「エンターテインメント性が足りないと言われたんだけど、そもそもエンターテインメントって何だろう?」というかたは、こちらの記事でお悩み解消!新井一が考えるエンターテインメントの意味を知ると、脚本を書く“姿勢”が変わってきますよ。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
多くのお客さんに見てもらうために
シナリオを書く場合、それを映像化して、多くのお客さんに見てもらうことが前提です。しかもそのお客さんの数は、あなたの友人の数や年賀状を出す相手の数ではありません。
映画ですと約200万人の観客に観てもらう必要がありますし、テレビですと1桁上で、2千万人の視聴者に見てもらわなければペイ出来ないのです。ですから映画会社やテレビ局では、それくらいの人々を動員できるかということが、企画の前提になっています。
ところでエンターテインメントとは一体何でしょう。字引を引いてみますと、「娯楽」「楽しませるもの」と書いてありますが、もうひとつの意味に「ごちそうする」とか「もてなす」ということもいっています。
エンターテインメント=「もてなし」という愛情に裏打ちされた智恵
料理を作る場合、もちろん自分自身のために作ることもありますが、多くは家族のためとか、最愛なる亭主のため、または仲良しの仲間のために作ります。自分のことはさておき、どんなものを作れば「おいしい」と言って喜んでくれるかなと考えます。
あの人はお肉料理が好きだから、ステーキにして、焼き加減はレアがいいとか、どうすれば喜んでくれるかなと考えます。それは「もてなす」精神としては当たり前で、妥協でもお世辞でもありません。
それが健康のために良いからといって、お客さんの好みを無視して、野菜ジュースだけを出したらどうでしょう?このやり方こそが「ひとりよがり」というものです。
もてなしをして、お客さんが本当に喜んでくれるためには、お客さんのことを知ることが必要です。好みは何か、求めているものは何であるかを知る必要があります。
しかし、好みを知ったからと言って、好みの通りにしてはいけません。お客さんの中には、しょっぱいものが好きでも、塩分を控えなければいけない人もいます。そこで、塩分を控えることを考えながら、それを上回る料理を作ってこそ、「もてなし」となるのです。
「もてなし」というのは、そうしたお客さんに対する愛情が基本なのです。妥協ではなく、愛情に裏打ちされた智恵なのです。この智恵がエンターテインメントなのです。
出典:『月刊シナリオ教室』1994年3月号 「新井一 十則集」/2015年8月号「新井一.com」
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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