動画の活用が企業の力を左右する時代
2020年2月ころからジワジワとはじまった新型コロナウィルスの感染拡大。3密を避ける生活様式では、今までのように人が集まって学んだり、人を集めてPRしたりということが難しくなっています。
そのため、Withコロナ時代には動画の活用が欠かせません。
そこで、
・なぜ今動画なのか
・どう活用すればいいのか
・どう動画を作ればいいのか
動画活用の方法を整理していきたいと思います。
なぜ今、動画を活用すべきなのか
動画の時代といわれて久しいですが、まず、動画活用の変遷を整理したいと思います。
『動画元年』と言われて久しい昨今ですが、テレビCM以外でPR動画が話題になったのは、2015年の大分県の観光PR動画「シンフロ」や宮崎県小林市の移住促進PR動画「ンダモシタン小林」など、いわゆるバズる動画からではないでしょうか。
youtubeで配信し、sns上でバズるという流れが、テキストベースのブログが主流だった時代に、動画という選択肢が生まれ始めたのがこの時だったといえます。
その後、2017年くらいに料理の早回し動画がFacebook上などで流行り、2018年にはInstagramのIGTVやTikTokなどの動画プラットフォームが話題になりました。
そして2020年7月現在、新型コロナウィルス拡大防止による経済活動の自粛などもあり、いままで動画での発信に消極的だった企業からの発信も増えています。この期間には、PR動画だけではなく、講座や授業などを動画配信によって行うなどもありました。
Stayhomeの期間を経て、動画というものが、一気に身近になりました。
また、インターネット通信の高速化などもあり、動画を発信する側と受信する側の状況が整ったとも言えます。
コロナ禍の動画活用の必要性
コロナ禍においては、いままで動画の活用に二の足を踏んでいた企業も、導入すべき点があります。
① 3密防止として、多くのお客様を受け入れられない
3密防止は、どの企業でも避けて通ることはできません。そのため、例えば、小売店でれば、商品を店舗で販売するだけではなく、ECサイトの活用が必要になります。その際に、お客様に商品の良さをPRするためにも、動画の活用が欠かせません。
ファッションブランドなどでは、IGTVを使って販促に力を入れている例が増えています。
また電通メディアイノベーションラボによる『情報メディア白書2020』によれば、若年世代では、ECサイトでの商品認知と商品購入が、同時に起きているという分析があるほどです。
② 動画であれば、テキストよりもわかりやすく伝えられる
商品やサービスの良さを、テキストで表現するよりもわかりやすいという点があります。特に、商品の大きさなどを表現する場合に有効です。
③ 動画とSNSの相性の良さを活用する
動画は、SNSと相性がいいという背景があります。視覚は、動いているものに目を止めるという性質があります。動画を使うことで、いままでなかなか自社の商品に興味を持ってもらえなかったお客様にもアプローチすることができます。
また採用担当者は、「私たちの企業が欲しい人材は……」という動画を自社HPに載せています。そうすることで会社のことを知ってもらうことはもちろん、具体的に働いている姿をイメージしてもらうこともできます。
動画をどう活用することができるのか
商品やサービスのPR、自社のPRを動画で行うことができます。
世の中には、さまざまなPR動画があります。その中から、自分たちがどんな動画を作ればいいのかを考えると目が回りそうです。しかし、大きく分けると4つのタイプに分かれます。
商品やサービスの良さを直接的に伝える『商品直接型』の動画
商品やサービスの良さを間接的に伝える『商品間接型』の動画
会社の理念や歴史を直接的に伝える『理念直接型』の動画
会社の理念や歴史を間接的に伝える『理念間接型』の動画
4タイプに分けて考えると頭が混乱せずにすみます。
動画というと、Youtubeばかりに気を取られがちですが、誰に、何のために伝える動画なのかによって、適切な配信先は異なります。動画の時代だからといって、動画を作れば観えてもらえるになったわけではありません。そこは間違えないようにしておきたいところです。
先ほど挙げた4タイプごとに、向いている媒体の一例を整理すると以下の通りです。
・商品やサービスの良さを直接的に伝える『商品直接型』の動画
自社サイト(商品ページ)・公式SNS・ECサイト・自社のYoutubeチャンネル
・商品やサービスの良さを間接的に伝える『商品間接型』の動画
自社サイト・SNS広告・サイト内ディスプレイ広告
・会社の理念や歴史を直接的に伝える『理念直接型』の動画
自社サイト(採用ページ・会社案内ページ)求人広告サイト・交通広告
・会社の理念や歴史を間接的に伝える『理念間接型』の動画
SNS広告・インストリーム広告(Youtubeなど)・アプリ内広告・テレビCM
上記は一例です。動画の内容や目的によって変わるかと思います。とりあえずYoutube、とりあえずインスタ……と考えずに、戦略的に動画を使ってもらえたらと思います。
ちなみに、「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(D2C/CCI/電通/電通デジタル)によるとインターネット広告媒体費のうち、ビデオ(動画)広告は前年比157.1%の3,184億円だそうです。
動画をどう考えて作ればいいのか
実際に動画をどう考えて作っていけばいいのか、悩まれる方も多いと思います。まず押さえておきたいのは、動画を作るためのフローとなります。
1 動画制作前:
動画を使って、何を伝えるのかという目的、誰に伝えるのかというターゲット、どう伝えるのかという媒体を明確にします。
動画を作る前に、この部分を押さえておかないと、目的がブレてしまい、結局何のために作っているのか、が不明確になってしまいます。とくに、プロジェクトやチームを立ち上げて作成する場合、動画制作前の部分を押さえておくことが大切になります。
※『改訂版 いきなり効果があがるPR動画の作り方』 第1章に掲載
2 シナリオ制作
シナリオ制作の段階では、どういうテーマをどんな構成で、どんな素材を使って、どういう映像やセリフで伝えるかを明確にします。
動画は、極端な話カメラさえあれば、だれでも撮影できます。ですが、伝わる動画を作るために、ある程度シナリオをカタチ作ることが大切になります。動画を作るとなると撮影のことばかりに気を取られがちですが、『いいシナリオがなくては、名作は生まれない』と言われます。
※『改訂版 いきなり効果があがるPR動画の作り方』 第2章に掲載
3 動画撮影
動画撮影には、撮影のための簡単な絵コンテがある場合もあります。絵コンテがない場合は、シナリオに沿って撮影を進めていきます。動画撮影については、制作会社などに依頼することも多いと思いますが、専門会社に依頼する前に、最低限1の部分は社内できちんと議論を深めておく必要があります。
4 動画編集
編集は、主に撮影した動画や録音した音声を切ったり繋げ合わせたりして、シナリオ通りの動画にしていく作業となります。パソコンに、映像編集ソフトを導入すれば、編集は可能となりますが、大きいデータを扱うため、パソコンはなるべくハイスペックのものを推奨します。基本的な編集ならば無料で配布しているソフトでOK。VFXを見せていく動画であれば、有料のものを導入する必要があります。
伝えるべきは『役に立つ』から『意味がある』
これからの動画活用で大切になること、それは動画での販促ではありません。
もちろん、販促に動画を活用することはできますが、いかに商品やサービスが『役に立つか』という考え方は、一時代前の考え方になりつつあります。先の見えないVUCA( Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))といわれる現在では、『意味がある」かどうかが問われます。
自分たちが商品やサービスを提供する意味、自分たちが頑張ってビジネスをする意味、お客様が商品やサービスを使うことで生まれる新たなる意味を、いかに言語化し、映像化するかが問われてきます。
動画の活用を自社のあり方を問い直すきっかけにすることもできます。それこそ、これからの動画活用といえるのではないかと思います。