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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

他人の立場

千代田区立番町小学校の掲示板

無観客

シナリオ・センター代表の小林です。今日は、春の陽気で日中の表参道は日差しが柔らかでした。
換気のために開け放ったドアから、道行く人の声が届きます。何気に外を眺めていると、案外人通りが多いのに、なぜかホッとします。
ヨーロッパでは、あちらこちらで外出禁止になったりしていますが、日本は無事だなと思ったり、隠蔽されているんじゃないかと思ったり、このままでいけるのか、いけないのか、先行きの不安というか不信というか、毎日気持ちもコロコロ変わります。
月曜日に「月曜から夜更かし」(NTV)を途中からみたら、マツコさんがやけにおざなり風にやっていたので、「なんでかなぁ」と思ってみていました。
なんと機械で笑い声だとか出していて、いつもと違って無観客でした。
テンション高くやっている村上さんに「あなたは偉い、私はやる気がでない」みたいなことをマツコさんが言っていて、なるほどと思いました。
やはり、人がたくさんいてワサワサしながらも、にぎやかに反応が返ってくる方が、やる気も楽しさも違いますものね。
お相撲も野球も無観客でやっていますけれど、やっぱりスカスカ感に寂しさはぬぐえません。
今はすべてが我慢の時なのでしょうけれど、暗いこと考えても意味がないので、この時間をどのようにプラスにできるかということを考えたいと思っています。

シナリオ出前授業

わが母校番町小学校の前を通ったら、あら、正面玄関の横の掲示板に「シナリオ教室」のタイトルと写真。あ、正面に映っているのは田中君だ。(笑)
そういえば、先月、センターの新井、田中、安藤の3人で出前授業に行きました。
何年目になるでしょうか、毎年5年生の授業として「シナリオ教室」をやらせていただいています。
先生のお話によると、子供たちは、この授業を大変楽しみに待ってくれているのだそうです。

作文は大っ嫌いな子もシナリオは楽しんで書いてくれます。
なぜって、どんどん書きたくなるように、新井たちがちょっと振るんです。
何を振るかというと、ドラマのポイント「キャラクター」
同じ出来事でも、登場人物のキャラクターによって、アクションもリアクションも変わるよということを、ノー天気な先生なら?厳しい先生なら?情熱的な先生なら?優柔不断な先生なら?などなど色々なキャラならではのアクション・リアクションをみんなでワイワイ言いながら作ってみます。
この振りさえあれば、コツがつかめたら、「あ、この子ならこういうな」「この子ならこうするな」と子供たちは驚くほどのスピードでどんどんどんどん・・・、シナリオを描く手は止まりません。
シナリオを楽しみながら、色々なキャラクターの立場になって考えていきます。
道徳的に「友達のことを考えよう」とか「おもいやりのある子になろう」なんて言わなくたって、気がついたら考えている、それが大事なんです。

先日ご紹介した「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の中に、英国では「政治や社会の問題を批評的に探究し、エビデンスをみきわめ、ディベートし、根拠ある主張を行うためのスキルと知識を生徒たちに授ける授業でなくてはならない」というシティズンシップ・エデュケーションという授業があることが書いてありました。
子供の頃から、こうして社会を見る目を育てているのだと羨ましく思いました。日本は押しつけの道徳教育ですものね。
授業でエンパシーとは何かを問われて、主人公の中学1年生が「自分で誰かの靴を履いてみること」と書きます。そして、親からも教師からも褒められます。
エンパシーとは「共感」「感情移入」、相手の気持ちを想像すること、他人の立場に立ってみるということです。
シナリオを描くって、大上段に構えずにさりげなく人の立場に立って考えることなのです。
創設者の新井一が、あえて「シナリオ」を日本中の人の描いてもらいたかったのは、自然と他人の立場に立てるのがシナリオだからなのです。
まさにエンパシーです。
今のような不安と不信に溢れた社会であればあるほど、世界中の人にシナリオを描いてもらいたいと思います。
他人のことを想う、今一番必要なことではないでしょうか。
日本も、シナリオ教育で物事を考え、他人の立場に立てる子どもを育てていきたいです。

 

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