想い
シナリオ・センター代表の小林です。マスクしていると顔中が蒸れるようで、冷房の中にいても息苦しい・・・そんな東京です。
シナリオ・センターの向かいで工事をしており、音のうるささには閉口していますが、働いている姿を見ると、思わずジュースのひとつも差し上げたくなります。
外でのお仕事は大変、熱中症にならないといいのですが、今日は23府県に熱中症警戒アラートが出ています。
みなさん、コロナも猛暑もまだまだ続くようですし、ちょっと前の温度とも違うようですから、決して侮らず、気をつけていきましょう。
オリンピック開会式まであと3日。世界中でまたコロナが動きだしており、東京もご多分にもれず五輪村でも感染者はでている今、即刻中止をと思っている私ですが、それぞれに色々な思いはあることでしょう。
糸井重里さんが、ほぼ日の「今日のダーリン」で
「ほとんどの人たちが、賛成という気持ちと、反対という気持ちの両方を、濃くあるいは薄く持っている。
あんなに楽しみにしていたのに、という記憶も消えていない。チケットの申し込みに夢中になったなぁ、とかね。
中止にするならすればいいと考えたこともありました。
台風の進路より、コロナの影響はわかりにくかった。
理屈では、人が止まれば、ウイルスも止まるのですが、人びとが何を思い、どう生きるつもりなのかについては、コントロールできないことばっかりだったから、うまくいくこともあったけれど、いかないこともあって、正邪と巧拙とがややこしくからみあって時間が過ぎた。
この複雑な気持ちのままで、ひとりの都民としてオリンピックのある生活時間に入っていきます。」(一部抜粋)
糸井さんのような思いを持たれていらっしゃる方が大半のような気がします。
コロナに罹って、お医者様にも診てもらえないまま亡くなった方や重篤の方、ご家族や医療従事者の方々などはまた違う思いをお持ちなのかとは思いますが。
オリンピックのゴールドパートナー(最高スポンサー)のトヨタが五輪関連のコマーシャルは流さない、開会式には欠席と表明されて、同じくゴールドパートナーのパナソニック、NTTも続いて欠席表明。
オードリー・タンさんもアン王女もおいでにならないと、それぞれが色々なこと考えて苦渋の選択をされたのだと思います。
今も、いつも以上に葛藤されている方がたくさんいらっしゃることでしょう。
コロナ禍でのオリンピックの賛否だけでなく、この2年近くすべての人がこんなに葛藤、対立したことはなかったかと思います。
ドラマ以上に、世界の、この国の、社会劇はすさまじいです。
葛藤
ドラマの根本は、葛藤・対立・相克です。
ドラマは、葛藤・対立・相克を描くのだと何故言われるのかと言えば、人間を描くことだからです。
ものごとには正解というものがほとんどありません。
だからこそ、葛藤は深くなり、それぞれの正義があるから対立、相克は激しくなるわけです。
非日常が日常になってしまっている昨今ですが、今までにないことがたくさん噴き出してきています。
それをどのように受け止めるのかは、様々な考え方があるかと思います。
今、とても勉強になるなと思うことがあります。
ニュースに出てくる政治家や五輪関係者や取材される有名人の発言や態度・表情の観察です。
言うことがころころ変わる、その場しのぎの発言、態度、反対に真摯に向かっている発言や態度など、色々なキャラクターが見えてきます。
特に、表情、態度の観察は大事です。
「あれ、この人ってこんな人だっけ」と思う一面や発言に、ふと見てしまう態度、人間の奥深さを感じます。
日常的に、こんな面白い(というのは不謹慎かもですが)人間劇場を見ることができるのは、普通ではありません。
魅力を描くには二面性を描けと申し上げていますが、人は多面的です。
そうした色々な面をたくさん知ることによって、ドラマに必要な魅力、二面性を際立たせることができます。
今です。この1年半の非日常からみることができるものごと、アンテナ張り巡らしてしっかりと受け止めたいと思います。
人間観察もさることながら、そこから自分の想いや考えがまとまり、作家性に繋がります。
シナリオに必要な「社会を見る目」「ものごとを見る目」「人間を見る目」三つの目を養える好機でです。