対立
シナリオ・センター代表の小林です。ちょっと動くと汗ばみますが、涼風が立っている東京です。
今日もコロナも静かにしているようで、このまま沈静化してくれたらとは強く強く願ってはおりますが、「そうは問屋が卸さない!」とコロナは言いそうで。
毎回いいますが、今のうちに自宅放置の方々が治療を受けられる、入院ができるようにして欲しいものです。「自分たちのためだけにガタガタしてんじゃねぇよ!」とニュースを見ては、ついつい叫んでしまう私です。
結局、首が据え変わろうと、体制が変わらない限り、何も変わらないのかと絶望的な気持ちになります。
このままだと、香港もミャンマーも、決して他人ごとではないとしみじみ思ってしまいます。
全てのシナリオは、対立は拮抗していないと面白くならないし、お互いの意見や思惑がどちらも正義に見えないと白熱しないのです。
1強ではドラマにもなりません。
ドラマも社会も、それぞれの正義(思いや考え)を対等に振りかざして戦えるようでありたいと思います。
先日、映画「MINAMATA―ミナマタ―」の話を書きましたが、地元の水俣の方々も「世界中に見て欲しい」という方、「もう、そっとしておいて」という方、同じ境遇でありながら、それぞれです。
色々な想いや考えがあって社会は成り立っているということを、世界は白黒ではなく常にグレーだということを私たちはいつも心において、創作も日常も過ごさねばと思います。
それは、他人の話を聞くことから始まります。
いまさらふたりで
土曜日に、コロナウツウツがはじけるような楽しいひとときを過ごしました。
出身ライター岡田恵和さん脚本の「いまさらふたりで Part2~家庭内文通~」を観にいきました。
1日限りの、俳優渡辺徹さん、榊原郁恵さん、渡辺裕太さんの3人だけの出演、そう渡辺ファミリーによる朗読劇です。
タイトルのように「今さら」感を持ちながら(笑)、お伺いしたのですが、久々に心がほぐれるお芝居(朗読劇)でした。
渡辺徹さんの還暦、芸歴40周年記念に岡田恵和さんにお願いをして、渡辺ファミリーを取材した上で、書きおろしてもらったホームドラマ、オリジナルストーリーだそうです。
なので、フィクションですが、家族の想定ですから、たぶんに渡辺家のエピソードも入っているのではと思います。
ま、家族ですから、阿吽の呼吸は当たり前ですが、それを活かした岡田脚本の妙味はさすが。
何が原因かはわからない徹さんですが、郁恵さんの怒りに触れてしゃべってもらえず、ノートでのやりとり、家庭内文通をさせられています。ここからお話が始まります。
怒っている原因をこれかと思って言うと、違っていて、かえって余計な火の粉が降りかかったり、もう抱腹絶倒ものでありながら、それぞれの家庭に、どこの家族の中にもあるような小さな確執やできごとを織り交ぜて、観客の方々が他人事のように笑いながらも、気がつくとチクッと胸に刺さるような数々が展開されます。
家庭の中でも、それぞれ、お互いを思ってやったことが裏目に出たり、通じていなかったりすることはいっぱいあります。
そのちょっとした齟齬がドラマになるのです。
全ては違うからこそ、面白い。だから戦いになったり、思いやりややさしさが生まれたり・・・。
だから、シナリオ・センターでは「シナリオの技術=伝える技術」をお教えしているのですけれど。
創作にも日常にもとてもプラスになる技術です。なにげに宣伝。(笑)
岡田さんは「家族の数だけ芝居になるような物語がありますね」とおっしゃっていました。
次に岡田さんが描く家族の姿はどんな物語なのでしょうか。今から楽しみです。