人の死
シナリオ・センター代表の小林です。今日で2月も終わりです。
明日は弥生3月、季節とともに、明るい状況に変わることをひたすら祈るばかりです。
コロナもなかなか収まりを見せません。今日は前週を超えたそうです。
ま、手をこまねいているだけでは、良くなるはずもありません。
コロナをストップできないのであれば、数字ばかりを羅列するのではなく、しっかりと医療体制を構築し直して、一人でも亡くなる方を減らす努力を見せてもらいたいものです。
決して、人の死に鈍感になってはいけません。
昨日の渋谷では、ロシアのウクライナ侵攻に「NO!」を突きつけるウクライナ人、ロシア人、日本人のデモが2000人を超えたそうです。
どんな理由をつけようと、戦争を起こしていいことはない。世界中でNOを言い続けましょう。言葉に出して、態度に表して。
侵攻を止めようとロシアの戦車の前に立ちはだかりひざまずくウクライナ人の動画が流れています。
その昔チェコ国民がソ連の戦車の前に立ちはだかった時を彷彿させられました。
新井一は、あのチェコ国民の姿を見て、「鬼畜米英」と騒いでいた日本人が負けたとたん「ギブミーチョコレート」となってしまったことへ、自分で考えて行動しないことへ危惧を抱きました。
簡単にお上に扇動されないために、自分の頭で考え、心で想い、伝える力を持たなくてはいけない。
だから、「日本中の人にシナリオを描いてもらいたい」と思ったのです。
新井が危ぶんだことが今起きつつあります。
アフガニスタンで、ミャンマーで、香港でもあちらこちらで起きていること、決して対岸の火事ではないのです。
私たちは、自分の頭で考え、心で想いましょう。そして、自分の言葉で声をあげましょう。
じいちゃんの店仕舞い
昨日、「舞台脚本コンクール2021」でグランプリを受賞した「じいちゃんの店仕舞い」が朗読劇として、青年座スタジオで上演されました。
蔓延防止措置中ということもあって、関係者のみという形の上演となりましたが、とても感動的なお芝居になっていました。
この「じいちゃんの店仕舞い」は、廃業してしまうクリーニング屋さんが舞台です。
主人公は、しみ抜き名人のクリーニング屋の老店主と男の子の孫。
孫は、他人とのつきあいあがうまくできず、何かというとスマホで検索する今どきの若者。
じいちゃんが引き取りに来ないお客様の服をなんとか返そうと奔走している姿を、手伝いを頼まれながらも冷ややかに見ています。
「とっとと処分しちまえばいいに」
「そもそも取りに来るのを忘れているってことは、いらないってことでしょ?それをわざわざ返さなくてもいいんじゃないの?無駄だよ」
商店街の主のおばちゃんに手伝ってもらいながら、顧客の居所をつきとめようとするじいちゃん。
連絡をもらって取りに来るお客様とじいちゃんのふれあい、幼馴染との出会いに、だんだん変わっていく孫の姿を描いています。
実は、作者の茉莉花さん、この主役のじいちゃんは、是非とも青年座の山野史人さんに演じて欲しかった、山野さんヘあてがきなのだそうです。
さすが山野さん、茉莉花さんの意図をくみ取って素敵なじいちゃんを演じてくださいました。
お芝居の中でも、制作の中でもすてきなふれあいがありました。(笑)
人と人のふれあい、思い出のこもった「もの」たち・・・。
誰もが一人一人違うのですから、同じ思いにはなりませんが、「もの」を通じてのコミュニケーションは、お互いを近づける手段かもしれませんね。
優しい気持ちになれる素敵なお芝居でした。
この朗読劇「じいちゃんの店仕舞い」は、劇団青年座動画工房で無料配信をしますので、是非ご覧ください。
「月刊シナリオ教室」21年11月号にシナリオが掲載されています。
形になって上演されるというのが脚本の本望です。
やはり、読むのと上演をされるのでは違います。
2022年も「舞台脚本コンクール」を行いますので、積極的に応募してみてください。あなたの作品を上演しましょう。
舞台脚本(戯曲)を描いたことのない方は、明日から初心者向けの「シナリオの技術で描く戯曲講座 初級編」が行われますから、ご受講ください。