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スタッフが行く、表参道スポット
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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

フリーライター ・ドキュメンタリー映画監督 髙野史枝さん
創造的な仕事全てに通じる脚本技術

「脚本家になる以外に、シナリオ技術はどんな仕事に活かせるの?」というかたや、「フリーでマスコミの仕事をしている人はどんな風に働いているの?」というかたは、今回ご紹介する先輩・フリーライター・ドキュメンタリー映画監督 髙野史枝さんのコメントを参考にしてください。

髙野さんはシナリオ・センター名古屋教室(後藤クラス)出身。勤めていた出版社を退社後、放送作家・フリーライターとして本格的なキャリアをスタート。グルメライターの活動は10年以上で、料理・グルメのお店紹介の本も多数出版。

映画記事も多く執筆され、『月刊シナリオ教室』では映画エッセイを20年以上連載。また毎年、「小牧市民大学こまきみらい塾」「大府市ミューいしがせ」などで映画講座も担当。

民放ラジオ番組では取材・構成・パーソナリティーを務め、現在、東海ラジオ『らじおガモン俱楽部』、CBCラジオ『聞けば聞くほど』を担当されています。

2015年には、ドキュメンタリー映画『厨房男子』で監督デビュー(企画・製作・語りを担当)。

今年2020年、第2作目となる『おっさんずルネッサンス』(企画・製作・監督を担当)を名古屋の名演小劇場で公開。全国での劇場公開を目指しています。

※YouTube
おっさんずルネッサンス
ドキュメンタリー映画『おっさんずルネッサンス』予告映像(120秒)

『月刊シナリオ教室 2020年8月号』(7月末発行)では、『おっさんずルネッサンス』を中心に、ドキュメンタリー映画を作ることに関してお話しいただいていますので併せてご覧ください。「ドキュメンタリー映画を作りたい」「作りたいけどツテもないし、どう動けばいいか分からない…」というかた必読です!

こちらのブログでは、髙野さんの或る日のスケジュールをご紹介。

髙野さんによると「毎日スケジュールが違うんです。フリーでマスコミの仕事をしているので、色々な仕事を1日にギュッと詰め込んで、出来るだけロスの出ないようにしています」とのこと。

そこで今回は、『おっさんずルネッサンス』の撮影が始まり、他のお仕事も一緒にされた日のスケジュールを教えていただきました。「フリーで創作の仕事をしたい!」というかたはぜひ参考にしてください。

「“3つ4つのことを同時進行の技”で生きています」

〇髙野さん:「時間の取り方」としては、まず1日のうちから、「放送局へ行ってラジオ番組の収録または生出演する時間」を取ります。これは午前中が多いです。

あとは、「打ち合わせと取材の時間」「(映画の記事も書くので)試写の時間」「家に帰って一杯やる時間(私はノンベなので、1日に飲酒時間が全くない人生はイヤ!!!)」を取ります。

そして、残った空き時間のどこかで書く、ということになります。

打ち合わせや取材などが早く終われば、家に帰って日中書きますし、放送や打ち合わせや取材がない日はまとめて原稿を書きます。1日中なにかがあって書く時間が取れなかったときは、一杯(数杯)飲んですぐ寝て、明け方起きて書くか、締め切りが待ったなしになったら、泣く泣く飲酒を諦めて夜中に書く、という感じです。

円グラフで表したこの日は、原稿書きの時間(図の⑨)が短い日ですね~。

コマギレ執筆、電車やお風呂での読書、移動が散歩――。フルタイムで働きながら2人の子どもを育て、家事をし、明け方4時頃に起きてシナリオを勉強していた時の“3つ4つのことを同時進行の技”で今も生きてます。

ドキュメンタリー映画を撮りたいと思ったキッカケ

〇髙野さん:ラジオ番組の仕事で得たのは、「構成しても、現場で自分が喋る時とはずいぶん違う」ということが分かったところかな。

例えば、「ぜひご一緒しませんか」なんてセリフは、文字で読めばぜんぜん問題ないんですが、喋ってみるととっても空々しい!「一緒にやりましょうね、待ってま~す」というほうがずっと伝わるなど、「セリフは、本番で自分が喋ってみないと、ピッタリかどうかわからない」と実感しました。

前作『厨房男子』のナレーションは、自分で書いて自分で喋ったんですが、このラジオの経験がなかったら、絶対できなかったでしょうね。こんな風に仕事で得た経験は別の仕事でも役立ちますし、また、新たな仕事をするキッカケになったりもします。

ドキュメンタリー映画を撮りたいと思ったのも、1996年から始まった「あいち国際女性映画祭」で、司会と監督とのトークを長らく(約12~13年間)担当していたことがキッカケでした。

最初のうちは、女性監督というと年配の方が多く、皆さんものすごく苦労され、人生の後半でやっと監督の地位をつかみ取った、という方が大半でした。しかし2005年ぐらいから、一気に若い女性監督が増え始め、特にドキュメンタリー映画では20代~30代でも気軽に映画を作っている、という雰囲気になりました。

それはなぜか? 1つは、軽くて高性能の機材(カメラ)が安く買えるようになり、編集もパソコンで気軽にできるようになったことが大きかったと思います。これなら、比較的低予算で作ることが可能ですから。

もう1つは、世界の女性監督が急激に増えたこと。「男性と女性の作る映画は明らかに違う!ほんとに自分が撮りたい映画は自分が撮るんだ!」という意欲や意識が大きな刺激になったんだと思います。

そして私も、「ああ、映画が作れたらな……でもそんなことはありえないだろう……」という想いから、「もしかしたら可能かも!」に変わり、2015年にやっと実現。それが『厨房男子』でした。

シナリオの技術=なにかを書く・作るための普遍的な技術

〇髙野さん:そして、『厨房男子』での観客の皆さんの反応がキッカケで作ったのが今回の『おっさんずルネッサンス』。
※観客の皆さんがどんな反応だったかは、是非『月刊シナリオ教室 2020年8月号』で。

この映画を沢山の人に知ってもらうため、映画のダイジェスト版をマンガにしたチラシを作りました。公式サイト(https://ossan-obu.com/?page_id=32 )でも公開しています。

マンガを描いてくれたのは棚園正一さん(最近は相当な売れっ子です!)。実は今後、あるマンガを彼とつくる約束をしています(つまり、私が原作者です!)。

マンガが何よりの“好物”で、毎日1冊は買います。自宅にはマンガ部屋もあります。「マンガ原作者になる」というのは、「映画監督になる」と並んで、長いこと私の夢です(以前にやったのは10ページほどのものでしたので1冊やりたいんです!)

そうそう、シナリオ・センターのアドバンス講座では、シナリオ技術を使ったマンガ原作の書き方も教えていますよね。いま改めて、私がシナリオ・センターで教えていただいたのは、「シナリオを書くためだけの技術」ではなく、「なにかを書く・作るための普遍的な技術」だったのではないかなと思っています。

お世話になった後藤千津子先生が仰っていた「私たちは発想は教えられません。でも、いい発想が生まれた時、それをキチンと形にする技術を身につけておかなければ、その発想が伝えられません」という言葉は今でも覚えています。その通りだと思います。

28歳の時、「シナリオを勉強すれば、いろいろな書く職業に通じるのではないか」と思ったこの直感は当たりました。今後も「これが私の作品です」と言えるものを沢山見ていただけるよう、活動していきたいと思います。

※これまで取材させていただいた“先輩”の様々なお仕事は、こちらの「脚本技術を活かした仕事とは/インタビュー記事一覧」からご覧ください。 

「お宝映画を見逃すな!」の誌上ブログもぜひ

『月刊シナリオ教室』に連載している髙野さんのコーナー「お宝映画を見逃すな!」。一部の記事を掲載しております。髙野さん流に、シナリオ技術の視点から映画を観ると何倍も楽しめますよ。あわせてご覧ください。

■「ドキュメンタリー映画『ショージとタカオ』/ドキュメンタリー映画の魅力とは?」

■「映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の魅力/実在の人物をモデルに面白いドラマを作るには?」

■「映画『ミレニアム』に学ぶ/魅力的なヒロインの作り方」

■「映画『8月の家族たち』にみる/葛藤の描き方」

■「映画『海街diary』から学ぶ脚本術/4人姉妹のキャラクターが起承転結」

“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~

シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を学べます。

映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説など、人間を描くすべての「創作」に応用することができます。

まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。

■シナリオ作家養成講座(6ヶ月) >>詳細はこちら

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