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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

そこにあって当たり前だと思っている中に、すてきなものがあるかもしれない。

梅雨の晴れ間というのでしょうか。青空も空気も澄んでいる感じがします。月曜日にこういう天気だと、今週はいいことありそうな気がして。

 県庁おもてなし課

日曜日に、岡田惠和さん脚本の「県庁おもてなし課」を観にいきました。
原作者の有川浩さんの小説も大ファン。有川さんのキャラの創り方はハンパじゃなくうまいので、いつも感心し、引き込まれるように一気に読んでしまうんですね。
「県庁おもてなし課」は、実際に有川さんの出身地高知で、本当に起こったことを元に書かれているんです。なので、高知を愛している有川さんの想いがいっぱい溢れていて、その想いをどんな風に岡田さんが受け止めて、映像化されたのか、とても興味がありました。

私はここ数年、毎年高知工科大学でキャリアアップの授業をさせていただいているので、高知にはとても親近感があります。
映画をみながら、思わずメモをとったのは初めてです。
だって、大学の授業に使えそうなことをいっぱい言うんだもん。(笑)
このお話は、高知県庁が観光に力を入れようと「おもてなし課」というのを作ったところから始まります。
お役所のことですから甚だしくお役所的で(笑)、出身の人気作家(高良健吾さん)に観光特使になってもらおうと思ったところ、「スピード感のないお役所気質」「柔軟な民間感覚を持て」と指摘されちゃうんです。
そんな叱咤激励に奮起して、その昔独創的な観光プランを出して県庁を追い出された清遠とともに主人公の掛水(錦戸亮さん)、アルバイトの多紀(堀北真希さん)を中心に「おもてなし課」が変っていきます。
高知は、豊かな自然以外にはなにもないところです。
「ボクらの町には、新幹線はない。地下鉄はない。モノレールも走っていない。ジェットコースターがない。ディズニーランドもUSJもない。フードテーマパークもない。Jリーグチームもない。ドーム球場がない。プロ野球公式戦ができん。寄席がない。2千人以上の屋内コンサートができん。中華街はない。地下街はない。温泉街もない。金もない。・・・けんど光はある!」
自然しかない、都市化に向かない・・・なら、これを逆手にとって、山河海の自然に恵まれた高知をウリにしようというお話です。
まさに逆転の発想の大事さを教えてくれました。
私が、今大学でお教えしていることは、「自分を知って、自分に合う仕事を探す」
まずは、自分のいいところ探しをしてもらうところから始めています。
オリジナリティ溢れる自己推薦書、自分を売り込めるエントリーシートを書けといわれても、自分の魅力をわからない学生には書けません。
お仕着せの当たり前のものしか書けないのは当たり前。(汗)
掛水君がいいます。「自分のふるさとを、自分がいいところだと思っているか」それがなければ、他人に伝わらないと。
就職試験も同じです。自分のいいところを知っていなければ、雇ってくださいとはいえません。
有川さんが「そこにあって当たり前だと思っているものの中に、ステキなものがあるかもしれない。」とおっしゃっていますが、案外身近なもの、目の前にあるものって、見えないものですから。
自分ことを知るって、とっても難しいことです。だからこそ、あえて向き合う体制を作らないといけないのです。
この映画では、お役所気質が、その昔素晴らしい発想をした人を斬り、今また若いやる気のある人達の気持ちを削いでいきます。
「仕事をしたい!」「役人だって仕事をしたい!」と叫ぶ掛水君と多紀ちゃん。
仕事って、ぶつかるものが多いけれど、自分が気に入るようにはできないことが多いけれど、でも、そこで人生が終るわけでもなく、どこかにまた変化を生むことができるかもしれないし・・・。
映画では、高知にわっさわっさ観光客が押し寄せるというハッピーエンドではありません。・・・けんど、光がある。
この7月に授業でお伺いするので、授業の展開にも役に立ちそうです。(やった!)

高知の学生さんに、いえ、すべての将来ある人達に観てほしいと思った映画でした。

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