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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

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明日をへぐる

防災の日

シナリオ・センター代表の小林です。9月1日、今日は防災の日。1923年、関東大震災が起きた日です。
新井一は、当時8歳。三輪車に枕をのせて四谷の土手に避難したそうです。
大事なものを一つ持っていきなさいと母親に言われて、持ち出したのが三輪車に枕。
それが役に立ったのかどうかは定かではありませんが、人間の思考というのは、よほど常に準備していないと本当に必要なものを持って逃げるということは難しいのだと思います。
シナリオ・センターは、東日本大震災以来、お水と保存ビスケット、簡易ブランケット、防災トイレを100名分用意しています。
ビスケットは、消費期限2ヶ月前にフードパントリーに寄付して喜ばれました。お水も先月切れたのですが、今は受講生も講師もいらっしゃれない状態ですから、様子見。一応自動販売機もあるので事務局スタッフだけであれば水分の補給はOKのようなので、保存ビスケットだけ補給しました。
東日本大震災の時は、30名ほどでしたか、帰れなくなった受講生の方と事務局スタッフが一晩ともに明かしました。
東京は電気も大丈夫だったので、寒さに震えることなく、食料も調達して何とか過ごせましたが、コロナ禍の今、もし震災が起きたらと思うととても不安で怖くなります。
コロナだけでも無能無策のお上ですから、それに輪をかけたら、どうにもならないのではないでしょうか。
今、豪雨災害に合われた方々は、ちゃんと公助してもらっているのでしょうか。どうなさっていらっしゃるのか、本当に心配です。
グダグダ自分たちのことばかり考えていないで、せめて防災の日の今日、真面目に国民の命を守ること考えてほしいものです。

明日をへぐる

シナリオ作家養成講座171期の修了生の今井友樹監督のドキュメンタリー映画「明日をへぐる」が9月17日よりポレポレ東中野で公開となります。
この映画は、和紙の原料である楮(こうぞ)を高知の山あいで栽培し、紙をすいてきた人々の暮らしを描いています。
楮の外皮だけを何度も何度も削り落とし、繊維だけを残していく、こうしてへぐった繊維は、1000年以上の耐久性を持つ和紙へと生まれ変わります。
和紙の作り方を見ていると悠久の歴史を感じます。
今井監督は「高知県いの町で楮をへぐる90代の女性たちに出会いました。(略)彼女たちの手わざや佇まいからは、世代を超えて受け継がれてきた山里の暮らしが見え隠れします。そして手を動かしながらも口を動かすことも忘れない彼女たちの体験談に、僕はすっかり魅了されました。
手間がかかり大量生産もできそうにないへぐりの作業をじっと見ていると、むしろ効率性や便利さばかりを求める現代社会の余裕のなさを思わずにはいられませんでした。
はたして、僕らは暮らしの何を削り、なにを残すことができるのでしょうか。
生活の移ろいに縛られない植物の楮から人間の役割をみつめることにしました。」

こうした営々と続いている昔ながらの作業とそれを丁寧に取り組んでいる人々は、日本中にいらっしゃるのでしょう。
でも、効率、経済重視の今の社会の中で、その価値を感じることができなくなってきている私たちの姿を感じます。
温暖化もそうですが、すべてが便利になればなるほど失われていくものも大きいのです。
歴史や経験から学ぶことはたくさんあるのに、今の世の中は、特にお上たちはそこから学ぶことをよしとしません。知ろうともしません。
それはとても怖いことで、未来は過去から繋がっていることをしっかりと感じていないと地に足のつかない人間になってしまうのではないかと思うのです。
本当に必要なものはなにか、本当に大事なことはなにか、考え直す時が来たように思います。
ひとつのものを手をかけて作り上げる工程を当たり前のように紡いでいく方々の時間と利便性の中でひたすら生きている私たちの時間とはまったく違う、ノスタルジアとかではなくその精神性を大事にしていかないと、社会は、人間そのものが疲弊するだけではないのか・・・。
この作品は、字幕付き、UDCastによる音声ガイド付きのバリアフリー仕様です。
やさしさの中で、見つめ直す時間をもらえそうです。

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