忘れない
シナリオ・センター代表の小林です。先9月1日、ナチスのポーランド侵攻から80年を迎え、ポーランドで行われた式典にドイツ大統領が参列し、「過去の罪の許しを請う。我々ドイツ人がポーランドに与えた傷は忘れない」と謝罪し、両国首脳で鐘を鳴らして平和への誓いを新たにしたというニュースを見ました。
素晴らしいと思ったのは、謝罪はもちろんですが、「ポーランドに与えた傷は忘れない」という言葉です。
他人に「与えた傷」をちゃんとわかっていることが人として一番大切にしたい心だと思いますし、過去を真摯にすべての人が記憶に留めることは、再び同じ過ちを繰り返さないために大事なことだと思います。
第二次世界大戦の同じ立場でいながら、日本とドイツはどうしてこうも違うのでしょう。
過去をきちんと伝えていく、記憶に残すために今もなお努力を重ねているドイツを見習いたいものです。
また「自分たちの将来を守るために」にと授業をボイコットしてデモに参加している香港の中学高校生たち。
自分の未来は自分たちの手で作ろうとする若者たちの勇気ある姿は大人して本当の申し訳なく思います。
日本のおかしなところを伝えないように海外のニュースばかり流しているマスコミのおかげで、反対に世界が見えてきて、余計情けない思いになってしまうのはどうしたものかと。(笑)
日本のマスコミも自分の視点で伝えてほしいものです。
視点
脚本・監督の福田雄一さんと俳優山田孝之さんのタッグは、つと有名ですが、私の大好きなお二人が何と新橋演舞場でミュージカルを上演されています。
しかも石丸幹二さんと山田孝之さんとのW主演。
まず、このタッグが商業演劇の新橋演舞場で・・・というのもおかしく(下北沢ならねぇ)、しかも石丸幹二さんとミュージカルというのも意外で、ちょっと観に行ってきました。
原作はブロードウェイで上演され、いくつもの賞をとっている傑作コメディミュージカル「ペテン師と詐欺師」。
福田さんが上演台本を書かれています。
なので、セリフも新橋演舞場ではあまり聞かない洒脱なセリフとやりとりで、あまりやらない下ネタも。
いつもの福田ワールドを、あえて半分真面目にミュージカルにしてあるようで、ものすごく面白く、演舞場らしくない笑い声が響きわたっていました。
さすがです。
原作があっても、ひとたび脚色されると、また演出によっても、こんなにも違って作れるのだなあと感心しながら拝見しました。
オリジナルではなくても、人によって、視点が変わることによって、いくらでも創作者の力が発揮できるものだと思いました。
人はみな違うのですが、当たり前と言えば当り前ですが、原作があるからこそ脚本家の創作者としての力が発揮されるものなのかもしれません。