menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

もののあわれを知るには、想像力+教養+知識が大切かも。

シナリオ・センター代表の小林です。昨日の続きをお話します。 

国立新美術館、サントリー美術館、森美術館は、六本木美術館巡りのトライアングルです。
どこへいっても楽しいのですが、私は、国立新美術館を後にしてサントリー美術館へいきました。
サントリー美術館で、「もののあわれ 日本の美」展を。
森美術館は、「LOVE展」なので、さすがに日曜日は若い人が多い。おばあとしては、ひとりでちょっと恥ずかしい。(笑)
それだけではなく、この間も書きましたが「ものあわれ」に惹かれているもんですからね・・・。
「ものあわれ」に惹かれるのは、やっぱり高年齢層が多かったですね。(笑)それと、外人さんが多い。
日本の美って、「もののあわれ」に象徴されますから、日本好きの外国の方にはたまらないんでしょうね。 

日本の美

こちらは、まさに日本。日本人に生まれよかったなあ・・・って、しみじみ思わせられる展覧会です。

「もののあわれ」というと「哀れ」・・・悲しいとか寂しいとかのイメージですが、本来は賛嘆や愛情をふくめて深く心を惹かれることを意味するのだそうです。
本居宣長は、「もののあわれを知ることこそ、人生を深く享受することにつながる」といっています。
雪月花、花鳥風月・・・季節ごとに、自然を愛で、人を想い、和歌や書、源氏物語や枕草子のように描く・・・日本ならではですよね。中国とは、またちょっと違う気がします。
一昨日の月は、十六夜でした。
月を表す言葉も満月、上弦の月、下弦の月だけでなく、立待月、寝待月、弓張月、待つ宵月など、言葉だけでもドラマを感じませんか。


最近は、漫画「ちはやふる」や「うた恋」などで、若い方々が和歌に興味を持ち始めています。私も漫画「ちはやふる」が大好きです。
  「ちはやぶる 神代も聞かず 立田川 からくれなゐに 水くくるとは」
一応、国文科を出た私は、六歌仙の小野小町が卒論でしたが、恥ずかしいほど和歌がわかるとは言い難い。(汗)
歌の奥に潜んだ想いを読み取れるほど、オトナじゃないし、知識も教養もないといわれればそういうことなんです。(恥)
堀江先生がご存命の頃、毎月句会をシナリオ・センターで開いていました。
こちらは俳句ですが、私の句は、師に言わせると、「つかみはいいんだけれどコピー(広告文)みたい」で、「俳句は、奥が深いんだ」といわれ、うーん、奥がない私はどうしたものかと悩んだものでした。
わずか五七五、十七文字に想いをこめるには、相当奥が深くないとまずいのでしょうね。和歌は、それに十四文字プラスされますけれど、三十一文字にどれだけのものを込められるか。
「もののあわれ」を感じられる人になりたい。
学びが何の足しにもなっていない見本みたいな私です。
シナリオライターを目指す方々には、口を酸っぱくして言っていることなのにね。すみません、反面教師だからこそいえることもあります。(笑)
 「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
私の一番好きな小野小町。歳を重ねて、余計に身につまされています。(笑)
歌が詠めると死ぬときもカッコいいです。西行法師のようにお釈迦様の入滅の日に死にたいと歌って、本当に同じ日に亡くなられるというのもいいかも。    
 「願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月の頃」
風情というのは、ある意味ストレートではない表現から生まれるのでしょう。
それには、心にも頭にも余裕がなくてはいけません。心にいっぱい思い、考え、想像できるように、たくさんの知識、教養も必要ですね。謙虚に学ばねば。
日々、様々な人に学びながら、季節ごとの移ろいや暮らしぶりを大事に過ごしたいものです。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ