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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

キープライティング ~出身ライターからのメッセージ~

2020年は、新型コロナウイルス感染防止のため、講座やゼミの通学が一時期休止となりました。それでも、「書く手を止めないでほしい」という願いを込めて、「Stay Home,Keep Writing」をキーワードに掲げました。

ただ中には、「キープライティングと言われても難しいよ……」と思っているかたもいらっしゃるのでは。

そんな方々に特に読んでいただきたいのが、出身ライターの方々にお寄せいただいた“書き続けられた理由”です。ブログ3回にわたって紹介しており、今回はそのラストを飾る第3弾。書くモチベーションを保つ方法や創作への想いなども書かれていますので、先輩のコメントを参考に是非、キープライティングしてください。

なお、今回ご紹介するメッセージは『月刊シナリオ教室』(2020年11月号)に、創立50周年企画「先輩からのメッセージ~先輩に学ぼう!Keep Writing~」として掲載されています。誌面には「シナリオ・センター時代のエピソード」や「近況や展望」もありますので、併せてご覧ください。

Q なぜ書き続けられたのですか?

・広田光毅さん(シナリオライター)
書く仕事を頂けてきたおかげで、書き続けてこられました。本当に人のご縁と幸運に恵まれてると思っています。

・岡田道尚さん(シナリオライター)
プロットにしろ脚本にしろ、ライターは発注がなければ仕事が成立しません。誰かに必要とされていること。それが一番のモチベーションになっていたと思います。

・武井 彩さん(シナリオライター)
自分の書いたシナリオが映像になる。それに尽きます。

・荒井修子さん(シナリオライター)
単純に子供の頃から書くことが好きということが大きいかもしれません。また、仕事に関しては良いことがあっても喜び過ぎず、悪いことがあっても落ち込み過ぎず、極力バランスをとるようにすることも有効なのではないかと思います。

・田嶋久子さん(シナリオライター)
「認めてもらいたい」「人の役に立ちたい」などと思っていては挫折する(認めてもらえなかったとき、役に立てなかったとき、絶望するので)。「自分が書きたいもの、面白いと思えるものを書く」というスタンスを死守する。

・李 正姫さん(シナリオライター)
プロットから初稿、2稿……そして準備稿から決定稿まで。たくさんのハードルを乗り越えた後、完パケを見たときの感動があるからだと思います。子供の頃からたくさんの作品にワクワクさせていただいていますが、そんなワクワクを私からも少しでも多く届けられたらと思っています。

・政池洋佑さん(シナリオライター)
テレビドラマをひたすら見てました。面白い作品を見ると「悔しい!」と思って、つまんない作品を見ると「俺に書かせろ」と思って、そうやって執筆のエネルギーにしていた気がします。

・林 海象さん(映画監督・脚本家)
「シナリオなくして映画なし」完成されたシナリオはどんな企画書より雄弁である。だから企画書を書くならシナリオを書いてしまう。そして、オリジナルの物語の映画化を目指す私にとっては、シナリオは常に強力な武器となる。

・宮本武史さん(シナリオライター)
様々です。自分自身が面白いと思える脚本を書きたいから。他人から称賛されたいから。そもそも書くのが好きだから。家族を支えるための仕事だから。自分には脚本しかないと思っているから。脚本以外の仕事が大変そうだから。などなど、崇高な気持ちと下世話な気持ちでモチベーションを保っています。

・洞澤美恵子さん(シナリオライター)
もっといいものを書きたいという飢餓感と、恥ずかしながら、他人を羨むいじましい嫉妬心でしょうか?素晴らしい脚本に出会うと、私もこんなホンを書きたい!とヒリヒリする思いにかられます。でも現実には到底及ばず、故にひたすら書き続けるしかなく。

・坂上かつえさん(シナリオライター)
一つ作っても、よくできたと心から思ったことがないからです。

・森 達也さん(映画監督・作家)
何だろう。他に大したことができないし・・・。

・杉原憲明さん(シナリオライター)
今でも毎回のように「俺にはもう無理だ……!」と思う僕がそれでもなんとか続けてこられたのは、よき先輩や友人に恵まれたからだと思います。それに、ひとりだと怠けてしまいますが、仲間がいると怠けられません。皆さんもぜひシナリオ・センターで切磋琢磨できる仲間を見つけてみてください。

・辻野正樹さん(シナリオライター・劇作家・映画監督)
10年以上前に書いた長編の脚本をどうしても映画化したくて、それを映画化できるまではやめないと決めて続けています。

・大前智里さん(シナリオライター)
シナリオという形式にはこだわっていませんが、ドラマや物語を作るというのはやればやるほど面白く奥深いので続けています。

・西荻弓絵さん(シナリオライター)
ヘコタレないこと。

・古家和尚さん(脚本家)
プロになってからのモチベーションは「仕事」なので。生きていく生活費を稼ぐため、プロで在り続けるため、だと思います。プロになる以前のモチベーションは、「物書き以外の人生を考えていなかったから」です。

・髙橋幹子さん(シナリオライター)
書く環境を整えた(当時転職する際、書く時間を確保するため、残業ゼロの会社を選んだ)。とはいえデビューするまでは正社員(自分を追い込まないためにも。今はフリーランス)。研修科に進んでからは耳の痛い言葉ほどメモし、次の課題に反映させるようにした。デビュー後はもっと良いものが描けると心のどこかで思っているから。描きたいものがあるから。

・吉澤智子さん(シナリオライター)
やはりドラマや映画、お芝居が好きだからなのだと思います。脚本家である前に一視聴者、観客として好きな気持ちは子供の頃からずっと変わらないので。私生活や仕事で辛いこと、苦しいことがあっても、物語の世界にいるときは忘れられる。笑える。心震える。勇気がでる。救われる。歳を重ねて様々な現実が見えてくるにつれ、それがどれだけ素晴らしいことか身に染みるようになりました(笑)。テレビや映画を夢中で見ていたあの頃の気持ちを忘れたくないと思います。

・小峯裕之さん(シナリオライター)
一つ一つの作品に対し、「挑戦」(越えるべきハードル)を意識して取り組むこと。「自分の新作」に対し、その可能性を信じてワクワクしながら生み出すこと。

・蛭田直美さん(脚本・小説・漫画原作)
デビュー前は、同じ夢を持つ仲間や、応援してくれる家族や友人、先輩、先生がいてくれたからだと思います。今もやはり応援してくれる人達がいてくれることが大きいです。出会いには本当に恵まれていると自負しています。仕事もとても楽しいです。

・雪室俊一さん(シナリオライター)
いい読み手(プロデューサー・演出家・先輩作家)に恵まれていたからです。

・待田堂子さん(シナリオライター)
それはもう単純に脚色を含めてシナリオを書くことが好きだということ、お話を創ることが好きだからだと思います。それは昔も今も変わることはありません。

・谷口純一郎さん(シナリオライター)
書いたものを観たり、読んでくれた方たちに励まされたこと。自分はまだまだだなあと思う気持ちが、いつもあったからのような気がします。

・岡田惠和さん(シナリオライター)
ずっと書き続けられてるのは、とてもとてもありがたいことに、誰かが岡田と仕事をしてみたいと思ってくれるから。そういう方が一人でもいる以上は魂削ってでもと思います。そして、なんでうまく書けないんだろうと、毎回悔しい思いを残しているから。そしてドラマが何より好きなので。

・坂口理子さん(シナリオライター)
何よりも、自分が観客のひとりとして出来上がった作品を見たい!という欲望が強かったから、でしょうか。その幸せな経験(時にはそうでないこともありますが・笑)を一度味わうと、もっと見たい!(あるいは今度こそ見たい!)とさらに欲深くなっていく……その繰り返しだったように思います。

・吉川英梨さん(小説家)
好きだから。それだけです。

・松井香奈さん(シナリオライター)
正直、自分でもわかりません。書くことは決して楽ではありません。深い深い海へ素潜りするようなものだと思います。でも、もっと深く潜ったら、もっと美しいものが転がっているんじゃないかと思い、陸にあがるとついまた海へとダイブしたくなるのです。

・黒岩 勉さん(シナリオライター)
脚本家になりたかったから。

・鈴木光司さん(小説家)
①浜松の高校時代に、「みんなと同じことをしない」「同調圧力には絶対屈しない」と自分を強く戒めたこと。世界中のだれひとり書いたことのない物語を創出しようという心意気に繋がったという利点もありますが、自分で作った戒律を破るわけにもいかず、このご時世でもマスクの着用ができなくなり、ノーマスクで街を闊歩するにつれ、面の皮が厚くなり、アベノマスクで覆い切れないほど顔面が巨大化してしまったのが残念です。半分冗談ですが、作家になるためには、それぐらいの覚悟が必要ということです。

②フランス文学を学んでいた大学時代、人間には意志の自由はほとんどないと結論づけ、ならば、自由を発揮できるチャンスが訪れたら、逃さずに掴むべしと、自分に言い聞かせたこと。「自由への憧れ」は、「作家になりたい」という願望をより強固なものにしてくれました。

③子どもの頃からの夢、ヨットでの太平洋横断を成し遂げるためには、時間が自由になる職業に就くほかなかったこと。現在、太平洋横断にはこだわらず、地中海や南太平洋でヨットを借りてのんびりクルーズしてます。西日本の海は、沖縄、台湾、韓国、小笠原など、ほぼ行き尽くしました。

・橋部敦子さん(シナリオライター)
脚本家になった意味や目的が、ずっとわからなかったからです。書いていれば、そのうちわかると思いました。プロになって23年経った2年前、ようやくわかりました(遅すぎですね)。今は、これからは、その目的がある限り、書き続けられます。

・本田隆朗さん(シナリオライター)
学歴も資格もないので、この道しかなかった、というのが正直なところです。嬉しい時間よりも苦しい時間の方が圧倒的に長く、ストレスで1年間で17キロ太った年もありましたが、打ち合わせで発言できるようになってから、だんだんと楽しさを感じるようになってきました。

※そのほか出身ライターのコメントはこちらで↓
▼第1弾「書き続けられた理由 ~出身ライターからのメッセージ~」

▼第2弾「書く手を止めない ~出身ライターからのメッセージ~」

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