、その時も、その人たちに応援している気持ちを届けたいと書きましたので、そういう部分は同じかもしれません。
――コンクール受賞を目指すシナリオ・センターの生徒さんにぜひメッセージを。
〇弓削さん:自分もコンクールは何度も応募してきましたが、今回受賞した作品を描いた昨年は、背水の陣のつもりで猛勉強し努力しました。楽に受賞できるものではないですし、楽に受賞しても結局は努力が必要になります。努力・根性・夢、少年漫画のようですが、それが道を開く力になると思います。そして読む人のことを考えて書いてみてください。あきらめないこと、好きなものを好きでいること、その気持ちを忘れずに頑張ってください。
※第2回WOWOW新人シナリオ大賞の大賞受賞者もシナリオ・センターに通われていた生徒さんです。
・ブログ「第2回WOWOW新人シナリオ大賞・大賞受賞 光益義幸さん」はこちらからご覧ください。
※第1回WOWOW新人シナリオ大賞受賞者もシナリオ・センターに通われていた生徒さんです。
・ブログ「“自分を信じて書き続ける” 第1回WOWOW新人シナリオ大賞受賞 圓岡由紀恵さん」はこちらから。
・「“コンクールに出し続ける”第1回WOWOW新人シナリオ大賞優秀賞受賞 伊藤竜也さん」はこちらから。
※弓削さんに続け!脚本コンクールいろいろあります。
こちらのブログ「主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧」で、どんなコンクールがあるのかチェックしてみてください!
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