menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター
背のびしてしゃれおつ

スタッフが行く、表参道スポット
背のびしてしゃれおつ

しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

第49回創作ラジオドラマ大賞 /大賞・佳作一席・二席 受賞者コメント

脚本コンクールで賞をとりたいかたは、受賞者コメントも参考にしてください。
そこには受賞のヒントが隠れています。

今回ご紹介するのは、第49回創作ラジオドラマ大賞の受賞者コメントです。
応募総数306本の中から選ばれた大賞・佳作一席・二席の受賞者全てがシナリオ・センター出身生!

大賞 『手を振る仕事』足立聡さん(元作家集団)
佳作一席 『親ごころ、子ごころ』森田志保子さん(元通信講座研修科)
佳作二席 『名もがりの町』兵藤るりさん(研修科修了)

受賞された皆さんにコメントをいただきました。「こういった想いがあるからこそ受賞されたんだ!」ということがよくお分かりになるかと思います。

参考にしていただき、次回第50回創作ラジオドラマ大賞にぜひ応募してください。

大賞受賞作『手を振る仕事』足立聡さん

=あらすじ=
佐藤は電車に手を振る仕事をしている。佐藤には小さい頃から車掌になりたいという夢があった。しかし、今は鉄道会社のPR活動の一環で、駅の隣にあるアパートの一室で電車に乗っている乗客に向かって、笑顔で手を振るというのが仕事だ。毎日手を振るだけの仕事。手を振っても振り返してくれる人なんてほとんどいないけれど…。佐藤は病院で偶然、いつも電車から笑顔で手を振り返してくれる由美に出会った。由美はダンサーを目指し上京してきたのだが、持病の喘息が酷くなり通院していた。由美を通じて佐藤は仕事に向き合っていく——

――受賞の感想と今回の応募について

〇足立さん:いつも私は書き終えた後、必ず大賞を確信する人間なのですが、今回は全く手ごたえはありませんでした。1次通過の結果も忘れていて、シナリオ仲間から聞いて知ったほどでした。

しかし、2次が通過した時は、自分のシナリオに、夏の甲子園で無名の公立高校が、強豪の私立高校を次々倒していくような勢いを感じていました。最初は自信がなくて、通過すると自信が出て来る。不思議なものです。

応募したのは2回目で、去年は1次通過止まりでした。去年1次が通ったので、今年もいけるかなと思って応募しました。

――この作品を書いたキッカケ

〇足立さん:今回の作品のきっかけは、私が学生だった頃、駅で満員電車にもかかわらず駅員が、乗客を電車に押し込むという事がよくありました。その光景は殺伐とし、乗客も駅員も凄い形相でした。私はせめて駅員は、出発する電車に向かって手を振ってこの光景を和まして欲しいと思っていたところからです。

――作品に込めた想いや特に心掛けたこと

〇足立さん:キャラクターが勝手に動いてくれることを願って書いてました。自分都合で書くとステレオタイプのシナリオしか書けないような気がしてて。

あとは、シナリオに詰まった時は岡田惠和さんの『最後から二番目の恋』を見てました。あの作品のテンポが大好きで、自分の中にあのテンポを刷り込ませようとしていました。

――なぜラジオドラマを書こうと思ったのか

〇足立さん:作家集団にいた時、後藤先生から事あるごとにラジオに向いていると言っていただいて。

あと、シナリオ・センターで共に勉強した八田明子さんが、2019年度 第40回 BKラジオドラマ脚本賞で佳作を受賞されていて、触発された部分は大きいと思います。

――コンクールでの受賞を目指している“後輩”に向けて

〇足立さん:書くしかないんだと思います。書けば何かが生まれるし、書かないと何も生まれません。

例えば、書いたものを先生やクラスメイトに褒められたら、調子に乗って、どんどん書いてみるといいかもしれません。私は後藤先生にずっと褒めてもらいました。褒められて、調子に乗って、どんどん書きました。

褒められない時もあるでしょうが、褒められた時を思い出して書いてみる。とにかく、「いつでも書ける」という精神状態にしておく事が大事だと思います。

あと、シナリオ・センターで教えてもらった、書きたいことをまず数行でまとめてみる、というやり方。あれは本当にためになると思います。

佳作一席受賞作『親ごころ、子ごころ』森田志保子さん

=あらすじ=
本田和香は、脳卒中の後遺症のある母のケアをしながら、高校に通っている。しかし、同級生の折原健吾、牧野あみにも、自分の状況を打ち明けることが出来ずにいた。進級を心配した担任に問われ、母に依存する理由は、幼い頃愛してもらえなかった仕返しをしていると心情を吐露する。再び手術となった母。退院後は叔母と二人で母の世話を始める。自分の心を知る事で、人の手を借りる事を受入れられるようになった和香だった。

――受賞の感想と今回の応募について

〇森田さん:やっと書き上げたというのが、正直なところで、手応えを感じていたわけではありません。目標としていたコンクールでしたので、受賞は大変うれしく思っています。

創作ラジオドラマ大賞への応募は二度目になります。昨年は、一次も通過できませんでした。とにかく一次通過して、ラジオドラマの作り手として認められたいと思っていました。

――この作品を書いたキッカケ

〇森田さん:ヤングケアラー()の支援策を政府が検討しているというテレビニュースがきっかけです。ネットや本で調べ、まさに今、ラジオドラマで伝えたいと思いました。

厚生労働省HPより
ヤングケアラーとは、法令上の定義はないが、一般に「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている児童」とされている。

――作品に込めた想いや特に心掛けたこと

〇森田さん:ヤングケアラーを孤立させてはいけないという思いです。

主人公が高校生だったので、普通の恋も友情も加えたかったのですが、盛り込みすぎ感が反省点です。

――なぜラジオドラマを書こうと思ったのか

〇森田さん:ラジオドラマを書きたいという気持ちは、シナリオ・センターに通っていた頃からありました。

本科の頃、柘植先生が作られたラジオドラマの話をうかがった、懐かしい思い出があります。

――コンクールでの受賞を目指している“後輩”に向けて

〇森田さん:私もコンクール受賞を目指していたわけですが、ドラマ作品としては未完成。受賞は自分の思いを届けるための第一ステップです。

生活のすべては栄養になり(たとえ辛い経験でも)、実体験として書くものに反映できます。今の気持ちを、書き残しておく習慣をつけるといいのではないかと思います。

佳作二席受賞作『名もがりの町』兵藤るりさん

=あらすじ=
渋谷かすみ(15)の母は十年前、失踪した。ある日、ひょんなことから母が失踪前に名前を変えており、その際に名もがりという儀式を受けていたことを知る。もがりとは、死者を埋葬するまでの長い期間、遺体を納棺して安置するというもの。名もがりはその名前版とも言え、何等かの事情で名前を変えた人たちが、前の名前をその思い出とともに安置する儀式らしい。母のことを少しでも知るため、かすみは儀式を行う施設を訪ねる——

――受賞の感想と今回の応募について

〇兵藤さん:自分がゼロから考えた物語が評価されるのはとても不思議な気分です。

初めての応募です。去年、大学院の実習でオールリモートでオーディオドラマを作ったのですが、それがとても楽しくて、ラジオドラマを書いてみたくなり、応募しました。

――この作品を書いたキッカケとタイトル

〇兵藤さん:生き物の数え方は死んだあと最後に残るものが単位になっていると聞いたことがありました。たとえば牛は一頭、鳥は一羽、魚は一尾、人間は一名。

その考えによれば、人間が死んで最後に残るものは名前ということになる。だとしたら、肉体よりも先に名前が死んでしまった人はどうなるんだろう?そもそも名前が死ぬってどういうことだろう?そう考えたのが執筆のきっかけです。

また、死んだ名前を弔う儀式を表す言葉として、『名もがり』を思いつきました。

――作品に込めた想いや特に心掛けたこと

〇兵藤さん:この作品は『母親の不在』を描いているのですが、なぜ母が失踪したのか?という理由や事情は一切明かさないように心掛けました。明かさないというより、人が突然いなくなることに理由などないという方が近いかもしれません。

――なぜラジオドラマを書こうと思ったのか

〇兵藤さん:小さい頃、よく『お話でてこい』というラジオドラマ番組を聞いていました。耳から入る情報だけでドラマが出来上がっていくのがすごく好きでした。あのときのワクワクを思い出したのかもしれません。

――コンクールでの受賞を目指している“後輩”に向けて

〇兵藤さん:書くことから逃げない。それに尽きると思います。

*     *     *     *     *

※これまでも、シナリオ・センター在籍生や出身生の方々が創作ラジオドラマ大賞で受賞されています。
第48回と第47回の受賞者コメントも併せてご覧ください。

■第48回創作ラジオドラマ大賞 受賞者コメント
「ラジオドラマで時代劇 /第48回創作ラジオドラマ大賞受賞 田窪泉さん」

■第47回創作ラジオドラマ大賞 受賞者コメント
「書きたいものを書いて賞をとるには/第44回創作テレビドラマ大賞より」

“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~

シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を学べます。映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説など、人間を描くすべての「創作」に応用できます。まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。

■シナリオ作家養成講座(6ヶ月) >>詳細はこちら

■シナリオ8週間講座(2ヶ月) >>詳細はこちら

■シナリオ通信講座 基礎科(6ヶ月) >>詳細はこちら

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ