即位の礼
シナリオ・センター代表の小林です。22日は「即位の礼」でお休みのため、昨日は忙しく日記が書けませんでした。失礼いたしました。
テレビで「即位の礼」を拝見していましたが、まるで平安絵巻、華やかでドラマを見ているような気分でしたが、皇族の方々は重い衣装でさぞかしご苦労されたことでしょう。日本の伝統って大変なのですね。
神璽には賛否両論あろうかと思いますが、天皇陛下ご自身は憲法にのっとり、象徴としてのお役目を果たそうとされていらっしゃることが伝わるお言葉を下さいました。
変わらずに貫いていただき、国民のため、世界平和のために、力を注いでいただければ、日本もよくなるのではと思いたいです。
台風での被災者を慮って、天皇陛下のご意思でパレードを延期されたとか、政府は延期する気はなかったとかの話が出てきています。
真偽のほどは知りませんが、今までの天皇陛下の国民に対する姿勢と政府の姿勢を思い起こすと、被災者への思いやりの気持ち、想像力に大きな差を感じるので、きっと政府は気にしていなかったかもと思わされてしまいます。
悪夢のような状況にいる方々がたくさんいらっしゃるのに、その上まだ終わってもいないラグビーW杯に対して「夢のような1カ月だった」とコメントする首相に、その誰に対しても失礼な思いやりのないコメントに本当に情けなく悲しくなりました。
天皇陛下のお言葉をかみしめて、政治家の皆々さんは、今からでも遅くない、少しでも国民に目を向け、多くの被災者の方々が心から安心できるようにしっかりと対応していただきたいと願うばかりです。
岡田ワールド炸裂!
久々に心から笑え、ジーンとくる素敵なお芝居を観てきました。
「不機嫌な女神たちプラス1」岡田惠和さん脚本です。
岡田惠和さん、お芝居は3作目。1回目は「スタンド・バイ・ユー~家庭内再婚~」、2回目は「ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜」、この2作も見せていただきましたが、堤幸彦監督、深川栄洋監督と映画監督、映像畑の方が演出でした。
当時のコメントで岡田さんが「慣れ親しんでいる映像の監督さんなので安心できる」というようなことを仰っていましたが、今回は、劇団も主宰されているバリバリお芝居の演出家田村孝裕さん。
3作どの作品も観劇し、感激するほど(すみんせん、ダジャレをいいたい)面白かったのですが、私は今回がとってもお芝居としてしっくりできていたように思いました。
和久井映見さん、羽田美智子さん、西田尚美さん、黒一点谷原章介さん4人のお芝居です。
だーれもいない古民家カフェへ久々にこの地へ来た風情の男タケオが入ってくる。誰かいると思って、長々自分を語るタケオ。こざっぱりしているイケメンだが、最初はもてるのにいつも友達にも彼女にも捨てられるという中身のない男だと告白。
そこへ客の来ない古民家カフェをしている郁子、時々都会へ出かけるさつき、二人は幼馴染。東京へ出ていた三人組の一人桂(けい)の話などとめどなく無駄話しながら帰ってくる。
二人を見て、思わず隠れるタケオ。
幼馴染の仲良し3人組のひとり、東京で小説家として一躍脚光を浴びたが、その後鳴かず飛ばずで金持ちの年上の男と結婚し破産の上、死別して田舎へ帰ってくるという桂(けい)の話だ。そこへ、本人が帰ってきて・・・。
そこから、長い会話劇の始まり。
まあ、4人のキャラクターのぶつかり合いがすごい。話の端々から4人のキャラクターが浮き彫りになり、終着点など見つからないほどのあっち飛びこっち飛びの会話なのだが、やがてそれぞれの胸の内がみえてきて・・・。
古くは「ちゅらさん」のリビングの住民たちの会話から始まって、「最後から二番目の恋」の喫茶店兼ダイニング、「ひよっこ」のレストラン裏の路地、「セミオトコ」のうつせみ荘の食卓にいたる登場人物たちのおしゃべりの楽しさが、そのまま舞台で再現されているのです。しかも生で。岡田ワールド全開です。
ちょっと胸が痛くなったり、ちょっと泣きそうになり、吹き出したり、大声で笑ったり、観客としては大忙し。
なぜかすべての登場人物に感情移入できる、それぞれ違うのだけれど、どこにも私がいる、自分勝手でおバカだけど憎めないかわいいキャラクターたちの応酬だから。
郁子が言います。
「無理にひとつの答えなんか探さなくてもさ・・・
誰かが誰かにあわせなくてもさ・・・
尊重しあって、お互いに自由に、一緒に生きればいいじゃん。
じゃないと誰かと一緒になんて生きられないじゃん。そうでしょ?」
岡田さんのメッセージです。
岡田さんのドラマ「セミオトコ」のノベライズが出ました。
もちろん、ノベライズは国井桂さん。岡田さんのドラマのノベライズは、国井さんじゃなくっちゃ。ゼッタイです。
国井さんは「8年越しの花嫁」「雪の華」「ひよっこ」など岡田さんのドラマをたくさんノベライズされていらっしゃるのですけれど、なにがすごいって、ノベライズはドラマから起こすのだけれど、まるで原作みたいに岡田さんの描きたいことを小説にされている。
その力量は並じゃない、もちろんご自身が脚本だけでなく小説も書かれるからこそできる技なのだと思います。
「セミオトコ」はご存じのようにセミが、友達もいない男性とも付き合ったことがない寂しい女性のために生きている7日間を人間として暮らすファンタジー的なお話ですけれど、うつせみ荘の住民たちにセミオがセミだと告白するところ、
「皆は完全にセミオがセミということを信じ、その驚きの中にいたけれど、私は信じれば信じるほどこの先のことを考えてしまって、辛くて悲しくて、微笑みを顔に張りつけているのが精一杯だった。そして、そんな私の想いを皆も気がついているみたいだった。」
映像が目に浮かぶし、その状況のつらさが出ている、国井さんならではの本当にうまい表現だと思います。
時々、ノベライズの中には、ト書がそのままで、申し訳程度に接続語と形容詞が入るくらいの「シナリオのままでいいじゃん」みたいなものもあるのですけれど、国井さんのノベライズは岡田さんのドラマを余すところなく表現して、それ以上に小説として昇華させているのです。
多くの脚本をてがけていらっしゃるからこそ、小説との違いをしっかりと出されているのだと思います。
岡田惠和さん、今月からNHKで「少年寅次郎」が始まりました。
あの寅さんの少年期のお話です。毎週土曜日21時から。こちらもお楽しみに。
本日は岡田ワールドでした。