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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

視点

内館牧子さん

オンライン

シナリオ・センター代表の小林です。寒いというより空気がキーンと冷たい感じがする東京です。
東京の感染者1240名、少し減っている気がしますが、重症者が過去最多とか。
入院できなくて自宅待機の人がたくさんいらっしゃる、ちゃんと医療を受けられないから悪化してしまうのではないでしょうか。
オリンピックをコロナに打ち勝った証になんて、夢物語みたいなことを言っていないで、医療崩壊を止めるべく努力をして欲しいものです。
これからが寒さが強くなっていきます。どうなることか、とても心配ですね。

昨日今日と、日曜日に141期シナリオ作家養成講座の説明会にご参加くださった方のご質問の返信メールを出していました。
説明会では、創作はみな違うのだということをわかっていただくために、即興でセリフを書いていただくことをしているのですが、オンライン参加の方々には、チャットに書いていただきました。
皆さん、面白い。
アナログの私はついついオンラインに危惧を持ってしまうのですが、まったく関係ないですね。
これからも、講座は通学とオンライン併用で行うことが当たり前になっていくかと思いますので、どちらでもよりよく学べるようにきちんと整備していくのがこれからの私の仕事なのだなと強く思いました。

小さな神たちの祭

内館牧子さんが久々に書かれたドラマ「小さな神たちの祭」が「アジア・テレビ・アワード」最優秀作品に選ばれました。
おめでとうございます。

この作品は、2019年11月に、近年は小説ばかりお書きになっていた内館さんが、久々に手掛けたドラマです。
東北放送60周年記念ドラマとして、東日本大震災で家族は津波で行方不明、ひとり遺された若者を主人公に描いた作品でした。
昨年は、74回文化庁芸術祭テレビドラマ部門優秀賞、2020年日本民間放送連盟賞テレビドラマ部門優秀賞と相次ぎ受賞され、世界中のテレビドラマから選ばれる「国際エミー賞」最終候補5本に残りました。
「国際エミー賞」は残念ながら賞は逃しましたが、今回「アジア・テレビ・アワード」で最優秀賞と、世界を股にかけての受賞、本当に素晴らしい作品です。

この作品のすごさは、内館牧子さんの視点です。
震災のお話になると、どうしても遺された人の悲しみ、苦しみに焦点が当たります。当たり前のことなのですが、もちろん内館さんも家族をすべて失ってひとり遺された青年の心情を丹念に描いていらっしゃるのですが、この青年が前にむけるようになるきっかけが凄いのです。
遺された青年は震災から8年経っても、自分だけが生きていることへのうしろめたさに、毎日肉体労働をしてへとへとに自分を追い詰めながら生きています。
その彼が、ある日、おかしなタクシーに乗せられて・・・。
着いた先には、なんと彼の家族たち、近隣の人々が待っていたのです。

このお話は、亡くなった人からの想いを、生き残った人へ送っています。
亡くなった人が、生き残った人に「元気で生きていいなんだよ、楽しく生きてほしいよ」というメッセージを送ってくれるのです。
見ていいらっしゃらない方もいらっしゃると思うので、再放送されるとよいのですが、そこはテレビ局次第ですもんね。
3月には小説として出版されるとか。是非とも読ませていただこうと思っています。

作家の視点というのは、とても大事なことです。
この視点を作りあげるのは、様々なことへアンテナを張る、好奇心と探究心。
どれだけ色々なものを見聞きし、どう受け止めるのか、想うのか、考えるのか・・・。
脚色を例にとるとわかりやすいのですが、同じ原作を色々な脚本家が脚色されることが多々あります。
どこを切り取るのか、だれに焦点を当てるのか、どう見せたいのか、同じ原作でも脚本家によってみんな違うものになります。
それぞれの脚本家の視点が創り上げるのです。
これから脚本家、小説家など創作に携わろうとする方々は、ご自分の視点づくりに力を注いでいただきたい。
内館牧子さん初め先輩たちの作品もたくさん見て、学んでいただければと思います。

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