一陽来復
シナリオ・センター代表の小林です。立春の今日は穏やかな日和です。
我が家は、何十年と節分の深夜0時に「一陽来復」をお祀りします。
今年の恵方南南東に向けて、シナリオ・センターがつぶれませんようにと。
早稲田にある穴八幡宮は、冬至から節分の間に行って、お守りをいただき冬至、大晦日、節分のいずれかの深夜0時にお祀りすると、金運、商売繁盛にいいといわれています。
そのせいか、毎年山のような人出で、何巡にも張り巡らせた迷路のような順路を牛歩の如く動き、2時間も3時間も待ちに待ってお札・お守りをいただくことが当たり前となっています。
ところが、ところがです。今年は1月末にお伺いしたら、全く待たずにお守りを買うことができ、びっくり。初めてのことでした。
コロナで困窮されそうな方々はもっと早く求められたのか、すっかり諦めてしまったのか・・・ちょっと心配しながら、世界中で困っている方々にご利益をいただきたいと皆様に代わってしっかりとお願いしてきました。
「一陽来復」の意味は、金運、商売繁盛は広くとらえてのことで、本来は陰の後には陽が来る、悪いことがあってもその後は良いことがくる、これ以上悪くはならず良い方向に向かい、苦労は報われるという意味です。
一陽来復の復が、福ではなく復になっているのはそういう意味あいなのです。
悪いことがあっても、次はいいことが起きるとポジティブに常に思っていることが心を保つために大事だということだと思います。
くさくさすることばかりですが、明るい明日を信じて一歩進みましょうか。立春だもん!
次から次へと~めおと相談屋奮闘記~
2011年に67歳で「軍鶏侍」で時代小説デビューしてから、あれよあれよと売れっ子小説家として大活躍されています、出身ライターの野口卓さん。
この10年で50冊以上書かれていらっしゃるのではないでしょうか。しかもほとんどがシリーズになるという快進撃ぶり。
落語から将棋から競馬指南からオペラからあらゆることに精通されている野口さんだけに、ネタの引き出しは途切れることなく、なにをお書きになっても面白く、なるほどと、うならせられることばかりです。
「めおと相談屋」シリーズ第2弾が出ました。
ご紹介させていただくこのシリーズ、最初は「よろず相談屋」でした。
ところがです。主人公の信吾は独身だったのに、6作目で結婚して、奥様とふたり「めおと相談屋」になるという、成長物語にも発展しました。並じゃない!
「次から次へと~めおと相談室奮闘記~」(集英社文庫刊)
帯で、将棋の先崎学九段が「江戸の庶民の将棋指し。活気と誇りが香り立つ。コンピュータ世代の若手棋士、読むべし」とお書きになられているように、信吾が経営している将棋会所が舞台の将棋のお話は、若手棋士に将棋に向かう心意気というものを教えてくれています。
将棋指しになりたい10歳のハツという唯一人の女の子を使って、大人も子供も性別も関係ないということをさりげなく、また武士と悪徳商人の横暴をなにげなくとか、ちょっと落語的な語り口がお話をきもちよく引っ張っていきます。
シリーズがこのようにできるというのは、シナリオの講義で口を酸っぱくするほど申し上げている、なによりも主人公と脇を固める登場人物のキャラクターがきちんとできているから。
どんな設定を作っても、キャラクターがぶれないから、色々な引出しからネタを出して、次から次へと広げていくことができるのです。
野口さんは、シナリオ・センターで、特にそこを学んでくださったのかもしれません。
引き出しをいっぱい作ること。魅力あるキャラクターを作りあげること。
学ぶべし、野口シリーズ流。恐るべし、野口卓さん!