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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

想像力と創造力

脚本家とは

想像力

シナリオ・センター代表の小林です。阪神淡路大震災から今日で25年経ちました。
あの惨状を目にした時の衝撃はいまだに忘れられません。
大阪校の生徒さんも亡くなられた方や行方不明の方がいらして、つらい日々が続いたことを覚えています。
何年、何十年経っても、あの時こうしていたらという想い、そばにいた人が急にいなくなってしまった喪失感は、決して消えることがないのだと思います。
この日は、忘れてはならない日ではあるのですが、被災者の方々にとっては傷口を再び開けられるような辛い1日ではないかと思うと心が痛みます。

残念なことにこの国は、過去の教訓を生かすという精神に欠けています。
いつ起こるかわからないことにお金をかけるより、目先のことしか考えない。100年の計を考える人がいない、心の貧しい国です。
他人の痛みは当事者でなければもちろんわかりませんし、同じ痛みを共有することはできませんが、多くの災害が起っている昨今、一人一人が他人の痛みを想像できる人間でありたいと思うのです。

シナリオを描くことは、ドラマを作るためのものですが、常に登場人物すべてに目を配り、他人の想いを描かなければ、魅力あるアクション、リアクションになりません。
シナリオのすごさは、一方的な考えや想いを出すことができないことです。何故なら、アクションとリアクションの両方を作らなければならないからです。
この思考が、ふだんの人間関係にも役に立つのです。
相手のことを考える、他人の気持ちを想像する・・・シナリオを日本中の人に書いてもらいたい由縁です。

創造力

面白い企画がソニー・ピクチャーズエンタテイメント(SPE)で進められています。海外映画のリメイクです。
第一弾は、出身ライターの岡田惠和さんが手がけられています。
イタリア映画で日本でもヒットした「パーフェクト・ストレンジャー(邦題「大人の事情」)」です。まもなく撮影開始で年内公開の予定。
SPEではもうひと「スティル・ライフ(邦題「おみおくりの作法」)」のリメイクも待機されているそうです。
原作ものが多い日本映画ですが、リメイクという形もあるのですね。

基本、ストーリーは、新井一は23パターンしかないといっています。ほかの方の分析では5パターンとか16パターンとか色々ですが、私たちが見ているドラマ、映画では色々なストーリーのように見えても、このいくつかないパターンのひとつなのだということです。
では、なんで色々なドラマがうまれるのかというと、いつもシナリオ・センターの授業で口を酸っぱくして申し上げているキャラクターです。
シナリオ・センターではオリジナルを描く勉強を中心にしています。作者のオリジナリティを発揮していただきたいから、自分の考え、想いを表現してほしいからです。オリジナル力は必須です。

原作ものを脚色する、映画やドラマをリメイクするには、一見オリジナリティは必要ではなそうですが、実はオリジナリティがものすごく必要なのです。
小説やリメイクそのままで映像化しても面白くはなりませんから。
そのままドラマや映画にするのではなく、小説や映画の魅力、テーマ性を大事にしながら、より魅力的にするには、脚本家のオリジナリティが問われるのです。
元のものを大事にしつつ、そこに今日性や魅力を補っていくというのは切り口、見せ方、キャラクター、設定、構成など、作家の視点にかかってくるからです。

作家の眼を作る勉強として、こんなこともいかがでしょうか。
小説を読んで、面白い、映像化したいという作品に出合ったら、自分だったらどこを切り口にして、誰にポイントを置くか、どんな風に描くかなど考えてみる、時間があればシナリオにしてみるというのもいいかもしれません。
他人のものを読んだり、見たりすることは大きな肥やしになります。
本を読む、映画、ドラマを観る、今年は果敢に行動してみてください。
創作に必要なことは、常に客観性を持っていることだと私は思っています。

過去記事一覧

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