若い力
シナリオ・センター代表の小林です。東京は急に残暑が戻ってきました。昨日までは10月中旬の気候だったのに、こう変化が多いと風邪でも引いたら、体調崩したら、コロナに思われたらとかコロナに罹患したらとか、やたら不安が増えてきます。
今週の東京感染者は1000人台ですが、若い方の感染とか重篤とかの話しが増えているにのに、緊急事態宣言を延長しているのに、他人ごとのような大臣の言い様に不信感は募るばかりです。
これから若い人が多くの老人を支えなくてはいけないということがわかっていながら、コロナ禍で出生率も減少しているのに、若い人を何故本気で大切にしようとは思わないのかと不思議です。
自分たちさえ安泰であればいい、今目の前の危機さえ凌げればいい、そんなお上たちには絶対未来を託せないです。
オリンピックでは、スケボーが注目を浴びました。
12歳の開心那さんとかメダルをとった選手たちの若いこと、若いこと。彼らを見ると未来にちょっと期待を持てる気もします。
スケボー教室もすごい人気で、入学できないほど活況なのだそうです。
こういう若い人たちのことなど、ジジババのお上たちはわからないでしょうし、わかろうともしていないでしょう。
若い人たちは、こういうジジババを反面教師にして、自分たちの未来を築いてほしいと思います。
若い人たちに「国のために命を捧げよ」などという人をゼッタイ信用してはいけません。
発想の出し方
日曜日は143期シナリオ作家養成講座の説明会です。
コロナ禍なのに、たくさんの方が通学でオンラインでおいでくださいます。うれしい!!
シナリオ・センターというと、シナリオの書式にうるさいところというのが定評になっています。
ト書は3字あけて4字目から書くのだよとか、セリフの2行目は一字下げ、柱を立てたら誰と誰がいるか書きなさい、ト書に3人ではなく名前をきちんと書きなさいとか。
最近は、原稿用紙に書くことよりパソコンで描くことの方が多くなってきていますから、この書式は面倒ですよね。
でも、営々として50年いったいなんのためにうるさく言ってきたのでしょうか。
その昔ジェームス三木さんとの対談で、新井はその理由を明確にいっています。
昔は口立てだったわけですし、テープに吹き込んだりしてもできるわけなのになぜうるさく言うのか。
新人にそれをやかましくいうのは発想の方法なのだと言います。
新井「例えば、新井家の茶の間。そこに花子と太郎がいると。必ずね、誰と誰がいるって書きなさいと。花子と太郎がいるだけではだめなんだよ。
どういるのか、寝そべっているのか、膝枕しているのか、ピーナッツ食べているのか、ということを考えなさい。
考える尺度として『何かをしている』という言葉を使いなさいと。そうすると考えるわけですね。
すると初めにでてくるセリフは面白いセリフが出るんじゃないか。
だからここは厳重に守りなさいというのは、切羽詰めておいて発想をどういう風にさせるかということなんですよ。
人物表も必ずフルネームで書きなさいと言っている。本当はフルネームで書かなくてもいいんです。どうでもいいんだけれど、新人は必ずフルネームで書きなさい。
なぜかというと、新井というのとね、新井一というのと、新井白石というのと違うだろうと。
イメージが違ってくるわけね。
新人に、この脚本の女の人は眼鏡かけているの?かけていないの?と聞くとね、さあ・・・?っていうんですね。
和服?洋服?さあ・・・?でも書けるわけですよ。
でも、やっぱりちゃんと眼鏡をしていて髪を長くして和服を着ている感じの女の人のセリフというふうに考えるとね、なにかこれ全然違うんじゃないかって(笑)」
ジェームス三木「イメージを鮮明にしておかないと、セリフなんか出てくるわけがないということなんですね」
新井「ええ、面白いのはね、名前も付けないで老人なんて書くと、必ず・・・そうなのじゃ、・・・こうなのじゃ。じゃ、じゃがセリフになるのね。(笑)
つまりパターンなんですよ。
人物のパターンが一番怖いんだと。
だからそれをさけるために厳重に書き方を言うんです。」
ジェームス三木「厳重にこう書きなさい、ああ書きなさいという、一つの枷をはめて閉じ込めていくと、そうするとそこから何かが生まれるということで、本来的な意味でシナリオはこう書かなきゃいけないということじゃないわけですね」
おわかりいただけましたでしょうか。カセを使うことでドラマは面白くなりますが、作者自らにカセをかけると新鮮な発想が生まれてくるということです。
具体的でなくては、映像にならないということです。
柱一つ、ト書1行、セリフ一言にも意味があり、そこに映像が見えてこないとドラマは面白くありません。
×××を使わせないのも、回想を使わせないのも、発想をさせる、その発想を具体的にイメージさせるためなのです。
そんな新井イズムを理解して、シナリオ形式をきちんと守って描いてみて下さい。
格段に腕が上がること、確実です。