ちっぽけ
シナリオ・センター代表の小林です。今日は火星一番近く地球に接近するのだそうで、観察するには東京はよさそうですが、台風が週末にまた来そうです。
昨日せっかく減ったかと思うと東京の感染者177名。東京からGOTOキャンペーンで出かけた方が感染させたとかの話もあり、恐れていたことが起きている?・・・のか、先は見えません。
次から次へと人間の力ではどうにもならないことが起こっています。
人間の力なんぞ、ちっぽけで本当に大したことがないのだと思います。
私たちは、すべて大した力もない人間だということを自覚して、お金儲けや権力争い等つまらないことだということ知り、下々の暮らしに目を向けて、他人の幸せとは何かということを考えて動いてほしいと思います。
大切なもの
独文学者の池内紀さんが、「これほど豊かになって、これほど幸せにならなかった国はめずらしい」とおっしゃった話を、昨日の朝日新聞「折々のことば」で掲載されていました。私もこのお話は、前にお聞きしたことがあります。本当に悲しいな日本はと思いました。
戦後、敗戦からの復興を目指して死に物狂いで頑張ってきた両親たちの時代、さらに豊かな国にしたいと高度成長へと頑張ってきた団塊の世代の時代を経て、先進国の仲間入りをし、今の豊かな日本があります。
この時代を生きた人間は、子どもたちにひもじい想いを二度とさせたくないと豊かになりたい一心で「儲けること」を最優先してきました。
池内さんは「儲けること」を最優先にしたあまり「大切なもの」を失ったとおっしゃいます。
失った大切なものは「心」。人を思いやる気持ち、物を大切にすること。
今の経済界や政界を支えていらっしゃる方々は、その頃のようにまた豊かなお金持ち日本に戻そうとしていらっしゃるようですが、そこで失ったものの大きさに気づいていらっしゃるのでしょうか。
私もその頃の一端を担った一人として池内さんと同じように思い、重い責任を感じています。
今、私たちができることは、これから成長していく子供たちに、他人はみな違っていい、お金があることだけが大切なのではなくて、色々な生き方があるのだということを、自然と自分の頭で考え、心で想うことをできるようになってもらうことだと思っています。
子どもたちにシナリオを描いてもらいたいと思うのは、そのため。「想像力」=他人を想う心をもってもらいたいからです。
シナリオは、ありがたいことに、どうやっても一方通行では描けないのです。
アクションを起こしぱなしではなく、必ずリアクションも考えなくてはいけない、自分の想いだけでなく、相手の気持ち、周りの気持ちを考えないと描けないのが、シナリオです。
そして、大事なのは登場人物のキャラクター。誰一人同じ人はいません。
人はみな違うことは当たり前、人には長所も短所もあること。
シナリオを描くことで、自然と気づいてもらえることがたくさんあります。
道徳のように教えるのではなく、自分で想像できるようになる、人として一番大切なことを押し付けることなくわかってもらえるのがシナリオだと思います。
だから、なにごとにも正解はないことをることができます。
プロとして、ドラマで様々な人の想いを伝えていくのも素敵なお仕事ですが、シナリオにはまたこんな顔があることも知っていただけたらと思います。
コロナ禍で気持ちはギスギスしてきますが、そんな時こそシナリオを描いてもらえたらと思います。
明日は140期シナリオ作家養成講座の開講です。受講される皆さんに「伝える技術」を学んでいただき、ご自分の表現を広げていただきたいと願っています。
誰もが、自分の言葉で自分の表現ができる社会でありますように。