目を見開いて
シナリオ・センター代表の小林です。夏休みも終わり、シナリオ・センターは本日から秋季となります。
秋季といっても、立秋も過ぎても、この驚くような暑さと湿気。その上、台風の被害が大変なところも多く、災害日本はまだまだ暑いばかりです。
どうか体調を崩しませんようにと祈るしかありません。
昨日は、終戦記念日でした。
アメリカと戦争をした、アメリカが占領軍として日本に入ってきたということも知らない若者が増えてきているとニュースで言っていました。「なんということだぁ」と思いますが、それは若者の責任というより、大人の責任なのです。
高橋源一郎さんが世界の主な教科書を読まれて、日本の教科書ほど第二次世界大戦のこと、日本の責任、反省を教えていないところはないとおっしゃっていました。
大人は、責任をもってちゃんと嫌なことにも目を向けて、なぜ戦争が始まったのか、どういうことを日本がしてきたのか、なぜ310万人も死ななければならなかったのか、なぜ原爆は落とされたのか、なぜ沖縄戦があったのか、その意味を知り、考えないと、また同じことを繰り返すことになります。
戦争経験者のほとんどの方が、今の状況は戦前に似ているといいます。
決して戦前にしない、戦後であり続けるためにも、私たちは目をつぶらずにあらゆることに目を向け、耳を澄ませていかなければと思います。
今は、日本の悪口をいうと、非国民といわれるとか。でも、過去をきちんと顧みないと、未来へは進めません。実は非国民は愛国者なのだと思うのですが。
今日、17日午前0時(16日深夜)、NHKEテレビで映画「広島」を放映します。
この映画は、1953年、被爆から8年後に製作され当時のスターたち岡田英二、月丘夢路、山田五十鈴さんらと8万人を超える広島市民が撮影に参加されて創られました。
フィクション、ドラマですが、原爆投下直後の広島の惨状、市民たちが傷つき苦しむ姿の実際の映像も交えて迫真のリアリズムを再現した反戦ドラマです。
新藤兼人監督の「原爆の子」の方がご存じの方も多いと思いますが、この映画は、べルリン映画祭長編映画を受賞されています。私は、若い頃拝見しましたが、本当に悲惨な映画でした。
先日の広島原爆記念日の時に、市民の方が、平和記念公園を見るだけでなく、そこに実際に住み生活を営んでいた人々、暮らしがあったことを知ってほしいとおっしゃっていらしたのが印象的でした。
日本は今のところ、香港ではありません。うるさくなったとはいえ、憲法に守られて、まだ表現できる場所があり、見ることも聞くこともできます。
午前0時からです。是非本日見てほしいと思います。眠れないかもしれませんが。
五感
現実はつらいけれど、ちょっと楽しくいきましょう。
本日公開された矢口史靖監督の「ダンスウィズミー」、シナリオ・センターミソ帳倶楽部で8月28日、矢口監督のお話を伺いますが、こちらはもはや満員御礼。
キャンセル待ちになってしまいました。申し訳ありません。
おいでになれない方、ミソ帳倶楽部、次は9月13日、8月30日公開の映画「引っ越し大名」の原作・脚本の土橋章宏さんがゲストです。
こちらも先着順ですので早めにお申し込みください。
時代劇ってどうやったら描けるの?という疑問から、シナリオも小説も書いてしまう土橋さんだからこそ色々なことを聞いてしまいましょう。
時代劇を描く際に心がけていること、課題「時代劇」を描くコツとか。
小説家志望の方は、小説を書くときと脚本を描くときの違い、スイッチの切り替え方など、何でもかんでも聞いてしまいましょう。先輩だし。(笑)
土橋さんは、売れっ子になってもシナリオ・センターの作家集団で学ばれていらっしゃいました。
学ぶということにもどん欲な方ですが、効率よくシナリオ・センターを使うには、なにをどう学ぶといいのかなどもお訊きしてみてはいかがでしょう。
他人のお話を聞くことは、本当に勉強にもなり刺激にもなります。
ややもすれば創作者は内にこもりがちですが、そうではなくいろいろな人との出会い、様々なこととの向き合いというのが大事なのだと思います。
週刊文春の7/11号「阿川佐和子のこの人に会いたい」岡田惠和さんとの対談でした。
そのなかで岡田さんが「岡田本人がどう思っているかを役者にセリフとして言わせるのは禁じる。
そして、一生懸命、自分でない人の気持ちになってみる。
他にも、たとえば、僕が女子高生を主役にしたものをやるときにリサーチを信じないようにしようとは思っています。(略)
イタコになるのが理想ですね。四六時中、自分じゃない人の気持を考えているから、どんどん自分がなくなって。(笑)」
他人の気持ちになろう、想像しよう、そのためにはいろいろな他人を知ることは自然と他人にやさしくなれるということにつながるのだと思います。