思いを寄せる

シナリオ・センター代表の小林です。まだまだ暑い日が続いていますが、さすがに秋の気配は色濃くなり、コロナもちょっとおとなし目の様子なのでホッと一息という感じです。
でも、お医者様のどなたもが第6波は確実とおっしゃっているので、今のうちにワクチン接種なので変化してきている情勢に合わせて、医療体制をしっかりと整備していくことが大切なのかと思います。
相変わらず、鳴り物入りの「大人の城」の酸素ステーションは、まともに起動していないようで、口先ばかりの方々にいつまでも私たちの命を委ねなくてはいけないのか、心底嫌になります。
それに引きかえ、他人のことを思ってくれる人はいるのです。

ジョニー・デップ主演・制作の映画「MINAMATA～ミナマタ～」が公開されました。
水俣で被害者と共に暮らし、水俣の人々の日常の写真を撮り続けたフォト・ジャーナリストユージン・スミスさんを主人公にした映画です。
ドキュメンタリーではなく、フィクションを加えながら、強いメッセージ性のある映画となっています。
ジョニー・ディップさんが、この映画を紹介した時に「1日数分でいいから他人に思いを寄せて欲しい」とおっしゃったことに感動しました。
日本の水俣の悲劇をジョニー・ディップさんが撮りたいと思ったこともすごいことだと思いましたが、それは他人を思いやる想像力があるからこそだったのですね。
日本人とか外人という枠は好きではありませんが、50年近く前のユージン・スミスさんの半端ない水俣の人々への寄り添い方に心打たれるというよりは、恥ずかしい想いになります。
私自身、日本の高度成長期に、豊かになった生活に甘んじてきたひとりです。
その陰で、塩化ビニールやプラスチックの原料を作って大きな利益を上げていた企業の工場排水によって、水俣の人々の命や健康が冒されていた事実も知らずに、その頃は、豊かな生活を享受していました。
そのことを、石牟礼道子さんの「苦界浄土」を読んで詳しく知り、愕然としたことを思い出します。
今も尚苦しんでいらっしゃる方がいる現実も見ず、そこに心を馳せない政治家がいるとしたら、そういう人は上に立たないでほしいと心から思います。
そして、この映画を見て欲しいと思います。
1分でもいい、他人に思いを寄せてください。

DIVOC－12

ニュース23を見ていたら、出身監督の上田慎一郎監督が「DIVOC-12」の映画製作の裏話をしていました。
「DIVOC－12」は、12人の監督の12の物語、オムニバス短篇を上映します。
タイトルはいったいなんていう意味の英語？と思っていたら、なんとコロナ「COVID-19」をひっくり返したいという思いを込めて、反対にしたそうです。
その発想もすごい。（笑）

上田監督、藤井道人監督、三島有紀子監督が中心となって、12人の監督がそれぞれのテーマで撮っています。
出身監督の齋藤栄美監督も、母親だと思われる女性を訪ねた少年と失われた時を埋めるかのように過ごす真美、あることが明らかになり・・・「海にそらごと」を撮られています。
上田監督の撮られた「ユメミの半生」は、ソニー・PCLの技術である、バーチャルプロダクションを使用しての日本初の撮影方法を使って創られたそうで、その紹介をニュースでしていたのですが、スタジオの中でこんなにも色々なことができるのだと、最新の撮影技術にびっくりしました。
上田監督も初の試みなので試行錯誤の連続だったそうですが、常に新たな挑戦をしている上田監督のこと素晴らしいものに仕上げたのではと期待しています。

12の映画は、
「名もなき一篇・アンア」藤井道人監督×横浜流星
「ユメミの半生」上田慎一郎監督×松本穂香/小関裕太
「よろこびのうたOde　to　Joy」三島有紀子監督×富司純子/藤原季節
「流民」志自岐希生監督×石橋静河
「魔女のニーナ」ふくだみゆき監督×安藤ニコ/おーちゃん
「YEN」山嵜晋平監督×蒔田彩珠/中村守里
「タイクーン」林田浩川監督×小野翔平/恋塚洋介
「死霊の軍団　怒りのDIY」中元雄監督×清野菜名/高橋文哉
「海にそらごと」齋藤栄美監督/中村ゆり/高田万作
「ココ」廣賢一郎監督×笠松将
「あこがれマガジン」エバンズ未夜子監督×小川紗良/横田真悠
「睡眠倶楽部のすすめ」加藤拓人監督×前田敦子

それぞれ毛色の変わったオムニバスをお楽しみ下さい。
10月1日公開です。