そもそも書くとは……
書くという行為は、人と人のコミュニケーションの方法であり、自己認識でもあります。
文部科学省の「これからの時代に求められる国語力」の中で「書く力」として、
1) 自分の考えや意見などを正確に伝える論理的な文章を書くことができる
2) 伝統的な形式や書式に従った手紙や通信などの文章を書くことができる
3) 様々な情報を収集して,それに基づいて明確な文章を書くことができる
とあります。(参照:第3 望ましい国語力の具体的な目安より)
日々のチャットやメールはいざ知らず、小説や、脚本、ブログやエッセイなど、「なにかしら作品を書こう!」というとき、私たちに立ちはだかる問題は、書き続けることができるか否かです。
そこで、書き続けるために重要なことをまとめました。
・書き続けるために、モチベーションを保つ方法
・書き続けることを、習慣化する
・書き続けるための、書けないときの対処法
・書き続けるために、インプットをする
・書き続けるために、書き方を学ぶ
・書き続けるために、作家の姿勢をまねる
書き続けることは、なぜ重要か?
作品を書くためには、書き続けるという作家としての体力が必要になります。プロになれば、作品を求められるので自ずと書き続けることが必要になります。
また、プロになるためにも、習作を書き続ける必要があります。文章や創作がうまくなるための一番の近道は、腕を動かして書き続けることです。
書き続ければ、上達しますし、上達を感じられれば、書くことが楽しくなります。楽しいと感じられれば、書き続けることができます。腕を上げるためにも、書き続ける状態を作ることが重要です。
書き続けるために、モチベーションを保つ方法
書き続けるために大切になることのひとつに、モチベーションがあります。人はどうしても怠けがち。妥協しがちです。そんな人でもモチベーションが保てる方法を3つご紹介します。
① 1人でいいから、読者を持つ
『書く』という作業は、とても孤独なものです。そのため、モチベーションを保つのが難しいという面もあります。まずは、たった一人でいいので、あなたの書いたものを読んでくれる人を見つけてください。
② ご褒美を決める
『書く』ことが楽しい、書き上げたという思いを持つことが、書き続けるためには大切なことです。そのため、書いた自分にご褒美をあげるようにするのも一つの手ではないでしょうか。小さな達成感を積み上げていくことで、書くモチベーションを維持することができます。
おいしいコーヒーを飲む、大好きなチョコレートを食べるなどから、あの店で洋服を買うなど人それぞれ、ご褒美を決めてみてください。
③ 書き上げた先の人の顔をイメージする
『書く』という作業は、自己対話でもあります。ですが、必ず書いたものを読む人がいます。私たちは誰かに、読んでもらいたくて書くのです。なので、書き上げたものを読んだ人がどんな表情になってくれたらいいのか、常にイメージをすることも大切なことです。
書き続けることを、習慣化する
書き続けるためには、習慣化することも大切です。歯を磨くことは、習慣になっているから、忘れずにすることができます。同様に書くことを習慣化することで、書き続けることができます。
① 机に向かう曜日・時間帯を決める
習慣化の一歩目は、書く曜日・時間帯を決めてしまうことです。朝型の方、夜型の方、昼の方が集中できる方といろいろいると思うので、自分の生活リズムを踏まえて、「この曜日のこの時間に書く!」と決めてください。開始の時間はもちろんですが、終了の時間も決めるといいと思います。
② 発表する場をもつ
書いたものを、発表する場を持つことで、習慣化することができます。発表の場といっても、大げさに考える必要はありません。身近な人に読んでもらうのでもいいですし、最近知り合ったような人に読んでもらうのもいいかと思います。
③ 締切りを決める
いつまでに、どこまで書くのか、と締切りを決めるのもいいのではないでしょうか。締切を決める際は、あまり長いスパンでない方がいいかと思います。3日や1週間など短めのスパンで、ある程度の分量を書ききる習慣をつけてください。
短い締切りの連続が、あなたが書くことを習慣にしてくれます。
書き続けるための、書けないときの対処法
モチベーションを保ちつつ、習慣化をしても、書けない時はだれにでもあります。そんな時にどうすればいいのか、対処法を3つ紹介します。
① アイデアをしゃべってみる
書けないのであれば、しゃべってみる、というのも書けないときの対処法としては有効です。誰かにしゃべることで、考えがまとまることもありますし、誰かにしゃべることで新たなアイデアをもらえるかもしれません。アイデアのストックにもつながります。
とにかくアウトプットすることを止めない、ことを心掛けてください。
② 書き出しをなぞる
自分で書けないのであれば、誰かが書いたものを助走として使うこともできます。自分の好きな作家さんの作品やエッセイ、ブログなどなんでも構いません。書き出しをなぞっているうちに、自分の書きたい方向へと考えが進んでいきます。
③ 机にもどる前提で気分を変える
机には向かっているけれど、筆が止まってしまい、書き続けられないということも多々あります。そういう時は、机にもどる前提で気分転換をするのもおススメです。コーヒーをいれたり、近所をぐるっと散歩したり、音楽を聴いたり……時間を決めて、気分転換をしてください。
注意したいのは、寝ること、とテレビやネットを見ることです。時間無制限に陥る可能性大です。
書き続けるために、インプットをする
『書く』ことは、アウトプットをすることです。アウトプットするためには、インプットが欠かせません。いろいろな刺激を受けて、書き続けるための栄養素を補給してください。
①人の作品に触れる
いろいろな人の作品に触れることで、刺激をもらうことができます。そこで感じたことを、自分なりに言語化することができれば、さらにインプットの質が上がります。独りよがりにならないためにも、人の作品に触れる機会を持つことは大切です。
②古典作品にふれる
古典作品を読んだり、観たりすることもインプットのひとつです。古今東西、何千、何万と作品があった中で現代に残っている作品というのは、私たちに刺激を与えてくれます。
時代背景がわからないなど、多少のハードルは感じるかもしれません。無理をする必要はありませんが、数を当たることで気に入った作品に出会うはずです。そういった作品から古典に親しむことでインプットを増やすことができます。
③文章以外にふれる
手塚治虫先生は「マンガがうまくなりたいのなら、映画や演劇などマンガ以外から学びなさい」という言葉を遺されています。美術や音楽、伝統工芸品など、文章以外のものから刺激を受けることも大切です。旅なども、素敵なインプットになるかもしれません。
書き続けるために、書き方を学ぶ
書き続けるためには、書くスキルを上げていくことも必要になります。感性も大切ですが、セオリーを学ぶことで、さらに貴方の感性を磨くことができます。
① スクールに通う
文章教室や脚本教室など、書くことを後押ししてくれる環境はたくさんあります。スクールの選び方は、何を重視するかによって変わります。あなたがどうなりたいか、という目標に対して信頼できる実績がある学校を探していくといいのではないでしょうか。
参考>>シナリオ講座 選び方、選ぶポイント
② ノウハウ本を読む
文章の書き方など、書き続けるために参考になるノウハウ本は世の中にたくさんあります。スクールに通うよりも安価で学ぶことができます。ノウハウ本を選ぶ時のポイントは、その本が対象としているレベルがどのあたりかを掴むことです。
③ プロが書いたものを写す
独学で小説家になった方や、脚本家の方にも多いですが、自分が好きな作家さんの作品をひたすら写すのも学びの方法として有効です。その際のポイントは、いろいろな作品を書き写すのではなく、一つの作品を何度も繰り返して写すのがいいそうです。リズム感がつかめるので、自分の文体を見つけるきっかけになると、多くの作家の方がおっしゃっています。
書き続けるために、作家の姿勢をまねる
現在活躍する作家さんやクリエイターの方の姿勢をまねることで、書き続ける目標や指標を持つことができます。
① 小説家 浅田次郎さんの場合
『昼型のタイムスケジュールをひっくり返して夜型の仕事をするというのは構いません。ただし小説家の場合、淘汰されて生き残ったプロの作家の傾向を見ますと、実は昼型の方が多い。
私は、夜型の人をほとんど知らない。かなり少ないと思います。私自身はまったくの朝型です。夜明けとともに起きます。皆さんも文章で身を立てていこうと思うのでしたら、朝型でやってください』
2015.12.13 開催 THEミソ帳倶楽部「新井一生誕百年記念講演・浅田次郎さん編 創作者と創作」
② 脚本家 岡田惠和さんの場合
『執筆についてなんですが、一度筆が止まると際限なく止まるので、とりあえず嘘でもいいから、最悪の例でもいいから書いてみるんです。そこまでやって、あとで反省(笑)、そこから直していく。
シナリオは答えがないので、何が正解かを考え始めると迷路に入ってしまう。なので、そういう時はまず自分が何をやりたいのかを考えます。悩んだ時には、何でもいいから、1回答えを書いてみる、ゼロの状態では何も進まないので。仮にそのシーンがつまらなくても、つまらないまま書いておく。そうすると、先に進んでいくうちに答えが見つかることが結構あります』
2015.07.07 開催 THEミソ帳倶楽部「新井一生誕100年機縁シリーズ~岡田惠和さん編~」
③ 映画監督 周防正行さんの場合
『「映画のためのネタ探しをしない」というのを信条にしています。どうしてもネタ探しって、面白い映画になるのかどうかを考えて取捨選択してしまう。映画になりそうだったらアプローチすることになりますよね、結局そうならざるを得ないんですけど。
でも自分の映画に都合のいいように世界を見ちゃいそうで嫌なんです。だから無理してネタ探しせず、ニュートラルに気ままにやっているという感じです。(笑)』
2014.09.16 開催 THEミソ帳倶楽部「映画『舞妓はレディ』を撮って」
④ 脚本家 小林靖子さんの場合
『皆さんは普段お仕事されていると思いますし「忙しい」とか「病気になった」とか、何かと書けない理由を作っちゃうと思うんですが、それをしたらプロにはなれません。
お題をいただいて、締め切りがある。締め切りまでに絶対書いてエンドマークを打つ。シナリオ・センターのプログラムはプロの現場とまったく同じなんですね。違いはギャラがないことだけです(笑)』
2011年9月21日・10月4日開催 小林靖子さん 特撮ライターの根っこ
⑤ 小説家 鈴木光司さんの場合
『必要なのは、仲間たちだよ。いい講師だよ。これがなかったら、自分の力を判断することは絶対にできない。独りだけで書いていたら、自分で悦に入って『今日は俺、良い小説書いちゃったぜ』という気分になるかもしれない。けれども、他の人が読んだら箸にも棒にもかからないものかもしれない」』
2015.04.06 開催 THEミソ帳倶楽部「新井一生誕100年機縁シリーズ(2)~鈴木光司さん編~」
⑥ ノンフィクション作家 石井光太さんの場合
『自分の価値観を壊されたときに、正直に認めて、それを面白いと思えるか。何か違和感を持った時に、あらかじめ作られたストーリーにはとらわれず、元にある真実を探して作品にできれば、読者も面白がってくれるはずです』
2011.03.28 開催 ノンフィクション作家 石井光太さんの根っこ~惨状でなく日常を描く~
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