menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

事実と真実

センター製ミソ帳

表現

シナリオ・センター代表の小林です。東京の感染者200名を割ったっていうから、「ほぉ~」と思ったら119名。
表現の重要性についてよくお話させていただいていますが、コロナ禍以前もそうですけれど、昨今の言葉のむなしさには驚くばかりです。なんにも届かない。響かない。
今も言葉を変えれば、国民を欺けると思うのは、いつの時代も変わりがないのでしょうか。
70数年前、撤退を転進、全滅を玉砕などの言葉に置き換えて、死ななくてもいい人々をたくさん殺してしまった日本。
過去を振り返らない、反省しないということは、また同じことを平気で繰り返すということです。怖い。

私たちは表現を大切にする立場の人間です。
気持ちを伝えるためには、一方的にいうのではなく、相手の気持ちをわかろうとしないと伝わりません。
想像力が今一番問われるときです。想像力を持っている人々が表現するとき、それは大きなうねりにもなっていくと思うのです。
表現方法は多様です。映画、テレビドラマ、配信ドラマ、小説、ラノベ、ゲーム、アニメ、戯曲、ラジオドラマ等などジャンルも多様です。
あなたができることから、あなた自身の表現方法を探ってみませんか。

ミソ帳

表現をするということはどういうことでしょうか。
シナリオ・センターでは、ご自分の脳みそになる様々なネタを書き留めるミソ帳を作りましょうと提唱しています。
シナリオライターに欠かせないネタを書きためたノートのことです。
ひらめいたアイデア、外で見聞きした面白い話、ちょっと使えそうなセリフや小道具、素敵なシーン…そういったシナリオのアイデアを、味噌のように発酵させる手帳として使ってもらいたいのです。
ネタ帳ではなく、ミソ帳。ここがミソ。命名したのは、もちろん創設者の新井一です。

ドラマのネタを探すためのものなのですが、そこにため込んだネタをなんでもかんでも描けばいいということでもありません。
ミソのように発酵させてほしいと申し上げたように、発酵が大事なのです。
発酵とはなにかというと、作者の視点なのです。

たまに授業の時に、「わかりにくい」とか感想をもらうと、「本当にあった話ですから」と強面におっしゃる受講生の方がいらっしゃいます。
そういう感想もらう時は、確かに事実なのですが、事実をそのまま描くだけでは、何を言いたかったのかわからないということなのです。
先ほど言った作者の視点です。
作者がなぜそのネタを取り上げたのか、私はこう考えたという見識がなくては、誰一人感動させることはできません。
私たちが描くべきことは、事実ではなく真実なのです。
新井一は「ドラマとは真実の人生を描くことである」と言っています。
間違えやすいのは、事実=真実だと思ってしまうことです。
事実の現象を追うのではなく、「人生とはこういうものだ」とか「人間って本当はこんなに浅ましいものだ」という描写が「真実」を描くということです。
「それを追求するのがドラマでなくてはならない」と新井はいっています。
作家の視点こそが、表現ということです。
常日頃、様々な事実や人間模様を前に、自分はどう考えるのか、自分だったらどうするのか、自分の頭と心でしっかりと自分の視点を創っていきましょう。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ